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~ 崩壊の危機 ~
10話
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セレスティアは胸を張り、キッパリと告げた。
「まだ、なんにも、かんがえてないっ!」
肩透かしを食らったマリアベルがガクッと脱力する。
『はぁ!? ないの!? 自信満々に宣言するから、てっきりなにか作戦があるのかと思いましたわよ』
「せてぃ、しゃんしゃいだもん。すぐに、おもいちゅかない、もん」
『都合よく三歳ぶらないの、まったくもう。いいこと、セレスティア。男女の仲を取り持つのは、そう簡単なことじゃないんですのよ』
「どれくらい、むずかしい?」
首を傾げて尋ねると、マリアベルは思案するように斜め上を見ながら答えた。
『そうねぇ……アルフレッドを笑顔にするくらいの難易度かしら?』
「うわぁ。それ、ふかのうだよ……。だってわたし、おとうしゃまのえがお、みたことないもん。んぅ……やっぱり、なかなおり、ムリかな?」
『諦めるのはまだ早いですわよ。【子はかすがい】ってことわざが異国にはあることですし、やるだけやってみてもいいんじゃありませんこと?』
「こわ、カス? ギョイ?」
『違うわ、【子はかすがい】よ。かすがいは木材同士を繋ぐ道具のことですわね。そこから転じて、子供が夫婦の仲を繋ぎ止めたり、結びつきを強めたりするって意味になったらしいですわ』
「ほほぅ」
セレスティアは険しい顔で腕組みし、なんとかその〝かすがい〟になれないものかと必死に考えを巡らせるものの。
「ふぁ……」
あれこれ頭を悩ませているうちに、名案の代わりに抗えない眠気がやってきてしまった。
「……むぅ。たいりょく……なさしゅぎぃ……」
不便な三歳児の身体を恨めしく思いながら目を擦れば、マリアベルがテーブルから床に下り立ち、ベッドへ先導するように歩き出した。
『作戦会議はまた明日にしましょう。ほら、いらっしゃい。子供はたくさん寝ないと大きくなれないわよ』
「……ん、ねる」
ふらつく足でベッドに近づき、柔らかな毛布に包まった。
春先とはいえ夜はまだ冷え込む。
窓辺に長時間いたせいで、気付かぬうちに手足の先がすっかり冷えてしまっていた。
セレスティアは暖を取るようにマリアベルを引き寄せ、抱き締める。
てっきり文句が飛んでくるかと思いきや彼女はなにも言わず、寝かしつけるように長毛の尻尾でトントンと優しく叩いてくれた。
その心地よいリズムとぬくもりで、さらにまぶたが重くなっていく。
『おやすみ、セレスティア』
「……ん。おや、しゅみ……」
挨拶を交わしてしばらくすると、真夜中の静かな寝室に、ひとりと一匹の安らかな寝息が漂いはじめるのだった。
「まだ、なんにも、かんがえてないっ!」
肩透かしを食らったマリアベルがガクッと脱力する。
『はぁ!? ないの!? 自信満々に宣言するから、てっきりなにか作戦があるのかと思いましたわよ』
「せてぃ、しゃんしゃいだもん。すぐに、おもいちゅかない、もん」
『都合よく三歳ぶらないの、まったくもう。いいこと、セレスティア。男女の仲を取り持つのは、そう簡単なことじゃないんですのよ』
「どれくらい、むずかしい?」
首を傾げて尋ねると、マリアベルは思案するように斜め上を見ながら答えた。
『そうねぇ……アルフレッドを笑顔にするくらいの難易度かしら?』
「うわぁ。それ、ふかのうだよ……。だってわたし、おとうしゃまのえがお、みたことないもん。んぅ……やっぱり、なかなおり、ムリかな?」
『諦めるのはまだ早いですわよ。【子はかすがい】ってことわざが異国にはあることですし、やるだけやってみてもいいんじゃありませんこと?』
「こわ、カス? ギョイ?」
『違うわ、【子はかすがい】よ。かすがいは木材同士を繋ぐ道具のことですわね。そこから転じて、子供が夫婦の仲を繋ぎ止めたり、結びつきを強めたりするって意味になったらしいですわ』
「ほほぅ」
セレスティアは険しい顔で腕組みし、なんとかその〝かすがい〟になれないものかと必死に考えを巡らせるものの。
「ふぁ……」
あれこれ頭を悩ませているうちに、名案の代わりに抗えない眠気がやってきてしまった。
「……むぅ。たいりょく……なさしゅぎぃ……」
不便な三歳児の身体を恨めしく思いながら目を擦れば、マリアベルがテーブルから床に下り立ち、ベッドへ先導するように歩き出した。
『作戦会議はまた明日にしましょう。ほら、いらっしゃい。子供はたくさん寝ないと大きくなれないわよ』
「……ん、ねる」
ふらつく足でベッドに近づき、柔らかな毛布に包まった。
春先とはいえ夜はまだ冷え込む。
窓辺に長時間いたせいで、気付かぬうちに手足の先がすっかり冷えてしまっていた。
セレスティアは暖を取るようにマリアベルを引き寄せ、抱き締める。
てっきり文句が飛んでくるかと思いきや彼女はなにも言わず、寝かしつけるように長毛の尻尾でトントンと優しく叩いてくれた。
その心地よいリズムとぬくもりで、さらにまぶたが重くなっていく。
『おやすみ、セレスティア』
「……ん。おや、しゅみ……」
挨拶を交わしてしばらくすると、真夜中の静かな寝室に、ひとりと一匹の安らかな寝息が漂いはじめるのだった。
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