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しおりを挟む「あ……れ?」
台座の上、変化を始めない石に戸惑うステラリア。 そして来客達がざわめき出した頃、
「――ぅぶッ……」
――――『取り立て』が始まった。
「どっ、どうしたステラリア!?」
「きゃあああッ!!」
グラグラと頭を揺らし、薄ピンクのドレスが大広間に崩れ落ちる。
「――みんな離れてッ! 危険です!」
駆け寄ろうとする父を制し、わたしは悶え苦しむステラリアの傍で屈み込む。
「姉さ、助け……て……」
わたしが長く耐えた苦しみを、今妹が受け苦しんでいる。
「なん……で……こんな……」
でも、そんなの……
―――当然でしょう?
「ステラリア、錬金には対価が必要なの。 その苦しみが対価なのよ」
周りには聴こえない小さな声で、今まで無尽蔵だと思っていた錬金の真実を教えてあげた。
「そうか、双子の加護持ちの姉、彼女なら救えるかもしれん」
「いやだが、姉の方は力が無いと聞いたが……」
「どうなんだダリアッ! ステラリアは大丈夫なんだろうなッ!」
お父様……大丈夫な訳ないでしょう、力の無い者が神の加護を使って。
「――そんなの知らないッ! あ゛あ゛あぁ……い、いいから助けてよッ! 頭が割れる! 死んじゃうぅぅッ……!」
「加護を授かったのはわたしだけ。 あなたは今まで、わたしの支払った対価で錬金してただけなの」
頭を抱えじたばたとのたまう妹に、聞いているかなんて関係なく話し続けた。
「あなたが約束を守っていれば、こんな事にはならなかった」
「約束……―――は? い、いや……なに? 身体が……」
ステラリアの身体が、足先から変化を始めた。 支払えなければそうなる、それを解るのは加護を授かったわたしだけ。
「い、石になってく……? ―――やっ、いやぁああッ!! 姉さんごめんなさいッ!! 何でも言うこと聞くから……!」
「……そうね、じゃあ」
石像へと変わっていく妹を眺め、わたしは嗤った。
「今までの分、全部返してくれない?」
それを聞いて、もう胸元まで石化したステラリアは、
「や……だ…―――」
最後までわがままを言って、歪んだ顔の石像になった。
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