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第8章 国立学校編
国王の決断 3
しおりを挟む王都が大混乱を起こした数日間、王都では火事などで倒壊したりした建物を直したりして、街の復興に勤しんでいた。
街では当時、純白のドラゴンに乗った銀髪の少年が空から大量の水を雨のように降らせたことから、その少年は『神の使い』だと口々に噂していた。
もちろんそれは半分当たっていると俺は思うけど、俺自身は『神の使い』じゃないよ?多分。
でもその噂を聞いた学校の生徒は、すぐに俺だと気づいたらしい。
学校は翌日から普通にあったので、登校した俺は知らない人にも声をかけられてちょっと大変だった。
そして第1王妃はあの後3日くらいで目を覚ましたらしい。
リーシェさんが話を聞いたところ、どうやら俺たちがダンジョンに遠征しに行った頃からの記憶がないらしい。
多分その頃に神父から強力な『隷属の魔法』をかけられたのだろう。
現在はミラー騎士団長と子供の3人で自分に与えられている後宮で過ごし、国王からの沙汰があるまで待っている状態らしい。
国王はあの夜に言っていた通り、翌日には国民に王都で何があったのかを包み隠さず公表した。
この王都が神聖法国の魔の手にかかりそうになっていたこと、その者によって国の重要な騎士団が操られてしまっていたこと、その首謀者が教会の神父であったこと、そして……それを解決したのが創造神自らであることを。
更にはあの光の柱が、創造神が神聖法国の魔の手から王都を救ってくれたものであると公表した。
それを受けての王都の民は「この王都は創造神様が自ら救ってくれた」と感謝をし、無くなってしまった教会を創造神を祀る為に建て直そうと動いているようだ。
そして、今。
王城の謁見の間では俺たちスノーホワイトへ王都を救ったことの褒賞を渡すため、全ての貴族が集められている。
その中にはミラー騎士団長もいるようだ。
俺たちは現在、数段高い位置にある玉座の前で横に整列している。
そんな俺たちを見て、貴族たちはヒソヒソと小声で何かを話している。
「国王様のご入場です。」
少しざわついていた謁見の間に声が響き渡る。
すると一瞬にしてその場が静寂に包まれ、全ての人は頭を垂れる。
その静寂の中、国王が第1王妃、第2王妃、第1王子、第2王子、第1王女を伴って入場する。
6人が全て座ると、国王は「面を上げよ」と言った。
「此度、皆のものに集まってもらったのは言うまでもない。今回の王都の事件を解決するのに奔走してくれた我が国の冒険者チーム『スノーホワイト』に褒美をやるためだ。もちろんそれ以外の話もあるが、まずは良いことを執り行おう。」
国王は凛とした通る声でそう告げた。
「この者たちは混乱の極みにあった王都を救うため、火事を消すために大量の雨を降らしたり、暴徒が出ていたらすかさず沈静化させたり、この事件の首謀者を取り押さえたりしてくれたのだ。そのおかげでこの王都はこの程度の被害で済んだ。余はとても感謝をしている。」
国王はそう言うと、軽く頭を下げた。
するとその場はざわついたが、国王の咳払いですぐに静まる。
「本来はこれほどの働きをしてくれたのだから我が国の『お抱え』にしたいところなのだが、このスノーホワイトは一つの国に束縛されるのが嫌だとのことだ。余は褒美をあげたいのに嫌がることをするのは間違っていると思うのだ。よって褒美は違うものにしようと思う。ちなみにそなたたちは何が欲しいのだ?」
国王は俺たちに問いかけてきた。
う~ん……欲しい物ねぇ……?
するとスコットさんが代表して口を開く。
「我々は別に欲しい物など何も無いです。大体の物は自らの力で手に入るので。そのかわりといってはなんですが、我々の故郷と我々にはこれからも干渉をしないで頂きたい。我々が望むのはただそれだけです。これを守って頂けないようなら、我々スノーホワイトはこの国での活動は一切せずに出て行かせてもらいます。もちろんこれは王族のみならず、こちらにいる貴族の皆様にも守っていただきたい。」
国王はスコットさんのその言葉を受けて頷いた。
「もちろんそれは厳守であるな。皆のものもしっかりと心に留めておくのだ。この命令を守れぬ者には、たとえ王族といえども罰則を課す。……良いな?」
国王はチラッとセインとローラを見ると、そう念を押した。
もう『隷属の魔法』が解けている2人は、バツの悪そうな顔で頷いた。
それから俺たちはその場から下がり、リッキーの父親のそばへと向かった。
「それでは次の話だ。……これは先代の手落ちによる不幸な出来事でもあったのだが、今回の事件によって判明したことがある。……ミラー騎士団長、前へ。」
国王がそう言うと、覚悟を決めた顔でミラー騎士団長が先ほど俺たちがいた場所で膝立ちをし、顔を伏せる。
「そなたはなぜ呼ばれたのか分かっておるな?」
「……はっ!」
「ならば、良い。詳しくはこの場では語らぬが、そなたには申し訳ない事をした。本来はそなたと第1王妃のクイーナは結婚をする事になっていたと、この前知らされたのだ。もっと早く知っていれば、もっと早く対応できたのだが……。ともかく、今日付けで余と第1王妃クイーナは離縁をいたす。クイーナよ、今後はミラー騎士団長と末永く暮らすと良い。」
国王はそう言って、右隣にいる第1王妃を見て軽く頭を下げた。
それを見たクイーナさんは驚いた顔で「そんな!頭を上げてくださいませ!」と慌てた。
「良いのだ、そもそもは先代国王の不始末。親の失態は子の責任で何とかせねばならぬ。申し訳なかったな。」
「でも……本当に良いのですか?」
「ああ。達者で暮らせよ?」
とても優しい目でクイーナさんを見る国王。
それに対して感謝で目を潤ませているクイーナさんは何度も頷いた。
ミラー騎士団長も泣き笑いのような顔でクイーナさんを見ている。
これからは親子3人で堂々と一緒に暮らせるようになるのだ。
俺はセインのことが気になったのだが、彼は全く普通の顔で2人を見ていた。
そして俺が見ていることに気がつくと、にやりと笑う。
そして口パクで「大丈夫だよ」と伝えてきた。
あとから聞いた話だと、セインは第1王妃の籍から第2王妃の籍へと移っていたらしい。
これからはクロードやローラと本当の兄弟となるのだ。
彼にとっても『新しい人生』となったようだ。
皆が幸せな人生を送れることを、俺は祈っているよ!
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