異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
163 / 519
第4章 ネシア国〜

宿での会話

しおりを挟む
闘技場から宿への帰り、どうやら先ほどの試合を見ていた観客が大勢いたらしく、すれ違う時に「明後日も楽しみにしてるよ!」などと声をかけられた。

その度に会釈をするので、気疲れも加わってしまったようだ。

宿に着き、部屋へと戻るとまずはそのまま自分のベッドに倒れ込む。……つ、疲れたぁ……。

俺は思ったより疲れていたらしく、そのまま夢の国へと旅立ってしまった。

- - - - - - - - -

『スコット視点』

「シエルは寝てしまったか?」

俺はシエルに付き添っていたセバスに声を掛ける。

シエルのベッドにはユーリも寄り添って一緒に寝ていた。

「ええ、相当疲れていたのか、ベッドに倒れ込んだと思うとそのまま意識を手放したようです。」

セバスの報告を聞きながら部屋の中に入ってシエルのベッドのそばに来ると、椅子に座ってシエルの髪を指で梳いてやる。

「さすがにまだ身体は子供だからな。あれだけの試合をしたら、その場では気づかなかったとしても、やはり疲れは溜まっているもんだ。今回は魔力消費がほとんどなかったから昏睡とまではいかないだろうからすぐ起きるだろうからゆっくり寝させてやってくれ。」

俺はセバスにそう言うと、最後にシエルの頭をグシャッと撫でて部屋を出る。


みんながソファーに集まっているところに来ると、俺もエミリーの隣に座った。

「シエルの様子はどうだったの?」

「ユーリと並んでぐっすりだ。どうやらベッドに倒れ込んだらそのまま寝てしまったらしい。」

「それは相当疲れていたのね。ゆっくり寝させてやらないと。」

隣りに座っているエミリーとの会話を聞いて、みんなも頷く。

やはりみんなも同じ意見のようだ。

するとリッキーがおもむろに話を切り出した。

「なぁ、みんなは気づいていたか知らないが、俺たちが闘技場からこの宿に帰ろうとした時、俺達に敵意を送ってきたやつがいたんだ。」

すると竜の長たち4人は気づいていたようで頷いている。

人族の俺たちは、リッキーを除いて3人とも気づかなかったようだ。

「せやなぁ、なんや『明後日を楽しみにしてろ』みたいな事を言ってましたなぁ。」

「そうね。しかも敵意をしっかりと送ってくるくらいだから相当よね。」

「僕、振り向いたんだけど、猫科の顔をしている……なんだっけ、あの人!リッキーの後で戦っていたチャンピオン?だっけ?ともかくその人が呟いたみたい。」

「……クーガーだ。覚えておいたほうがいいぞ?」

皆の話を纏めると、どうやらクーガーが俺たちに向かって敵意丸出しで呟いた、ということらしい。

明後日ってことは、対象はリッキー……か?

確か明後日の第1試合がリッキーとクーガーだったはず。

何も無ければ良いが……。

そんな事があった後では不安しか残らない対戦だ。

まぁ、いざとなれば攻撃を避けるだけならリッキーにとっては楽勝だがな。

「そういえばシエルと最後に戦っていたリオンってやつ、初対面なのにかなりシエルと仲良さそうだったな。」

リッキーがちょっとムッとした顔でそう言う。

何だ、男のヤキモチか?

俺はニヤニヤしながらリッキーを見る。

すると逆に睨み返された。……フフフッ、図星だな?

「それに関してはシエルが起きたら聞こう。どうやら彼にも自分が使っていた魔力コーティングの技を教えてやったみたいだし、何か事情があるのかもしれない。」

俺がそう言うとみんなは頷いた。

そろそろ夕方になるので、シエルの分は適当に選んで夕飯を頼み、各々自由時間を満喫していた。



ちょうど夕飯が運ばれてきた時、シエルが寝ぼけた顔で部屋から出てきた。
それに続いてユーリとセバスも出てくる。

シエルとユーリはテーブルの上に夕食が並べられているのを見てお腹がぐぅ~と鳴ったらしく、シエルは顔を赤くしてお腹を押さえている。

「ほら、シエルとユーリ、セバスの分もあるから席に着きなさい。」

俺の言葉に3人ともダイニングにある席に着いた。

このフロアの中央のスペースにはソファーセットだけではなく、大人数が使える大きめのダイニングテーブルがある。

運んでもらった料理はそこにセッティングしてもらっているので、後はそれぞれの料理のところに座るだけだ。

先に俺たちが座っているので、残った席の食べたい料理のところに座るだけなんだが、先にシエルとユーリに選ばせてからセバスが座った。

さすがに従者気質が強いんだな、セバスは。

「さてみんな席に着いたし、食べ始めよう。シエルたちも腹が減っているしな。」

俺がそう言ってシエルを見てニヤリと笑うと、シエルは口を尖らせて拗ねた顔になった。

ハハッ、まだまだ子供だなぁ?



みんなで食事を堪能した後、シエルに俺達と別れた後の出来事を聞いた。

どうやら対戦相手はリオンさんといって、この前この国に連れ帰ってきた獣人の避難民の中に従兄弟がいたらしい。

ちょうど避難民にクーガーの兄の事をなにか知らないか聞く予定だったから、そのうちの1人の住所を聞けたのは幸運だったと思う。

さっそく明日の初戦が終わったら皆で聞きに行くことになった。

そう、明日は俺の試合がある。

まぁ……ちょっと緊張はするが、2人の戦いを見て、俺も第1試合ぐらいは大丈夫な気がしている。

問題は「明後日の試合を楽しみにしてろ」と言った人物がリッキーと戦うということだ。

この事は一応シエルにも伝えておく。

明後日の試合に出るのはリッキーとシエルだからな。

できれば何か対策を取れたら……とは思うが、どうかな。

それにしても初戦だからなのか、大会前日の集まりの時に言っていた「巫女」とやらの姿は会場には見当たらなかった。

最終試合のリオンさんが倒れた後も、出てくる感じは全くなかったしな。

もしかして大会の日程の終わり頃じゃないと出てこないんじゃないかという疑惑もありそうだ。

なんだか嫌な予感がするから、できれば明後日のクーガーとリッキーの試合の時にはいてほしいんだが……。



子供組が寝に退室した後、そんな思いを胸に抱えながらも、夜更けまでリッキー達と酒を酌み交わした。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

処理中です...