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第4章 ネシア国〜
ラブさんの帰国
しおりを挟むその後、宿に着くと早々にルーシェさん達はローランへと帰っていった。
今回は俺とグリーさんだけで王都のラブさん夫婦の元へと向かうことになり、他の人は部屋で待機だ。
その間みんな手持ち無沙汰なので、昨日購入しておいたみんなへのお土産を取り出して置いていく。
帰ってくるまでに食べておいてね、また買ってくるから!
それから俺とグリーさんは、王都のゼネラル商会の1階に転移した。
……ごめん、そこしか覚えてなかったんだよね。エヘッ!
いつも転移する時にかなり光の洪水になるので、今回も転移した先がパニックになっているんじゃないかと焦ったが、そこは王都の有名な大商会、その従業員は何事にも動じなかったようだ。
俺が転移してくるのが分かった途端に代表のフォードさんへと連絡が入ったらしく、光が収まった頃には階段から降りてくるのが見えた。
「待ってましたよ、シエルさん。」
フォードさんはそう言って俺へと近づいてきた。
そのまま3人でラブさんのいる屋敷へと移動する。
ホント、近いからすぐだね!
屋敷に着くと、その足でラブさんのいる所へと向かった。
どうやら俺たちが来るのを待っていたらしく、応接室にいたようだ。
「ただいま、ラブ。シエルさん達を連れてきたよ。」
「おかえりなさい、フォード。」
ラブさんはソファーから立ち上がるとフォードさんの元へと向かい、お帰りのキスをその頬へとする。
……これ、クーガーが見たらショック受けそうだな。
「こんにちは、ラブさん。ネシアに行く方法を何にするか決めました?」
「実はまだ決めかねていて……。」
「じゃあ、もしだったら俺たちが話し合って来た方法で行ってみませんか?」
俺がそう言うと、ラブさん達は顔を見合わせた。
「それってどんな方法ですか?」
フォードさんが俺に聞いてくる。
俺は昨日あれから頑張って(?)睡眠魔法を覚えた事、グリーさんの背中に乗った後にそれを使って結界を張れば落ちることもない事を伝えた。
「……なるほど、それなら私達も恐怖に怯えなくてよさそうですね。どうせなら私にもその睡眠魔法をかけてもらえないですか?」
「分かりました。でも今は俺しか補助できる人がいないので、竜になったグリーさんの背中には自力で登ってもらってもいいですか?ラブさんは身重なので俺が慎重に運びます。」
「そうですか、それは助かります!私、体を動かす仕事に就いてないので、男としては非力なんですよ。」
フォードさんが少し恥ずかしそうにそう言ってきた。
なるほど服の上からでもわかるが、確かにこの世界の人にしては筋肉が少なそうな体型だ。
身重のラブさんを落としたら大変なことになってしまう。
「……重いかもしれませんが、大丈夫ですか?」
ラフさんが不安そうな顔で聞いてくる。
多分俺の体型もフォードさんに負けず劣らずの体型だから不安なんだろう。
「大丈夫やで、こう見えてもシエルさん、めっちゃ力持ちなんやで?」
「そうなんですか?全くそうは見えないんですが……あっ、すみません!失礼なことを言ってしまいましたね!」
うっかりそんな事を言ってしまったラブさんが、慌てて俺に謝ってきた。
「いや、それはしょうがないですよ、だってこの体型だし、子供ですからね。でもグリーさんが言うように、見かけと違ってかなりの力持ちなんで、安心してください!」
俺はそう言うと服はまくらなかったが、力こぶを出す仕草をした。
それを見て2人は吹き出し、笑いだした。
どうやら竜に乗って移動することへの緊張が少しは取れたようだ。
だけど、なんだか複雑な気分だ。
それから俺たちは街の外へと歩いて移動をし、途中でみんなへのお土産を買う。
王都で今流行っている物を紹介してもらって買いながら門へと向かう。
門から出ると暫く歩き、門番から見えないように近くの森へと入った。
そして少し広いところでグリーさんが竜へと戻ると、2人はかなり驚いていた。
やっぱり話で聞いているのと実際に目の前で見るのとでは全く違ったんだろうね。
「さあ、はよ私の背中に乗ってや~。シエルさんも優しく乗せてやってな~。」
グリーさんに促され、フォードさんは恐る恐るグリーさんの体によじ登ろうとしたんだが……非力すぎて自力で登れなかったので、まずはフォードさんを背中に乗せることにした。
かなりの身長差があるのでお姫様抱っこは無理ということで、おんぶをしてグリーさんの背中に登る。
俺はフォードさんを背負ってひょいひょいと簡単に登っていく。
それを身近で体験している背負われている本人は、相当に驚いたんだろう、降ろしても暫くは唖然とした顔のままだった。
俺は彼を降ろすと、すぐにラブさんの方へ向かう。
ラブさんはまだそこまでお腹は目立ってはいないが、だからこそ安定期前だろうから慎重に運ばなくてはならない。
ラブさんはフォードさんほど身長差がないのでお姫様抱っこをすると、グリーさんが手のひらを差し出した。
「手に乗ったら合図しいや~。背中に手の届くまで持ち上げてやるさかい、そこから背中に乗ってや~。」
なるほど、簡易リフト?みたいなものだね!
……あれ?それ、フォードさんの時にもしてあげればよかったんじゃ?
ふと俺はそう思ったけど、お口にチャックだ。
下手に言って要らぬいざこざをもたらしてもしょうがないからね!
俺が合図をするとグリーさんはゆっくりと手を背中に向けて上げていく。
あともうちょっとっていう所で手の動きは止まった。
そこから俺はグリーさんの背中へとゆっくり移動する。
俺も含めて3人が背中に乗ると、グリーさんにそのまま動かないようにお願いをして、2人に睡眠魔法を同時にかける。
かけ始めてから数分経った頃には、2人はぐっすりと横たわって寝始めた。
俺はグリーさんの背中全体に結界を張ると背中に布団を敷き、そこに2人を寝かせる。
もちろん掛け布団も掛けてあげないとね!
準備ができたのでグリーさんに声をかけるとゆっくりと上昇していき、かなりの高度になると一気に高速水平飛行を始めた。
2人が眠っていて結界も張っているからって、無茶し過ぎだよ!俺も怖いじゃないか!
そう思っているうちに王都からネシア国の門前まであっという間に移動してしまった。
門前では門番さんが「またか!」みたいな顔で俺たちを見た。……ごめん、何回もやっちゃって。
俺はグリーさんの背中から2人をゆっくりと降ろす。
そして門番さんが誘導してくれた先にある椅子に倒れないように座らせていった。
「また君たちか?今度は何だ?」
「すみません、驚かせちゃって。今度はこの人達を連れてきたんです。……寝ているのは、グリーさんの背中で運ばれる恐怖を味わないためですので、決して攫ってきたわけじゃないですからね?」
「……そんなことは思ってないが、眠っているのはそういう理由なんだな。彼らは目覚められるか?」
「はい、いま起こしますね。」
俺はそう言うと、グリーさんの背中から降ろして椅子に座らせた2人に回復魔法を流す。
すると2人は直ぐに目を覚ました。
2人は目を覚ました途端にとても驚いた顔になり、辺りをキョロキョロしていた。
それでもラブさんは門番を見ると笑顔になり、フォードさんに告げた。
「フォード、ここがネシアよ!私の故郷だわ!」
「……ここが?」
「そう!この部屋はまだ入国のための部屋だけど……この部屋を出たらネシアなの!久々だからとても嬉しいわ!家族や友人達はみんな、変わらずに元気しているかしら?」
「そうか、それなら頼んで連れてきてもらったかいがあるね。」
2人はとても嬉しそうな顔で見つめ合って会話している。
それを見ていた門番さんが「そうか、久々の帰国ならさぞ嬉しかろう。存分に楽しみなさい。」と言って笑った。
それから俺たちはその部屋からネシアの中へと続いているドアから外へと出る。
さあ、みんなの待つ宿へと戻ろうか!
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−−−−−−
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