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第11章 冬休み編
ベビーダンジョン攻略 2
しおりを挟むとりあえず角に来た俺たちはそこで休憩を取ることにする。
俺はどうせ敵はこないと分かってはいても、先ほどのリッキーの話の通りに無駄に厳重に結界を何枚も張っておく。
そしてその中でテーブルを出して料理を始めた。
とにかく魔力をいっぱい消費できるように、水球を浮かべてその中でサラダ用のレタスなどを洗ったり、唐揚げを作るのにいつものIHコンロではなく土魔法を利用して作った竈に薪をくべて火魔法で火をつけたりなど、そこかしこで魔法を使ってみた。
お昼ご飯が出来上がって、皆に唐揚げ定食を作って出してやる。
リッキーは俺が作っている最中につまみ食いをしたようで、気づいた時には別のテーブルの上に置いた唐揚げの数が目に見えて数が減っていた。
……そんなにお腹空いていたのか?
とりあえずあんなに食べたのだからそこまでいらないか?とリッキーの皿には少しだけみんなより減らして盛り付けて出してみた。
「……シエルさんや。なんか俺の皿の唐揚げの数が少ない気がするんだけど、見間違いかな?」
渋い顔をしてリッキーが俺を見てそう言った。
おかしいなぁ……あんなに食べたのにそんなにお腹入るのか?
「いや、見間違いじゃないよ。だってリッキー、俺がまだ唐揚げを作っている最中に結構な数を食べたでしょ?だから少し減らしてみたんだけど……まだ食べられるようなら盛ってあげるよ?」
俺はリッキーに「でもあんなに食べてお腹入るのか?」と言うと、リッキーは眉間に皺を寄せてよく分からないといった顔で俺を見る。
「なぁ、俺はつまみ食いなんてしてないぞ?ずっとスコット達といたんだからな。」
「……えっ?」
「だから、俺はつまみ食いなんてしてないって言ってるんだよ。」
リッキーはそう言って真剣な顔で俺を見る。
でも……じゃあ誰があんなにたくさん食べたんだ?
ユーリもスコットさん達と常にいたのは話し声で分かったから違うだろ?
セバスはそもそもほとんど食事を取らずに俺の魔力だけで過ごしている。
だがリッキーは後ろにいるのを『見た』んだけどなぁ……?見間違いだったのか?
少し釈然としないが、とりあえず俺は唐揚げをたくさん揚げていたのでリッキーにも同数に盛り付けし直す。
「……なぁシエル。その『俺』、本当に俺だったのか?」
リッキーがおかしな事を俺に聞いてきた。
……どういう事?
「俺がお前の方を見た時にはお前しかいなかったぞ?なぁ、スコット?」
「確かにシエルしかいなかったな。実はみんなでお前がいつ『できたよ』と言うのかって話していたんだ。それに唐揚げのいい匂いがしていたしな。みんなで話しながらずっと見ていたんだ。」
リッキーとスコットさんがそんな事を言っているが……でも俺も見たんだよなぁ……。
とりあえず食事が冷めないうちに、と食べ始める。
あまりに美味しかったので、おかわりはみんなに何個ずつ行き渡るかと唐揚げの乗っている皿に目をやったのだが、そこには空の皿が。
「はぁ~!?どういう事っ!?」
俺は驚きのあまり、思わず叫んでしまう。
だって最後にリッキーの皿に盛った時はまだ山盛りの唐揚げがあったのだ。
それはみんなも見ていたのか、俺の声で視線の先にある空の皿を見て驚きの声を上げた。
「どういう事だ?いつの間にか皿が空になっているなんて。」
「……だな。俺もあの皿に唐揚げが山盛りになっていたのは見たから、すげえ驚いたんだけど?さっきから皆自分の皿の唐揚げを食べるのに夢中で見ていなかったけど、それでも誰も席を立ってないのは分かるだろ?」
リッキーは真剣な表情でみんなを見回す。
……そうだよね、確かに誰も席は立ってない。それは間違いない。
何だかこうも不思議な事が続くと、少し不気味なんだけど?
その時、ユーリが天井を見上げて首を傾げた。
「……そうなの?それは酷くない?だって僕たちの食事だよ?勝手に食べるのは盗っ人と同じだよ。欲しかったらきちんと言えばいいのに。」
ユーリは何やらそんな事を言いながら顔を顰めている。
……どういう事?
もしかして『あの人』が食べたがったのか?
俺はユーリにそう聞くと、「違うよ」と言われた。
「じゃあ、誰が食べたんだ?」
「それはね、このダンジョンのダンジョンマスターが食べちゃったんだってさ。それは見ていたから間違いがないらしいよ。」
「……。」
ユーリの話で、食べていたのがこのダンジョンのマスターだというのは分かったが、一体どうやって食べたんだろう?
すると突然ユーリが何もない空間に向かって「ねぇ、出てきなよ」と声をかける。
するとその何もない空間に、突如10歳くらいの小柄な子供が現れた。
その子はユーリの方を見てビクビクと怯えながら震えている。
「君、何か言うことない?」
ユーリは冷ややかな目でその子を見ると突き放すように言う。
……ユーリってたまにとても冷たい言い方するよね?
するとその子は怯えながらも「ごめんなさい、勝手に食べてしまって」と言って、ペコリと頭を下げた。
その子を見ていたリッキーが「こいつが犯人で間違いなさそうだ」と言った。
「こいつ、ずっと心の中で謝罪をしてるんだ。」
リッキーの言葉に、その子は恐怖の表情でリッキーを見た。
それを見てリッキーは「怯えさせるつもりはなかったんだがな」と苦笑いをする。
「っ!本当に、ごめんなさいっ!!あまりに美味しそうだったので1つだけ……と食べてしまったのですが、止まらなくなってしまって。申し訳なかったです……。」
その子は涙目になりながら、俺たち全員を見渡して謝ってきた。
「まぁ……悪い事をしたってちゃんと理解しているなら、もうやらないんだぞ?」
スコットさんは苦笑いをしながらそんな事を言う。
それを聞いたその子は「はいっ!もうしませんっ!」と言って、涙をぬぐった。
まだまだ子供のダンジョンマスターだ。
素直に反省もしているようだし、今後はちゃんとやれるよね!
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