異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第6章 王都近くのダンジョン編

さあ、スノービークへ帰ろう! 1

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リーシェさんの話を聞き終わった後、俺はリーシェさんと共に皆を探しに向かう。

俺も転移は使えるが、その事は他の者には内緒にしている。もちろんリーシェさんは知っているけどね!

リーシェさんはダンジョンの中では1度通った場所ならば即転移できるようで、下の階には意外とサクサク向かえた。

なので、すぐにエミリーさんとリリーさんペアとユーリとセバスペアにはすぐ合流できた。

だが上階に向かったスコットさんやリッキーの所へはそうはいかない。

リーシェさんはまだ今回のダンジョンでは行っていないからだ。

20階層まで一旦戻ってきたので、そこからは俺たちだけで向かうとリーシェさんに伝えると「遠慮しなくていいよ」言われ、探し終わるまで一緒にいてくれることになった。

「じゃあそういう事だから、もうしばらく私が不在の状態で頑張っておくれ。その分は上の階層の魔物の間引きで許してくれ。さぁ、シエルくん達も行こうか!」

リーシェさんはボス部屋前に集まったこの階層の魔法師団に向かってそう言い、俺達を伴って21階層への階段へ向かう。

もう先にここのフロアボスはボス部屋前で待機しているルークさん達が何とか倒しておいてくれたとの事で、今は出現する気配もない。



リーシェさんと共に上がってきた21階層は、20階層の『冬』とは打って変わってまたもや石壁で囲まれた通路だった。

このダンジョンはフィールドフロア以外はずっとこんな感じなのだろう。

21階層にはリッキー、22階層にはスコットさんがいるはずだ。

とりあえずはこの階層のリッキーを探さないとね!



しばらくは分かれ道もなかったのでまっすぐ進むと、遠くの方から誰かが戦っている音が聞こえた。

急いで駆けつけたが、そこで戦っていたのは軍人さんだけだった。

でもしっかりとした連係プレーで危ないところはどこにもなく、逆に余裕さえ感じられる戦いだった。

ちなみに戦っていた魔物はほとんどはドロップ品になってしまっていたけど、今残っている魔物から想像するに山の中で出てくるような魔物だったんだろう。

最後に残っていた巨大な熊が無事にドロップ品へと変わったところで、俺たちは彼らに声をかけた。

「ちょっといいですか~?うちのメンバーは大体どこらへんにいますかね?」

俺の声を聞いて彼らの1人が振り向く。

「ああ、うちに参加してくれたスノーホワイトのメンバーのことかい?彼なら上の階に向かう付近で戦っているよ。……あっ、リーシェ魔法師団長、お帰りなさい!お早いお着きですね!」

その人はリーシェさんの顔を見つけると、慌ててそう挨拶をした。

「ああ、ここでの任務に早く戻らなければならなかったから特急で国王に謁見し、私の転移魔法で素早くここまで来たんだよ。」

「なるほど……リーシェ団長は転移魔法が使えますもんね!納得です!」

リーシェさんのその言葉に、その軍人さんはにこやかな笑顔で頷いた。よほど早く帰ってきてくれたのが嬉しかったんだろう。


それから俺たちは彼らに激励を贈ると、上の階の階段までひたすら進んだ。

途中でもう1組だけ軍人さんだけのパーティーと出会ったが、彼らも最初に会った人達と同じ反応でリーシェさんの帰りを喜んでいた。

やはりいるのといないのとでは安心感が違うのだろう。


そしてもうすぐで上の階への階段に着くという所で、ようやくリッキーの加入しているチームに遭遇できた。

「よう、シエル!皆も無事だったようだな!」

久しぶりに会ったリッキーは、なんだかいつもと違ってとてもハイテンションな感じで俺たちを出迎えた。

……ん?どうした?なんかあったのか?

「……ねぇ、リッキー?あなた、何かあったの?」

俺の他に、リリーさんもリッキーの些細な異変に気がついたようだ。

すると一緒にいた軍人さん……多分服装から魔法士団員の方だと思われる人が俺たちの方へやってきてコソッと耳打ちしてきた。

「実は彼、昨日の最後の戦闘で何度も大怪我をしたんですよ。大量の魔物が急に湧いたので対処しきれなかった我々をかばい、1人で魔物の群れに突っ込んで行ったのです。ですがどんな大怪我をしても一瞬で治るので、まるで鬼神の様にあっという間にその大量の魔物を処理できたんです。本当に彼がいてくれたおかげで助かりました。あの時の魔物の数を見た時の我々の絶望ときたら……。だから我々は被害が出なかった事を感謝してもしきれないんです。彼にも何度も言いましたが……どうもありがとうございました!」

その軍人さんはよほどその時のことが心に深く刻まれたのか、少し涙目で感謝の言葉を伝えてきた。

……そっか、あのペンダント、とても役に立ったんだね。作ったかいがあったよ。

俺は何だか少し誇らしく思い、照れ隠しに「えへへっ!」と笑った。


そこからはリッキーも俺たちのチームに合流し、リッキーは今まで加入していた人達に別れの挨拶をした。

「俺がいなくなったら、あまり無理をしないようにな?」

「はい、そこは理解しています!」

リッキーと先ほど話しかけてきていた軍人さんが話していると、そこへリーシェさんが加わった。

「そうだね、ここから先はさらに敵も強くなって危なくなる。君にはこの魔道具を渡しておくから、危なくなったら使いなさい。」

リーシェさんがそう言って手渡したものは巾着袋だった。

その軍人さんが中から取り出したものをチラッと見ると、どうやら親指くらいの丸い石のようだった。

「これは……?」

「これは結界を張る魔道具で、使用者の使った魔力量によって強度が変わるから気をつけなさい。あと、強い敵や大量の敵が出たらあまり迷わずに使用しなさい。命は大事にするんだよ?」

袋の中身を見た軍人さんに。リーシェさんがそう説明をした。

受け取った軍人さんは「分かりました!」と元気よく返事をすると、ビシッ!と音がしそうなほどの勢いで敬礼をした。



リッキーと軍人さん達は最後に握手をして、もう少し先にある22階層への階段を目指す。

先程の彼らから離れた所で、俺は歩きながらリッキーに声をかけた。

「リッキー、さっき昨日の事をちらっと聞いたんだが……大変だったようだな。」

俺が気遣わしそうにリッキーを見ると、リッキーは苦笑いをしながら「そこまでのことじゃねぇよ」と言った。

「でも……何回も大怪我をしたって聞いたぞ?その度に一瞬で治ったとも聞いたが……。だからって怪我を負った時には痛みはあるだろ?きつかったんじゃないのか?」

するとリッキーは急に真剣な顔になり、真っ直ぐ前を見たまま俺に言った。

「……大丈夫だ。コンマ1秒ほどの痛みなんて、感じたうちに入らねぇよ。……でも今回は本当にお前が作った魔道具に助けられた感じだな。あれがなかったら間違いなく俺はここにはいないで、ダンジョンの肥やしになっていたかもしれないからな。」

真剣な声色で話していたリッキーが、最後の方ではいつものおちゃらけた感じに戻っていた。

そっか……そこまでひどく痛まなかったなら、それは少しでも幸いだったよね。


俺もそこまで考えて作ってなかったから、少なくても怪我をする確率が高い俺たちの分は何かしら改良を考えなきゃだな。
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