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しおりを挟む「……ひどい顔」
朝鏡に映るのはいつもの顔。 目には黒いクマ、食欲が無く頬はこけて、疲弊感が全面に出ている。
「ステラリア、もう少し抑えてくれないかしら……」
この4年でわかった事がある。
それは……
――――『加護』のほとんどは、わたしが授かっていたという事が。
なのに、
「今日もひどい顔ね」
「まったく、身体が弱いのは仕方ないが、少しはステラリアを見習ってほしいものだ……!」
朝食の席で、両親は嫌気が差した顔でこんな事を言ってくる。 本当はわたしが『錬金』してるのに……。
――でも、ステラリアはリオネルを譲ってくれたんだもの。 今日だってダラビット家に夕食に呼ばれているし、リオネルとは想い合う関係になれた。 婚約はお父様に許してもらえてないけど……。
「具合が悪いと言って、たった一度しか金を作れんとは……」
「ごめんなさい……」
それが、この4年でわかったもう一つの事。
錬金には、―――『対価』が必要。
体内にある魔力みたいな物なのか、それを吸い取られる。 でも、ステラリアにはそれが少ないらしく、あの子が自慢げに加護を使う度、わたしのそれが吸い取られるのだ。
「あの時は出来たのに……今頃二人の加護持ちでダラビット家をとっくに追い越していた筈なんだ……!」
「あなた」
「……わたしのせいで、ごめんなさい」
やりたくても、無闇に錬金する妹のせいで出来ません……。
でもそれも、もうしばらくの辛抱なの。 ステラリアは願いを叶え、シャルル第二王子と婚約した。 そして半年前に家を出て、今は王子妃教育の為に王宮に行っている。
婚儀が済んだら伝えよう、あなたの加護はわたしが請け負っていたんだって。
そうしたら、今よりもっとマシな顔でリオネルと……
と、思っていたら数日後―――
突然家に帰ってきた妹は、
「王族なんて息苦しいッ! あんなの足枷を付けられた罪人みたいだわッ!」
と言って、忍耐の無い自分を棚に上げた、だけならまだしも……
「やっぱり女は初恋を追うものよね、姉さんはこんな身体だし、わたし、リオネルの妻になるわっ!」
……わたしは開いた口が塞がらず、目のクマは一層広がっていった。
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