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第9章 ネシアのダンジョン編
レッカさん復活!
しおりを挟む翌朝、俺たちはいつものように女将さんに頼んでおいたビーフシチューのような物や汁物、他にもおかずを何品か受け取り、俺の腕輪の中へとしまう。
この中なら腐ったりしないしね!
それを見ていた獣人3人組は少し羨ましそうな顔でこちらを見ていた。
どうやらこの宿の出すご飯の美味しさにハマったらしく、「俺も時間停止のマジックバッグを買っておけばよかった……」なんてガックリとしている。……少しなら分けるよ?
女将さんにまた来るよと挨拶をし、俺達は揃って街を出る。
そこから転移しようかと思ったら、グリーさんが「ほんなら私の背中に乗るといいでっせ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて乗っていくことに。
それならばこの国のあちこちを空から眺められて獣人3人組も楽しめるだろう。
流石に街のそばで竜化するわけにもいかないので、少し離れた森の近くまで行く。
そこで竜化したグリーさんにみんなで乗ると、一路4属性竜の長たちの普段いる山の頂上へと向かう。
その途中に王都の上空近くを飛んでいき、街の復興も眺めた。
俺がいた頃よりは燃えてしまった建物も撤去されていて、ちょっと見には火災が発生していたとは思えない。
そしてさらに飛んでいると、スコットさん達の故郷、スノーピークが見えてくる。
その上空に差し掛かった時、なんとなく光が反射したような気がしたが、俺の張った結界の魔道具なんだろうか?
そしてその側の森の上空を飛んで山のてっぺんまで一気に向かう。
グリーさんが頂上の開けた場所に降りると、みんなすぐに降りた。
グリーさんにも休んでもらわないとだもんね!
「ありがとう、グリーさん!おかげで色々見てこれて楽しかったよ!」
俺がにこにこ顔でグリーさんにそう言うと、人化したグリーさんも嬉しそうに「また良かったら空中散歩に行きまっか?」と言ってきたので、今すぐには行かないけれど今度行こうと約束をする。
「じゃあレッカさんを火口に運びたいんだけど、どうしたらいいのかな?」
俺がアースさん達に聞くと、「グリーに乗せてもらって向かうといい」と言われた。おや、案外すぐだったね?
「流石に火口へは僕はついて行けないな。だって水属性だからね。」
「俺もアクアみたいに無理ではないが、グリーほど耐性があるわけではないからな。」
アクアさんとアースさんはそれぞれ行けない理由を教えてくれた。
なるほど確かにアクアさんは無理だろう。水だもんね!
「俺たちは火口の付近で眺めていてもいいか?」
獣人3人組とスコットさんたちがそう言った。
どうやら流石に火口は結界があって落ちないと分かっていても怖いんだそうな。
そこで火口の縁まではグリーさんに連れて行ってもらい、みんなを降ろしたら何があるかわからないので結界を張って待機してもらうことになった。
そうやってみんなに見守られながら、俺とグリーさんは火口の中のマグマが溜まっている中央の小島へと降り立つ。
結界を幾重にも張ってあるからグリーさんも俺も熱くはないし全然平気だけど、周りから見たら不安なんだろうな。スコットさん達の不安そうな顔が見える。
「ここにレッカさんを置けばいいの?」
「そうや。このマグマの中に落としても良いんやけど、あれだけ弱ってたやんか。なら無理はせえへんでこの辺りに置いて徐々に回復させたほうがええはずや。」
グリーさんはそう言って地面を指さす。
俺はその場所にレッカさんを横たえると、急にレッカさんは火に包まれた。
俺が慌てて離れると、火に包まれたレッカさんはどんどん普通のドラゴンへと戻っていく。
完全に元の大きさに戻ると、しばらくしてレッカさんが目を覚ました。
「……ん?ここはどこ?……あれ?もしかして私の住処?」
辺りをキョロキョロと見ていたレッカさんは、羽繕いをするかのように1度大きく羽を広げて身を震わせた。
すると次の瞬間、一瞬で人化したレッカさん。
……もう体は大丈夫なのかな?
「……それで、あの後どうなったのかしら?まぁここにいるってことは無事に脱出できたんでしょうけど。」
レッカさんはそばにグリーさんの姿を見つけると、すぐにどうなったのかを聞きたがった。
なので2人で何があったのかの話をしてやると、レッカさんは顔を顰めて唸っている。
「そうだ、レッカさんにもやっぱりつけていて欲しくて。どうぞ!」
俺は4属性竜の長達の為に作ったアクセサリーを渡す。
最初は遠慮していたレッカさんも、グリーさんが身につけているのを見てつける気になったようだ。
目の前でレッカさんが腕につけてくれたので、俺は少しホッとした。
「それにしてもあのダンジョン、かなり強力な能力持っていたわね。いくら人化しているっていっても火の属性そのものの私の炎をかなり長いこと耐えていたもの。それにあの小部屋の壁もかなり強固だったものね。アースは土属性だから破壊できたのかもしれないけど、この4属性竜の長である私の力をもってしても破壊できないなんて……。ダンジョンってそんな特異な場所なのかしらね?」
レッカさんはそう言って唸っているが、ダンジョン2回目の俺にはよく分からない。
でも少なくても、他のダンジョンはあんな風に冒険者を捕食しようなんて考えていないと思うから、あんな経験はもうないと思うけど……。
とりあえずレッカさんはまだ完璧に本調子とは行かないらしいので、もうしばらくその場所にいるそうだ。
俺たちがその場を離れるとドラゴンへと戻ったので、しばらくはあの姿で過ごすのだろう。
それから俺はみんなのもとへと戻り、一緒に山頂へと戻った。
「いやぁ~、火口も眺め凄かったけど、そこにドラゴンがいるなんて、な!すげぇ経験だったぜ!」
ヒューザは山頂に降り立つとそんな風に興奮しながら
話してくれた。
俺にとってはもう見慣れた事だからリアクション薄くてごめん!
クーガーは火口の縁からマグマに落ちるんじゃないかって不安でしょうがなかったらしく、そんなこと考える余裕はなかったそうだ。
パニアさんはどちらかというとヒューザと同じだったようで、兄弟でも性格はやっぱり違うんだね。
「じゃあ僕たちはここでお別れだね。」
「なかなか楽しかったで、ダンジョンっちゅうもんは。また行く時は誘ってや~!」
「そうだな。今度は皆で踏破しよう。」
スコットさんがグリーさんにそう答えると、3人は嬉しそうな返事をした。
俺たちは4属性竜の長たち3人にお別れの挨拶をすると、転移で一気にネシアへ向かった。
相変わらずの転移での出現に、門番さんは笑って「帰ってきたな?」と言ってくれた。
「みんな無事なようで安心したよ。ダンジョンに潜りに行くって言っていたから、少し心配していたんだ。でも流石闘技大会での実力者揃いだから、何も問題はなかったようだな。」
門番のその言葉に、俺たちは一様に苦笑いをする。
全く何もなかったかっていうとそうでもないからだ。
とりあえず今日はあちこち行って疲れたので、すぐさまいつもの宿へと向かい、いつもの部屋を取る。
ここでも良い笑顔で「お帰りなさいませ」と言われ、なんだかホッとした。
ヒューザ達とは玄関前で別れたが、明日今後の打ち合わせのためにこの宿に来てくれることになっている。
ネシアではあのダンジョンへの遠征など、共同管理をしてもらえるのかを話し合わないとならない。
とりあえず今夜はその事を忘れて、しっかりと旅の疲れを取らないとね!
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−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
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