12 / 17
12,
リオネルに遅れてわたしは大広間に戻った。 中央階段にはお父様と二人の姿。 アインツマン様はその場には行かず、周りの祝福に応えている。
……そうだ、コリーン様が来てない、息子の婚約発表なのに。
「わたしのせい……か」
常識のある人達だから、わたしの家族と違って。 まだ自分がまともに成長出来たのは、ダラビット家の人達とロベルトのおかげかな。
「悪魔……」
そう、それはしっかりと受け止めなくてはいけない。 大き過ぎる加護の力は、使い方を間違えば悪魔の力になりうるんだ。
「それでは例の物をここへ!」
「――っ!」
ぼ、ぼうっとしてる場合じゃない、宴は進んでいるんだから!
「おお、これは……」
わたしが提案した余興、妹へのプレゼントを使用人達が運んできた。
台座に乗った大きな石。 神殿の柱にも使われそうな程立派な物だ。 これを街の石材屋で買って、この日の為に用意した。
「まさかこれを……」
ざわめく来客達にステラリアは両手を広げ、
「お集まりいただいた皆様の為、祝福のお返しにお見せ致します、『加護の力』をっ!」
まるで自分が神の代行者のように言い放つ。
「見ててね、リオネルっ」
あざとく微笑み首を傾げる妹に、リオネルは「ああ」と応えた。
一段、二段と階段を下りるステラリア。 お父様はその姿ではなく、これから錬金される石をもう金のように、浅ましい目付きで凝視している。
「こんなに大きな……」
お母様に至っては、自分が声を漏らしている事さえ気づいていない。
目を覚ましてあげる、本当の加護持ちが。
―――神はわたし、ダリア・ノームホルンに加護を授けた、錬金の加護を。
「それでは皆様、よくご覧くださいっ」
でもそれは、双子という神すら気づかなかった偶然により、一つの力に、二つの出口を作ってしまった。
それを今夜……
――――塞いでやるッ!
わたしは初めて、うるさく戸を叩く借金取りを追い払った。
自分で払え。
妹に、ステラリアから取ってこいと――――
あなたにおすすめの小説
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
お義姉様ばかりずるいと義妹に婚約者を取られましたが、隣国で幸せに暮らしているのでどうぞご自由に。なので今更帰って来いと言われても困ります。
神崎 ルナ
恋愛
フラン・サンシェルジュ侯爵令嬢は、義妹のローズに『お義姉様だけずるい』と何度も持ち物を取り上げられてきた。
ついにはアール王子との婚約も奪われてしまう。
フランは隣国へと出奔し、生計を立てることに。
一方その頃、アール王子達は――。
『おい、何でこんな簡単な書類整理ができないんだ?』
『お義姉様にできたことなら私にだってできますわ。もうしばらくお待ち下さい』
仕事をフランに押し付けていたため、書類が山のように溜まる王子の執務室では毎日のように言い合いがされていた。
『やはり、フランでないとダメだ』
ローズとの婚約はそのままに、フランをタダ働きさせるつもりのアール王子がフランを探しに行くが既にフランは隣国で新しい生活を手に入れていた。
その頃サンシェルジュ侯爵邸ではーー。
「見つけたぞっ!!」
「なっ、お前はっ!?」
冒険者風の男がローズと継母に迫っていた。
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
婚約者を病弱な妹に譲れと言われた夜、冷徹公爵が「では君は私がもらう」と手を差し伸べてくれました
ゆぷしろん
恋愛
伯爵令嬢リネットは、長年支えてきた婚約者エドガーを、病弱な妹ミレイユに譲るよう家族から一方的に命じられる。領地運営の書類作成や商会との交渉までこなし、婚約者を陰で支えてきたにもかかわらず、その働きはすべて当然のように奪われてきたのだ。
失意の中で婚約解消を受け入れたリネットの前に現れたのは、“冷徹公爵”と噂される王弟アシュレイ・クロフォード。
彼はリネットの才覚を見抜き、「では君は私がもらう」と告げて、公爵領へ迎え入れる。
ようやく自分の能力を正当に認められる場所を得たリネットは、北方公爵領で筆頭補佐官として活躍し始める。一方、彼女を失った元婚約者と家族は、次第に行き詰まっていき――。
これは、搾取され続けた令嬢が、自分の価値を認めてくれる人と出会い、後悔する者たちを置き去りにして幸せを掴む物語。