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魔法学院〜入学編〜
第18話 実験結果、その結論
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この世界ではまだまだ解明されていない不思議が沢山ある。
そして、どうしようもない理不尽も沢山ある。
人は常に好奇心を持ってそれに挑み、抗うために努力を続ける。
少なくとも、俺の今までの人生はそうだった――。
そして今、俺の目の前にはクライヴがいる。
この人物もきっと同じだろうと、俺は思った。
「来るのが遅くなりました。すみません」
「構わん。俺の手が空く休みの日を選んだのだろう? 俺も、お前との話に他の奴を混ぜる気はなかった」
「ええ。ルルとナナに部活が無い日を聞いたら今日が一番早かったので」
「あの二人もお前に色々聞きたがったんじゃないか?」
「それはもう……でも、会長に話してからじゃないと話せないと言ったら納得してくれました」
――まぁほんとに渋々、って感じだったけどな
クライヴは優雅に紅茶の入ったティーカップを手に取った。
飲む姿には品があり、この喫茶フリージアを囲む庭園の花々が良く似合っていた。
――この人も、やっぱり貴族なんだな……
「ん、何だ?」
「いえ……会長もここ、知ってたんですね」
「ああ。たまにだが、一人で来るぞ」
そう言って、クライヴはまたティーカップに口を付けた。
「……正直、会えばもっと根掘り葉掘り聞かれると思ってました」
「聞いて全部答えるのか?」
「そういう約束ですからね」
「……嘘だな」
クライヴはカップを置くと、腕を組んで背もたれに体を預けた。
「俺も、信用の無い奴には絶対に全ては話さないからな」
「…………」
「あの時、何の刻印を魔石に付与したのか聞いたな? だが、出来ればお前の考え……理論と結論も付け足して聞きたい」
だから無理強いをする気は無い、そう態度で示しているのだろう。確かに、クライヴが知らないと言っていた暗黒物質の事をあまり詳しく話す気はなかった。この魔法は使い手が倫理を無くせば、本当に危険な魔法であるのは間違いないのだ。
「新たな交換条件を提示する。あの実験でお前が気になった事は何でも話そう。その代わり、お前は俺がさっき言った事を呑んでもらいたい」
「…………」
「信用のために、まずは俺の信念を話す。それで決めてくれ」
「……分かりました」
そしてクライヴは真剣な面持ちで語り始めた。
「俺は自分の研究が非道徳的な目的で使われる事を許さない。世界が豊かになろうが、文明が発達しようが、それに至るまでの過程が赦されざる行いを必要とするなら、このままでいればいいと思う。好奇心に負け、その信念を曲げてしまったら俺はすぐに狂気の科学者になるだろう。そんな自分と、常に闘っている」
「……しんどいですね。研究者は常に好奇心に突き動かされる」
「ああ。だが幸い、俺には絶対にそうならないストッパーがある。だから俺は研究者でありながら“諦める”という選択が取れるんだ」
意外な返答に思わず目を丸くした。
「お前の付与したあの刻印、発動したのを見て思い至った魔法が一つだけある。侵蝕型の最強魔法、暗黒物質……この世界でまだ使用例が一例しかない闇魔法だ」
それを聞き、ホッと胸を撫で下ろす。
――とりあえず、使った魔法が知られている魔法で良かった……
「それはどうかな。知られていないに等しい魔法だぞ」
「え⁉ 口に出てました?」
「顔に書いてあった」
「…………」
――俺、そんなに分かりやすいのだろうか……
「こんな稀有な魔法を使える奴がいるって事も、そいつがそれを刻印に出来る事も、未だに信じられない。お前のお陰で俺の好奇心は最高潮だ」
「いや別に、使える訳じゃ……」
「世に出ていない魔法だ。刻印に出来て自分では使えないなんて話は通らないぞ」
「…………」
――やっぱそうですよねぇ……
「だから聞きたいんだよ、お前の考えを。少なくともあの実験で人体に被害が及ばない事を確認した上で、お前はそれを使ったからな。俺と同じで非人道的な事をする気はないんだろう?」
「当然です」
「ならどうだ。俺の交換条件、呑んでくれるか」
俺は逡巡した後、クライヴに答えを返した。
「分かりました。あの刻印と俺なりの理論と結論、でしたね。お話します」
「……感謝する」
そして俺はあの実験について、またそこから得た結論をクライヴに話して聞かせた。
「ずっと考えてたんです。魔法の発動には魔力の質が関係している、だから使用できる魔法は限られる――それは絶対なのかって。
ある事がきっかけで、俺はこのダークマターが使えるようになりました。ずっと試したかったんです。『白魔法使いをこの魔法で侵蝕したら、果たして黒魔法使いに変わるのか』って。それとも、『どちらの魔法も使える白黒の魔法使いになるのか』って……でもそんな危険な実験、出来る訳がありません。そんな俺に機会がきました。目の前で安全に、それを試せる状況が整っていたんです」
「……あの魔道具か」
「それだけじゃありません。天才と称される白魔法使いの貴方の存在も、俺には願ってもない好材料でした」
失礼を承知で濁すことなく言い放った俺の言葉に、クライヴは不機嫌になるどころか面白そうに笑った。
「使用者を侵す事なく魔力を黒に染め上げる……そんな実験、俺一人では出来ませんでした。そしてこのダークマターの仮説も、今回の事で確信に変わりました」
「……刻印であれば、発動するのにその質を必要としない」
「そうです。この魔法……刻印に限り、術者の魔力が足りてさえいれば発動は可能です」
少しの沈黙の後、クライヴが深いため息を吐いた。
「本当に、とんでもない魔法だな」
「ええ。会長が作ったあの魔道具を使わなければ、使用者は内包する魔素を一瞬で侵蝕されるでしょう。白は黒へ塗り潰され、黒は漆黒の闇へ落とされる」
「耐えられない奴は普通に死ぬな」
「恐らく……」
クライヴは顔を伏せると、わなわなと肩を震わせ始めた。
そして――
「この、バカ野郎ッ‼」
ダァァァンッと勢いよく机が叩かれ、思いっ切り怒鳴られた。
「普通そんな魔法術式を付与したのなら一言断りを入れるだろうが‼ 何してくれてんだお前っ⁉」
「人体への危険は限りなくゼロに近いって言ったのはあなたでしょう⁉」
「そんな事言ってんじゃねぇ‼ 何であれをデータで残そうと思わないんだ! 有り得ないだろうが!」
「がぁぁっ‼」っと雄叫びを上げながら、クライヴが両手でわしゃわしゃと髪の毛をかき回す。時間が放課後という事もあって外のテラスに客がいなかったのが救いだった。
「くっそ……実験の失敗で自暴自棄になってたとはいえなんたる失態……研究者としてあるまじき行為だっ‼」
目を見開き、一点を見つめたままブツブツと呟きだしたクライヴに俺は完全に引きつつも、勇気を出して声を掛けてみる。
「あー……続き、話しても?」
「あ゛ぁ? あー、それはもういい。分かったから」
「え?」
――わ、分かったのか?
「ハァ……つまり、ダークマターの刻印には必要分の魔力量さえあれば白魔法使いでも発動可能。ただし、直に触れれば耐性の無い奴は一発アウトだ。あの魔道具で魔力の質を黒魔法使いと同質までもっていき、ダークマターで闇魔法が発動できる魔力の質まで完全に変質させる。理論上この手法を使えば、ダークネスに限らず闇魔法は何でも発動可能になる……だろ?」
「正解です」
「付け加えるなら、ダークマターの刻印を付与する魔石に魔法石は使えない。あれは使用するのに魔力の質が必要になるからだ」
「そうです。だから魔石に付与したダークマターの刻印さえ安全に発動できるなら、魔法石である漆黒石に付与した刻印は誰でも発動できる事になります」
クライヴはデータを取っていなかった事が余程ショックなのか、項垂れるように背もたれに寄り掛かるとそのまま天を仰ぎ出した。
しかし、俺の結論はこれで終わりではない。もっと重要な事があった。
「この実験結果から出た答えは一つ――“対極の魔法使いでも対極の魔法は使える”」
「…………っ⁉」
「魔力の質を関係させない闇魔法が、そもそもとしてありました。魔法術式……刻印という条件は有りますが、白黒両魔法使いが行使できるのは間違いない。そして実際に、白魔法使いである貴方は闇魔法ダークネスを発動させました。たかが一秒……でも、それは紛れもない確かな一秒だ」
「…………」
「ならば逆も然り、必ずあるはずです。黒魔法使いが聖魔法を使える方法が」
黒と白は真逆の存在。しかし光と闇は表裏一体――。
聖なる光の魔法と魔を統べる闇の魔法……片方の不可能が可能になって、片方が不可能なままだなんて事は有り得ない。俺はそう、確信した。
――だから必ず手に入れてみせる。その方法を
そしてなるのだ。セラフィナイトに相応しい人間に
掴んだ希望を胸に、決意を新たにした瞬間だった。
「……探求する者にとって一番大切なものは何か分かるか?」
「いきなりですね……」
「それは、挫けぬ心だ」
クライヴは真っ直ぐ俺の目を見て断言した。
「その目を見れば分かる。やはりお前は俺と共にあるべきだ。いや、俺がお前と共にあるべきなのかもしれない」
「…………はい?」
「だから、俺と一緒にいろ‼」
――いや、こっちが「だから」だわ! 何か嫌なんだよ、その表現……
俺がそんな複雑な想いを抱えていると、庭園の花々の中から颯爽と一人の人物が飛び出してきた。
「ちょっとまてーーい!」
俺達のテーブルまでその人物は一瞬でやってくると、間に入るように両手を広げた。
「サイラス……」
「会長?」
――なぜここに⁉
「嫌な予感がして探し回ってたら案の定! 抜け駆けはしない約束だぞ、クライヴ‼」
サイラスは片手を腰に置き、クライヴへ向けてビシィっと人差し指を突き出した。
「……うるさい」
クライヴはその人差し指をガシッと握ると、ぐいーっと手の甲へ折り曲げる。
「いだーーっ⁉」
「ほんと、バカは声がでかいんだよ」
さらに力を込められると、サイラスは振り払うように手を引っ込める。
「っんとにお前は……まぁいい。そんな事よりクライヴ、お前が破るんなら俺も遠慮せず誘わせてもらうからな」
「お互い、彼が自分から来るまでって約束だっただろ。お前の方にはまだ行ってないんだから破ったのはお前だ」
「ぐぬっ……」
「……フッ」
言葉に詰まったサイラスと勝ち誇った顔のクライヴ……俺はそんな二人を交互に見て呆れたように口を開いた。
「あの……そもそも俺、どちらにも入る気ありませんからね」
「「――っ⁉ なぜだ⁉」」
――なぜって……息ぴったりだな……
「サイラス会長との鍛錬は魅力的ですし、クライヴ会長との研究に興味もあります」
「「ならっ!」」
またも声が合ってしまった二人はお互い顔を見合わせて睨み合う。
「時間が、足りないんです」
「は?」
「時間?」
「ええ。俺にはどうしてもやり遂げなければならない目的があります。だから色々な事を見聞きして吸収しなくちゃいけないんですよ。そのためにも一つの事に固執する気はないんです」
正直に言えば二人の申し出は心底有り難いと思う。サイラスの格闘センスには心躍ったし、クライヴの研究には俺の希望が詰まっている。だが、俺は兄から言われた言葉の意味を考えた時、鍛錬や学問以外の事にも目を向けなければならないと思うのだ。
セシルを見た時、あいつの纏う気品と威厳に目を奪われた。ルルやナナ、ゼルだって、一目で一般庶民でない事が分かる。イグナスの、上に立つ者が放つ覇者の威圧、遠目でも分かるラフィカの凛々しさ。それに、クライヴとサイラスだってそうだ。彼らの放つカリスマ性は際立っている。どこにいても存在感を放つような、そして誰からも慕われるような……そんなカリスマ力がこの人達にはある。
俺は様々な魅力ある人物を見て痛感した。今の俺には彼らのような身に纏う気品や威厳、他者を率いるカリスマ力などまるで無い。
セラフィナイトの名を背負うに相応しい人物――カノンと共に兄の横に立つためには、俺が身に付けなければならないものが沢山あるのだ。
『人付き合いを学ぶ事も、世界を知る事も、セラフィナイトの名を背負う事に必要不可欠なのです。焦る事はありません。まずは楽しみなさい。そして色んな事を見聞きして見分を広げるのです。その全てが貴方の夢の糧となるでしょう』
きっと、この兄の言葉が答えだ。俺に足りないものを補ってくれる。
「だから申し訳ありませんが……」
「却下」
「だな」
「……はい?」
俺の真面目な説明に、阿吽の呼吸で返事が返される。
――この二人……実は気が合い過ぎてるだけなんじゃ……
「君の言いたい事は分かった。が、俺達の誘いを断る理由にはなってないな」
「ああ。選べとは言ったが、固執してくれとは頼んでいない。自由にしたらいい」
「いや、会長達の申し出を受けたらそればっかになっちゃいそうだし……」
「それはお前次第だろう」
「俺は願っても無い事だがな!」
――こいつら、ああ言えばこう言うタイプか……
「あー……じゃあ、たまに遊びに行きま――」
「それだといつ来るか分からんだろうが」
「待ってるのは性に合わないぞ、俺は!」
――えー……自由にしたらいいって言ったくせに……
「そもそもクライヴ会長、あなたさっき、『俺は諦めるという選択が取れる』って言いましたよね⁉」
そんな苦し紛れの一言が、再度この二人に火種を作ってしまった。
「なにぃ、クライヴがそんな事言ったのか⁉ じゃあ諦めろ、彼の事は俺が責任もって面倒を見る!」
「はぁ? 見てもらうの間違いだろうが。そもそもこんな逸材、俺が諦める訳ないだろう」
「何をぅ‼ お前こそ研究を手伝ってもらうんだろうが!」
「問題あるか? クロス=リーリウムの知識と技術を埋もれさせる訳にはいかない」
「俺だってそうだ! 彼の戦闘技術やセンスの良さはまだまだ磨く余地がある。俺はそれを導いてやらねばならない‼」
「何だ馬鹿のくせに偉そうに。こいつにお前は必要ない」
「お前が決めるなよ!」
「事実だろう」
額を突き合わせ、見えるはずのない火花を散らしながら、二人の言い合いは止まらない。
――この様子じゃ勧誘を諦めてくれる気は無さそうだな……
話の中心であるはずなのに完全に蚊帳の外へ追い出され、その隙にバレないようそーっと席を立った。そして「失礼します」と言い残し、一目散にその場から走り出す。
「おい!」
「ちょ、待て!」
そんな二人の言葉を聞き流し、無事逃げ出す事に成功したのだった。
・
・
・
・
「……お前のせいで行っちゃったじゃないか」
「割って入ってきたお前のせいだろう」
「重要な部分は話し終わったみたいだったからな」
「……聞いてたのか」
サイラスの口元に微笑が浮かぶ。
「俺とお前を合わせたようなやつじゃないか?」
「天賦の才……ってやつか。いるもんなんだな」
「……クライヴ。彼……クロス=リーリウムを俺達の事情に巻き込むなよ」
「そんなつもりは毛頭ない」
「どうかな。お前がストッパーを外したがってるのは分かってるんだ」
「……心配しなくても昔みたいにはならん。今のそれが無くなっても、戒めが永遠にストッパーになってくれるさ」
「俺は、今の自分に不自由してないぞ」
「……嫌味かこの野郎」
クライヴは不機嫌にそっぽを向き、それに対してサイラスは小さな溜息をつく。
「とりあえず、あんな面白い新入生が来たんだ。俺は諦めないからな」
「言ってろ。あいつは俺がもらう」
「なら週末の活動報告、上手くやれよ? その実験結果の報告次第では……やられるぞ」
「分かってる。暴君に好き勝手はさせないさ」
「生徒会の女帝もな。策略が得意でしたたかだ」
クライヴが小さく頷き、それを確認したサイラスは軽く片手を上げてその場を後にした。
残されたクライヴはある事に気が付き、悩むように口元へ手を当てる。
「そう言えば……あいつの質問、何も聞いてなかったな」
その事にクロスが気付き、後悔するのは夜寝る間際の頃であった――
そして、どうしようもない理不尽も沢山ある。
人は常に好奇心を持ってそれに挑み、抗うために努力を続ける。
少なくとも、俺の今までの人生はそうだった――。
そして今、俺の目の前にはクライヴがいる。
この人物もきっと同じだろうと、俺は思った。
「来るのが遅くなりました。すみません」
「構わん。俺の手が空く休みの日を選んだのだろう? 俺も、お前との話に他の奴を混ぜる気はなかった」
「ええ。ルルとナナに部活が無い日を聞いたら今日が一番早かったので」
「あの二人もお前に色々聞きたがったんじゃないか?」
「それはもう……でも、会長に話してからじゃないと話せないと言ったら納得してくれました」
――まぁほんとに渋々、って感じだったけどな
クライヴは優雅に紅茶の入ったティーカップを手に取った。
飲む姿には品があり、この喫茶フリージアを囲む庭園の花々が良く似合っていた。
――この人も、やっぱり貴族なんだな……
「ん、何だ?」
「いえ……会長もここ、知ってたんですね」
「ああ。たまにだが、一人で来るぞ」
そう言って、クライヴはまたティーカップに口を付けた。
「……正直、会えばもっと根掘り葉掘り聞かれると思ってました」
「聞いて全部答えるのか?」
「そういう約束ですからね」
「……嘘だな」
クライヴはカップを置くと、腕を組んで背もたれに体を預けた。
「俺も、信用の無い奴には絶対に全ては話さないからな」
「…………」
「あの時、何の刻印を魔石に付与したのか聞いたな? だが、出来ればお前の考え……理論と結論も付け足して聞きたい」
だから無理強いをする気は無い、そう態度で示しているのだろう。確かに、クライヴが知らないと言っていた暗黒物質の事をあまり詳しく話す気はなかった。この魔法は使い手が倫理を無くせば、本当に危険な魔法であるのは間違いないのだ。
「新たな交換条件を提示する。あの実験でお前が気になった事は何でも話そう。その代わり、お前は俺がさっき言った事を呑んでもらいたい」
「…………」
「信用のために、まずは俺の信念を話す。それで決めてくれ」
「……分かりました」
そしてクライヴは真剣な面持ちで語り始めた。
「俺は自分の研究が非道徳的な目的で使われる事を許さない。世界が豊かになろうが、文明が発達しようが、それに至るまでの過程が赦されざる行いを必要とするなら、このままでいればいいと思う。好奇心に負け、その信念を曲げてしまったら俺はすぐに狂気の科学者になるだろう。そんな自分と、常に闘っている」
「……しんどいですね。研究者は常に好奇心に突き動かされる」
「ああ。だが幸い、俺には絶対にそうならないストッパーがある。だから俺は研究者でありながら“諦める”という選択が取れるんだ」
意外な返答に思わず目を丸くした。
「お前の付与したあの刻印、発動したのを見て思い至った魔法が一つだけある。侵蝕型の最強魔法、暗黒物質……この世界でまだ使用例が一例しかない闇魔法だ」
それを聞き、ホッと胸を撫で下ろす。
――とりあえず、使った魔法が知られている魔法で良かった……
「それはどうかな。知られていないに等しい魔法だぞ」
「え⁉ 口に出てました?」
「顔に書いてあった」
「…………」
――俺、そんなに分かりやすいのだろうか……
「こんな稀有な魔法を使える奴がいるって事も、そいつがそれを刻印に出来る事も、未だに信じられない。お前のお陰で俺の好奇心は最高潮だ」
「いや別に、使える訳じゃ……」
「世に出ていない魔法だ。刻印に出来て自分では使えないなんて話は通らないぞ」
「…………」
――やっぱそうですよねぇ……
「だから聞きたいんだよ、お前の考えを。少なくともあの実験で人体に被害が及ばない事を確認した上で、お前はそれを使ったからな。俺と同じで非人道的な事をする気はないんだろう?」
「当然です」
「ならどうだ。俺の交換条件、呑んでくれるか」
俺は逡巡した後、クライヴに答えを返した。
「分かりました。あの刻印と俺なりの理論と結論、でしたね。お話します」
「……感謝する」
そして俺はあの実験について、またそこから得た結論をクライヴに話して聞かせた。
「ずっと考えてたんです。魔法の発動には魔力の質が関係している、だから使用できる魔法は限られる――それは絶対なのかって。
ある事がきっかけで、俺はこのダークマターが使えるようになりました。ずっと試したかったんです。『白魔法使いをこの魔法で侵蝕したら、果たして黒魔法使いに変わるのか』って。それとも、『どちらの魔法も使える白黒の魔法使いになるのか』って……でもそんな危険な実験、出来る訳がありません。そんな俺に機会がきました。目の前で安全に、それを試せる状況が整っていたんです」
「……あの魔道具か」
「それだけじゃありません。天才と称される白魔法使いの貴方の存在も、俺には願ってもない好材料でした」
失礼を承知で濁すことなく言い放った俺の言葉に、クライヴは不機嫌になるどころか面白そうに笑った。
「使用者を侵す事なく魔力を黒に染め上げる……そんな実験、俺一人では出来ませんでした。そしてこのダークマターの仮説も、今回の事で確信に変わりました」
「……刻印であれば、発動するのにその質を必要としない」
「そうです。この魔法……刻印に限り、術者の魔力が足りてさえいれば発動は可能です」
少しの沈黙の後、クライヴが深いため息を吐いた。
「本当に、とんでもない魔法だな」
「ええ。会長が作ったあの魔道具を使わなければ、使用者は内包する魔素を一瞬で侵蝕されるでしょう。白は黒へ塗り潰され、黒は漆黒の闇へ落とされる」
「耐えられない奴は普通に死ぬな」
「恐らく……」
クライヴは顔を伏せると、わなわなと肩を震わせ始めた。
そして――
「この、バカ野郎ッ‼」
ダァァァンッと勢いよく机が叩かれ、思いっ切り怒鳴られた。
「普通そんな魔法術式を付与したのなら一言断りを入れるだろうが‼ 何してくれてんだお前っ⁉」
「人体への危険は限りなくゼロに近いって言ったのはあなたでしょう⁉」
「そんな事言ってんじゃねぇ‼ 何であれをデータで残そうと思わないんだ! 有り得ないだろうが!」
「がぁぁっ‼」っと雄叫びを上げながら、クライヴが両手でわしゃわしゃと髪の毛をかき回す。時間が放課後という事もあって外のテラスに客がいなかったのが救いだった。
「くっそ……実験の失敗で自暴自棄になってたとはいえなんたる失態……研究者としてあるまじき行為だっ‼」
目を見開き、一点を見つめたままブツブツと呟きだしたクライヴに俺は完全に引きつつも、勇気を出して声を掛けてみる。
「あー……続き、話しても?」
「あ゛ぁ? あー、それはもういい。分かったから」
「え?」
――わ、分かったのか?
「ハァ……つまり、ダークマターの刻印には必要分の魔力量さえあれば白魔法使いでも発動可能。ただし、直に触れれば耐性の無い奴は一発アウトだ。あの魔道具で魔力の質を黒魔法使いと同質までもっていき、ダークマターで闇魔法が発動できる魔力の質まで完全に変質させる。理論上この手法を使えば、ダークネスに限らず闇魔法は何でも発動可能になる……だろ?」
「正解です」
「付け加えるなら、ダークマターの刻印を付与する魔石に魔法石は使えない。あれは使用するのに魔力の質が必要になるからだ」
「そうです。だから魔石に付与したダークマターの刻印さえ安全に発動できるなら、魔法石である漆黒石に付与した刻印は誰でも発動できる事になります」
クライヴはデータを取っていなかった事が余程ショックなのか、項垂れるように背もたれに寄り掛かるとそのまま天を仰ぎ出した。
しかし、俺の結論はこれで終わりではない。もっと重要な事があった。
「この実験結果から出た答えは一つ――“対極の魔法使いでも対極の魔法は使える”」
「…………っ⁉」
「魔力の質を関係させない闇魔法が、そもそもとしてありました。魔法術式……刻印という条件は有りますが、白黒両魔法使いが行使できるのは間違いない。そして実際に、白魔法使いである貴方は闇魔法ダークネスを発動させました。たかが一秒……でも、それは紛れもない確かな一秒だ」
「…………」
「ならば逆も然り、必ずあるはずです。黒魔法使いが聖魔法を使える方法が」
黒と白は真逆の存在。しかし光と闇は表裏一体――。
聖なる光の魔法と魔を統べる闇の魔法……片方の不可能が可能になって、片方が不可能なままだなんて事は有り得ない。俺はそう、確信した。
――だから必ず手に入れてみせる。その方法を
そしてなるのだ。セラフィナイトに相応しい人間に
掴んだ希望を胸に、決意を新たにした瞬間だった。
「……探求する者にとって一番大切なものは何か分かるか?」
「いきなりですね……」
「それは、挫けぬ心だ」
クライヴは真っ直ぐ俺の目を見て断言した。
「その目を見れば分かる。やはりお前は俺と共にあるべきだ。いや、俺がお前と共にあるべきなのかもしれない」
「…………はい?」
「だから、俺と一緒にいろ‼」
――いや、こっちが「だから」だわ! 何か嫌なんだよ、その表現……
俺がそんな複雑な想いを抱えていると、庭園の花々の中から颯爽と一人の人物が飛び出してきた。
「ちょっとまてーーい!」
俺達のテーブルまでその人物は一瞬でやってくると、間に入るように両手を広げた。
「サイラス……」
「会長?」
――なぜここに⁉
「嫌な予感がして探し回ってたら案の定! 抜け駆けはしない約束だぞ、クライヴ‼」
サイラスは片手を腰に置き、クライヴへ向けてビシィっと人差し指を突き出した。
「……うるさい」
クライヴはその人差し指をガシッと握ると、ぐいーっと手の甲へ折り曲げる。
「いだーーっ⁉」
「ほんと、バカは声がでかいんだよ」
さらに力を込められると、サイラスは振り払うように手を引っ込める。
「っんとにお前は……まぁいい。そんな事よりクライヴ、お前が破るんなら俺も遠慮せず誘わせてもらうからな」
「お互い、彼が自分から来るまでって約束だっただろ。お前の方にはまだ行ってないんだから破ったのはお前だ」
「ぐぬっ……」
「……フッ」
言葉に詰まったサイラスと勝ち誇った顔のクライヴ……俺はそんな二人を交互に見て呆れたように口を開いた。
「あの……そもそも俺、どちらにも入る気ありませんからね」
「「――っ⁉ なぜだ⁉」」
――なぜって……息ぴったりだな……
「サイラス会長との鍛錬は魅力的ですし、クライヴ会長との研究に興味もあります」
「「ならっ!」」
またも声が合ってしまった二人はお互い顔を見合わせて睨み合う。
「時間が、足りないんです」
「は?」
「時間?」
「ええ。俺にはどうしてもやり遂げなければならない目的があります。だから色々な事を見聞きして吸収しなくちゃいけないんですよ。そのためにも一つの事に固執する気はないんです」
正直に言えば二人の申し出は心底有り難いと思う。サイラスの格闘センスには心躍ったし、クライヴの研究には俺の希望が詰まっている。だが、俺は兄から言われた言葉の意味を考えた時、鍛錬や学問以外の事にも目を向けなければならないと思うのだ。
セシルを見た時、あいつの纏う気品と威厳に目を奪われた。ルルやナナ、ゼルだって、一目で一般庶民でない事が分かる。イグナスの、上に立つ者が放つ覇者の威圧、遠目でも分かるラフィカの凛々しさ。それに、クライヴとサイラスだってそうだ。彼らの放つカリスマ性は際立っている。どこにいても存在感を放つような、そして誰からも慕われるような……そんなカリスマ力がこの人達にはある。
俺は様々な魅力ある人物を見て痛感した。今の俺には彼らのような身に纏う気品や威厳、他者を率いるカリスマ力などまるで無い。
セラフィナイトの名を背負うに相応しい人物――カノンと共に兄の横に立つためには、俺が身に付けなければならないものが沢山あるのだ。
『人付き合いを学ぶ事も、世界を知る事も、セラフィナイトの名を背負う事に必要不可欠なのです。焦る事はありません。まずは楽しみなさい。そして色んな事を見聞きして見分を広げるのです。その全てが貴方の夢の糧となるでしょう』
きっと、この兄の言葉が答えだ。俺に足りないものを補ってくれる。
「だから申し訳ありませんが……」
「却下」
「だな」
「……はい?」
俺の真面目な説明に、阿吽の呼吸で返事が返される。
――この二人……実は気が合い過ぎてるだけなんじゃ……
「君の言いたい事は分かった。が、俺達の誘いを断る理由にはなってないな」
「ああ。選べとは言ったが、固執してくれとは頼んでいない。自由にしたらいい」
「いや、会長達の申し出を受けたらそればっかになっちゃいそうだし……」
「それはお前次第だろう」
「俺は願っても無い事だがな!」
――こいつら、ああ言えばこう言うタイプか……
「あー……じゃあ、たまに遊びに行きま――」
「それだといつ来るか分からんだろうが」
「待ってるのは性に合わないぞ、俺は!」
――えー……自由にしたらいいって言ったくせに……
「そもそもクライヴ会長、あなたさっき、『俺は諦めるという選択が取れる』って言いましたよね⁉」
そんな苦し紛れの一言が、再度この二人に火種を作ってしまった。
「なにぃ、クライヴがそんな事言ったのか⁉ じゃあ諦めろ、彼の事は俺が責任もって面倒を見る!」
「はぁ? 見てもらうの間違いだろうが。そもそもこんな逸材、俺が諦める訳ないだろう」
「何をぅ‼ お前こそ研究を手伝ってもらうんだろうが!」
「問題あるか? クロス=リーリウムの知識と技術を埋もれさせる訳にはいかない」
「俺だってそうだ! 彼の戦闘技術やセンスの良さはまだまだ磨く余地がある。俺はそれを導いてやらねばならない‼」
「何だ馬鹿のくせに偉そうに。こいつにお前は必要ない」
「お前が決めるなよ!」
「事実だろう」
額を突き合わせ、見えるはずのない火花を散らしながら、二人の言い合いは止まらない。
――この様子じゃ勧誘を諦めてくれる気は無さそうだな……
話の中心であるはずなのに完全に蚊帳の外へ追い出され、その隙にバレないようそーっと席を立った。そして「失礼します」と言い残し、一目散にその場から走り出す。
「おい!」
「ちょ、待て!」
そんな二人の言葉を聞き流し、無事逃げ出す事に成功したのだった。
・
・
・
・
「……お前のせいで行っちゃったじゃないか」
「割って入ってきたお前のせいだろう」
「重要な部分は話し終わったみたいだったからな」
「……聞いてたのか」
サイラスの口元に微笑が浮かぶ。
「俺とお前を合わせたようなやつじゃないか?」
「天賦の才……ってやつか。いるもんなんだな」
「……クライヴ。彼……クロス=リーリウムを俺達の事情に巻き込むなよ」
「そんなつもりは毛頭ない」
「どうかな。お前がストッパーを外したがってるのは分かってるんだ」
「……心配しなくても昔みたいにはならん。今のそれが無くなっても、戒めが永遠にストッパーになってくれるさ」
「俺は、今の自分に不自由してないぞ」
「……嫌味かこの野郎」
クライヴは不機嫌にそっぽを向き、それに対してサイラスは小さな溜息をつく。
「とりあえず、あんな面白い新入生が来たんだ。俺は諦めないからな」
「言ってろ。あいつは俺がもらう」
「なら週末の活動報告、上手くやれよ? その実験結果の報告次第では……やられるぞ」
「分かってる。暴君に好き勝手はさせないさ」
「生徒会の女帝もな。策略が得意でしたたかだ」
クライヴが小さく頷き、それを確認したサイラスは軽く片手を上げてその場を後にした。
残されたクライヴはある事に気が付き、悩むように口元へ手を当てる。
「そう言えば……あいつの質問、何も聞いてなかったな」
その事にクロスが気付き、後悔するのは夜寝る間際の頃であった――
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