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番外編
⑦ ブリュエット Side マリールイーズの母
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あれから8年ほど時が過ぎた。
王太子の婚約者争奪戦は結局ダークホースであった伯爵令嬢に決まった。
争奪戦に参戦すらしていなかった彼女は王太子の亡くなった婚約者の友人で、王太子と慰め合ううちに愛が芽生えたらしい。挨拶程度の関係だが、なかなか理知的で素敵な女性だった。
しかしなかなか御子が産まれず、側妃を娶る娶らないで大騒ぎになった後、側妃を娶った途端に懐妊がわかり、今年無事王子が誕生した。
まあつまり、結局中央が落ち着くことなく、私たちの結婚も延び延びになってる今日この頃。社交の場では陰でクスクス高望みの嫁き遅れと笑われております。
とか考えていると、私の横で朝日に照らされながら呑気に寝ているヤツの横顔が憎たらしく見えてきた。体を起こして、カジミールの口を思いっきり横にひっぱりながらグニグニと歪ませる。
「あにおひへうんへふは!」
目を覚まし、驚いた顔をしながら私の腕を拘束する。
「なんか、イラついたもので。」
私のその言葉に困ったような顔をする。
「・・・何か変な寝言でも言っていましたか?」
「いいえぇ、ただ昨日はえらくご機嫌に帰ってきたわりに勿体ぶるだけ勿体ぶって、その理由も告げずに酔い潰れて寝てしまったことなんてなんとも思っていませんから。ええ、なんとも。」
にっこりと笑顔で言うとさすがに自覚があったのか気まずそうに苦笑する。
ちなみに王太子が婚姻を結んだ頃から私とカジミールは王都の小さい屋敷で一緒に生活するようになった。情勢がなかなか安定しない中、結婚の話が進まず我慢の限界を迎えた結果である。一応妊娠しないように気をつけてはいるが子供ができてもそれはそれで万々歳、産んで跡取りにすればよし、若気の至りと結婚をこじつけられるかも知れないという打算付き。
「ごめんなさい、柄にもなくはしゃいでいたようです。許してもらえませんか?」
「理由次第ね。」
ツンっとそっぽをむく。
クスクスと後ろから笑い声がする。
「式の日程が決まりました。」
「・・・?何か特別な式典ってあったかしら?」
「結婚式ですよ。」
「あら、おめでたい。そろそろ学院卒業する従姉妹さんの?」
「いいえ、私たちのです。」
「はい?」
グイっと体が引っ張られ、彼と向き合わせられる。
「あなたと私の結婚式の日程が決まりました。」
「え、・・・本当に?」
「はい、本当です。」
彼の顔に浮かぶのは、嘘偽りなど全くみられない満面の笑み。
ふつふつと喜びが浮かんでくる、そして感極まった私は、声にならない叫びを上げて彼に飛びついた。
それからすぐにその屋敷を引き払い、お互い実家暮らしになった。正式に結婚の日程も決まったことで、同居のことが下手な人間に知られるのも都合が悪い。まあ、私も初婚とはいえウブなふりをするのも無理がある年齢ではあるのだけど、体裁というやつだ。
結婚式は今の社交シーズンが終わってから3ヶ月後、婚約がこれから発表されることを踏まえると早すぎるほどだが、下手に引き延ばすとまた機会を失ってしまうということで強行するようだ。
期間が短いのでそれからは忙しい日々だった。
様々な人への挨拶回りや、結婚式を終えるまで領地には帰れないのと、子供ができるまで私も王都に住む方針なので仕事の引継ぎなど、それに本命の結婚式の準備。
慌ただしい日々だったが、念願の結婚というご褒美に浮かれる私にはその忙しさすらもご褒美だった。
幸せを目の前にして、私は浮かれてしまっていたのだ。
************
チャンスっ!
(( ̄ー+( ̄ー+( ̄ー+( ̄ー+ ̄)ー+ ̄)ー+ ̄)ー+ ̄)ニヤニヤニヤニヤリ
王太子の婚約者争奪戦は結局ダークホースであった伯爵令嬢に決まった。
争奪戦に参戦すらしていなかった彼女は王太子の亡くなった婚約者の友人で、王太子と慰め合ううちに愛が芽生えたらしい。挨拶程度の関係だが、なかなか理知的で素敵な女性だった。
しかしなかなか御子が産まれず、側妃を娶る娶らないで大騒ぎになった後、側妃を娶った途端に懐妊がわかり、今年無事王子が誕生した。
まあつまり、結局中央が落ち着くことなく、私たちの結婚も延び延びになってる今日この頃。社交の場では陰でクスクス高望みの嫁き遅れと笑われております。
とか考えていると、私の横で朝日に照らされながら呑気に寝ているヤツの横顔が憎たらしく見えてきた。体を起こして、カジミールの口を思いっきり横にひっぱりながらグニグニと歪ませる。
「あにおひへうんへふは!」
目を覚まし、驚いた顔をしながら私の腕を拘束する。
「なんか、イラついたもので。」
私のその言葉に困ったような顔をする。
「・・・何か変な寝言でも言っていましたか?」
「いいえぇ、ただ昨日はえらくご機嫌に帰ってきたわりに勿体ぶるだけ勿体ぶって、その理由も告げずに酔い潰れて寝てしまったことなんてなんとも思っていませんから。ええ、なんとも。」
にっこりと笑顔で言うとさすがに自覚があったのか気まずそうに苦笑する。
ちなみに王太子が婚姻を結んだ頃から私とカジミールは王都の小さい屋敷で一緒に生活するようになった。情勢がなかなか安定しない中、結婚の話が進まず我慢の限界を迎えた結果である。一応妊娠しないように気をつけてはいるが子供ができてもそれはそれで万々歳、産んで跡取りにすればよし、若気の至りと結婚をこじつけられるかも知れないという打算付き。
「ごめんなさい、柄にもなくはしゃいでいたようです。許してもらえませんか?」
「理由次第ね。」
ツンっとそっぽをむく。
クスクスと後ろから笑い声がする。
「式の日程が決まりました。」
「・・・?何か特別な式典ってあったかしら?」
「結婚式ですよ。」
「あら、おめでたい。そろそろ学院卒業する従姉妹さんの?」
「いいえ、私たちのです。」
「はい?」
グイっと体が引っ張られ、彼と向き合わせられる。
「あなたと私の結婚式の日程が決まりました。」
「え、・・・本当に?」
「はい、本当です。」
彼の顔に浮かぶのは、嘘偽りなど全くみられない満面の笑み。
ふつふつと喜びが浮かんでくる、そして感極まった私は、声にならない叫びを上げて彼に飛びついた。
それからすぐにその屋敷を引き払い、お互い実家暮らしになった。正式に結婚の日程も決まったことで、同居のことが下手な人間に知られるのも都合が悪い。まあ、私も初婚とはいえウブなふりをするのも無理がある年齢ではあるのだけど、体裁というやつだ。
結婚式は今の社交シーズンが終わってから3ヶ月後、婚約がこれから発表されることを踏まえると早すぎるほどだが、下手に引き延ばすとまた機会を失ってしまうということで強行するようだ。
期間が短いのでそれからは忙しい日々だった。
様々な人への挨拶回りや、結婚式を終えるまで領地には帰れないのと、子供ができるまで私も王都に住む方針なので仕事の引継ぎなど、それに本命の結婚式の準備。
慌ただしい日々だったが、念願の結婚というご褒美に浮かれる私にはその忙しさすらもご褒美だった。
幸せを目の前にして、私は浮かれてしまっていたのだ。
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