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【城下逃亡編】
266 おかわりください ★
しおりを挟む「み、みちるさん……?(え? もうイッちゃったの? まだそんなに……)」
「っ、すみません、千代さんの中……好すぎて……。っ、もちませんでした……、間に合わなくて中で……」
なんとなく下腹部の中央、臍の下辺りが温かい気がする。
見上げた彼の顔は薄暗い灯りでも判るくらい真っ赤に染まり、恥ずかしそうだった。
最後まで致したのはこれが初めてだから、その行為が早いのか遅いのか家光にはよくわからない。
けれども前世で視たり読んだりした行為の数々は、こんなに短かっただろうか。
いや、そんなことはなかったような――。
「あ、中に……」
――痛かったからむしろ助かるけど……、中に出されちゃった……?
満の白い吐液が胎内に注がれた事実に家光は目を瞬かせる。
この世界での避妊方法はいくつかあるが、手っ取り早いのは外に出すこと。
避妊具として一応コンドームのようなものも存在してはいるものの、実用的ではなく破れ易く高価だったり、使い心地が悪かったりとあまり出回っていない。
確実な避妊方法がないのだから、性交自体安易にするものではないのだ。
つまり満は達する前に抜き去ろうとしたものの、失敗してしまったということである。
「……責任を取らせてください」
「え、でも、みちるさん来年輿入れするんじゃ……」
「っ、そうですが、もしややが出来てしまったら私は……」
満の眉間に皺が寄せられ、苦々しい表情を浮かべた。
(あ……みちるさん、これ困ってる……?)
中に出してしまったのは満の落ち度かもしれないが、身体を繋げたのは家光の意思でもある。
遊びのつもりで関係したわけでもないし、ただ二人の想い出を作りたかっただけで、万が一子が出来たとしても満を困らせるつもりはない。
――みちるさんに責任を取ってもらうつもりなんてないのに……。
目の前の満が青褪めているように見えて、総てを察した家光の口からは自然と言の葉が零れ落ちた。
「……私、子ができない薬を飲んでいるんです。だから、大丈夫ですよ?」
――嘘だけど……。
もっと満を身体に刻み込んで記憶に残したい家光は嘘を吐く。
避妊薬など飲んだことはないし、城ではむしろ懐妊しやすい食事を摂らされている。
一晩の性交で妊娠するかは賭けだ。
妊娠期間が半年で生まれるこの世界の人間であっても、懐妊できる確率はそう高くない。
満の子を妊娠出来るならば本望。
幸い男女が逆転した世界である。誰の子を妊娠しても育てる環境は整っているし、将軍の懐妊は喜ばれこそすれ誰に咎められることもない。
ややこしいことがあるとすれば世継ぎ問題だが、満に知らせなければ彼がお家騒動に巻き込まれることは防げる。
囲われの身になる満が我が子の存在を知らないでいることだけは少々可哀想だが、黙っておくのが互いのためかもしれない。
「……っ……くっ……、そう、でしたか……。それは……よかった、です……」
家光の発言に満の眉間には一層深い皺が刻まれた。
……これは一体どういう表情なのだろう、すぐには判断がつかない。
避妊が出来てほっとしているかと思ったのに、安堵しているようには思えない。
それどころか唇を噛みしめ、悔しそうな顔をしているような。
都合の良い解釈だと思うが、もしかして満は輿入れを取りやめ、家光、自らの側室になろうとでもしてくれたというのか――。
正室には既に孝が居る。だから満は側室にしかなれないというのに。
……側室自体を嫌がっていたのに……?
不意に疑問が生じる。
確か、輿入れには満にも利があると言っていた。
あれ程頑なに輿入れを決心していたということは、その“利”は満にとってきっと大きなものなのだ。
それを曲げてまで責任を取ると言ってくれたのか、それともそうであればいいと思ってくれた――ということなのか。
(嘘なんて吐かなければよかったかな……?)
家光は身から出た錆に唇を噛みしめた。口に虚しいと書いて、嘘とはよく言ったものである。
満の心情などわかるわけもないのに早合点し、先んじて口走ってしまった。
偽ることを嫌いそうな彼に今更“さっきの発言は嘘でした、責任を取って輿入れしてくれ”などとは頼めない。
――やっぱり、みちるさんとは一緒になれない運命なのかな……悲しいなあ……。
“満”なんて人物は、前世の大奥には居なかった。
役人に、町人や商人、こちらが望めば誰とでも交流することは可能だが、前の世界での歴史と、この世界の歴史は男女逆転や多少の差異はあれど、大体似通っている。
正室は孝であるし、側室の振も何となく歴史通りの気がする。だから側室になる人物は決まっているとみていい。
家光はふぅと一息小さく吐いて諦めに自嘲し、再び口を開く。
「あの……みちるさん」
「はい……?」
「その……、一度中に出してしまったことですし……もし可能ならこのままもう一度抱いてくれませんか……? 今夜の想い出を、明日から生きていく糧にしたいんです……」
自ら口にするのは恥ずかしいが、満との想い出がもっと欲しい。満を身体の芯まで刻み込み、忘れられない想い出にしたい。
既に生娘ではなくなり目的は達成された。これ以上の交わりは必要ないとはいえ、満に対する想いは本物だ。
僅かの間に感じた痛みだけで、あっさり終わりにしたくはなかった。
少しだけ圧迫感が和らいだが、未だ満とは繋がったまま。
洞の中に居座り続ける満が出て行く気配もないし、彼もそう思っていてくれたりはしないだろうか……。
「……」
「だ、だめですか……?」
満は無言で家光を見下ろしたまま目を瞬かせている。
随分大胆な発言をしてしまった。はしたないことを言ってしまったが、後悔はない。
暫く黙り込まれたが、その後で漸く満が口を開いた。
「……千代さん……、いいんですか?」
「えっ、みちるさんがいいなら私はいくらでも……♡」
「いくらでもって……っ、さっきは情けない姿をお見せしてしまいました。私も、千代さんとの思い出がもっと欲しい……、今度は――」
ちゅっと軽い口付けを落され、満の美しい微笑みが間近で輝く。
眩しさに気が遠くなりかけたところに“今度はもう少し頑張りますね”と、小さな声が雨音に紛れて聞こえた。
「ぁっ……また、大きく……!?(痛いけど少し慣れてきたかも……!)」
「っ……千代さんがあまりに魅力的で……。ゆっくり動きますね」
「はい、みちるさん……♡」
ぬぷ……ぬぷ、と肉壁を分け入るように満の熱がゆっくり抽送を繰り返す。繰り返すうち圧迫感が戻ってくるのを感じ、満の熱い塊が復活したのがわかった。
家光の潤みと先程出された白い吐液が混ざって滑りはよく、始めに感じた痛みが多少薄らいでいる。
「あぁっ♡(なに、今のビリビリってきたよ……!?)」
一度目に感じた痛みだけではない好きところが擦れ、思わず喘ぎが漏れた。
二度目にして感じることができるなんて、性交の才能があるんじゃなかろうか。
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