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~ 救国の転生幼魔女 ~
31話
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水草を思わせるアイビーグリーンの瞳と視線が交わる。
満月と湖を背景に佇んでいたのは、目を見張るような美しい青年だった。
『こんな夜更けに、ひとりで散歩は危ないよ?』
そう告げてくる声は穏やかで、セレスティアを心配するような響きを帯びている。
やや垂れ目の、優しげで甘い顔立ち。
月光に照らされて輝くプラチナブロンドの髪。
すらりとした長身の体躯にまとうのは、生成りのシャツと黒い脚衣。
一見すると村人のような出で立ちだが、ここに常人が足を踏み入れられるはずがない。
『家まで送ってあげよう。さあ、お嬢さん。こちらへおいで』
セレスティアは差し出された手が届かぬよう数歩後ろに下がり、ドレスの裾を持って頭を下げた。
「ありがとう、ございます。ですが、おきづかいには、およびません。いえには、ゆうじんの、みちあんないで、かえれますので。わたしといっしょにいた、けっとしーと、しるふは、ぶじでしょうか?」
『もちろん無事だよ。今宵は君とふたりきりで話がしたくてね。彼らには入り口で待ってもらうことにしたんだ』
「そうでしたか……」
マリアベルたちの安否を知り、セレスティアは胸を撫で下ろす。
それと同時に、急に襲いかかられなかったことにも安堵した。
どうやらこのケルピーは温和な性格のようだ。話し方は理知的で、会話にも快く応じてくれる。
ひとまず、最悪の状況はまぬがれた。
『ああ、そうだ。確か人間界では、初対面の相手には名乗るのが礼儀だったかな? 僕はルドウィジア、この湖一帯を管理している者だ。よろしくね、セレスティア』
「わたしのこと、しっているのですか?」
『もちろん。風の精たちがやかましく話していたからね。我らが友、《緑の民》の魂を受け継ぐ生まれ変わりの子だと。噂を聞いた時から、ずっと会いたいと思っていたんだ。君の方から来てくれて嬉しい』
歓迎するよ、セレスティア──と甘く囁き、笑顔で一歩、また一歩と距離を縮めてくるルドウィジア。
にこやかではあるものの、その目はまるで獲物を狙う肉食獣のように真剣で、恐怖を感じる。セレスティアは早いところ交渉をまとめてこの場を去ろうと、震えを抑えてルドウィジアに語りかけた。
「きょうは、あなたにおねがいがあって、きたのです」
『願い? ああ、もしかして星露草が欲しいのかい?』
「は、はい! そうなのですっ! ことしは、しがいちゅうが、たくさんうまれるので、くじょするくすりを、つくりたくて。ほしつゆくさが、どうしてもひつようなのです。すこしいただいても、よろしいですか?」
『いいよ~』
「え?」
あまりにも軽い返事に、拍子抜けするセレスティア。
『ただし──』
ルドウィジアがそう呟いた次の瞬間、突風が吹き荒れた。
思わず目を閉じたセレスティアは、頬にひんやりとした感触がしてハッと目を開けた。
するとそこにあったのは、目線を合わせるようにセレスティアの前に跪き、頬に手を添えているルドウィジアの姿。
彼の冷たい指先が、頬骨の上をさらりと撫でていく。
『君が、僕のものになってくれるなら、ね』
満月と湖を背景に佇んでいたのは、目を見張るような美しい青年だった。
『こんな夜更けに、ひとりで散歩は危ないよ?』
そう告げてくる声は穏やかで、セレスティアを心配するような響きを帯びている。
やや垂れ目の、優しげで甘い顔立ち。
月光に照らされて輝くプラチナブロンドの髪。
すらりとした長身の体躯にまとうのは、生成りのシャツと黒い脚衣。
一見すると村人のような出で立ちだが、ここに常人が足を踏み入れられるはずがない。
『家まで送ってあげよう。さあ、お嬢さん。こちらへおいで』
セレスティアは差し出された手が届かぬよう数歩後ろに下がり、ドレスの裾を持って頭を下げた。
「ありがとう、ございます。ですが、おきづかいには、およびません。いえには、ゆうじんの、みちあんないで、かえれますので。わたしといっしょにいた、けっとしーと、しるふは、ぶじでしょうか?」
『もちろん無事だよ。今宵は君とふたりきりで話がしたくてね。彼らには入り口で待ってもらうことにしたんだ』
「そうでしたか……」
マリアベルたちの安否を知り、セレスティアは胸を撫で下ろす。
それと同時に、急に襲いかかられなかったことにも安堵した。
どうやらこのケルピーは温和な性格のようだ。話し方は理知的で、会話にも快く応じてくれる。
ひとまず、最悪の状況はまぬがれた。
『ああ、そうだ。確か人間界では、初対面の相手には名乗るのが礼儀だったかな? 僕はルドウィジア、この湖一帯を管理している者だ。よろしくね、セレスティア』
「わたしのこと、しっているのですか?」
『もちろん。風の精たちがやかましく話していたからね。我らが友、《緑の民》の魂を受け継ぐ生まれ変わりの子だと。噂を聞いた時から、ずっと会いたいと思っていたんだ。君の方から来てくれて嬉しい』
歓迎するよ、セレスティア──と甘く囁き、笑顔で一歩、また一歩と距離を縮めてくるルドウィジア。
にこやかではあるものの、その目はまるで獲物を狙う肉食獣のように真剣で、恐怖を感じる。セレスティアは早いところ交渉をまとめてこの場を去ろうと、震えを抑えてルドウィジアに語りかけた。
「きょうは、あなたにおねがいがあって、きたのです」
『願い? ああ、もしかして星露草が欲しいのかい?』
「は、はい! そうなのですっ! ことしは、しがいちゅうが、たくさんうまれるので、くじょするくすりを、つくりたくて。ほしつゆくさが、どうしてもひつようなのです。すこしいただいても、よろしいですか?」
『いいよ~』
「え?」
あまりにも軽い返事に、拍子抜けするセレスティア。
『ただし──』
ルドウィジアがそう呟いた次の瞬間、突風が吹き荒れた。
思わず目を閉じたセレスティアは、頬にひんやりとした感触がしてハッと目を開けた。
するとそこにあったのは、目線を合わせるようにセレスティアの前に跪き、頬に手を添えているルドウィジアの姿。
彼の冷たい指先が、頬骨の上をさらりと撫でていく。
『君が、僕のものになってくれるなら、ね』
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