51 / 51
立冬
11*.
しおりを挟む
言葉なんて、出て来るはずがない。喉の奥に熱の塊があるようで、それが漏れ出さないように飲み込んだ。
関を切ったように好きだと訴える片桐は、俺の鎖骨に額を付けて、顔を見せなかったけれど、
(ちょうどいい)
こっちの目にも移って、何だか目玉がひりひりする。
それを揺すってくるものだから、俺も何か、熱いものが目尻を伝って落ちた。
らしくないこと言いやがって。衝撃のあまり、心臓まで締め付けられる。苦しい。俺は口を引き結んで、もう一度片桐の肩に顔を埋めて、切ない所を責める片桐の熱に溜息を吐いた。
片桐が、熱に浮かされたように、好きだ、と呟くのを自分の嬌声で消してしまうのが惜しくて、息を潜めて耳を澄ませた。
このままただ聞いていたかったけれど、身体が押さえようもなく追い上げられた。こんなときも艶を放つ黒髪と、美しい筋肉の隆起を見せる、湯気の立つ背中。
「…………っ!!」
全身に力が入らなくなって、気を失う瞬間、片桐の熱が注がれる身体の芯に感じながら、意識を手放した。
どこかで、微笑むような吐息が聞こえた、のかも、しれない。
関を切ったように好きだと訴える片桐は、俺の鎖骨に額を付けて、顔を見せなかったけれど、
(ちょうどいい)
こっちの目にも移って、何だか目玉がひりひりする。
それを揺すってくるものだから、俺も何か、熱いものが目尻を伝って落ちた。
らしくないこと言いやがって。衝撃のあまり、心臓まで締め付けられる。苦しい。俺は口を引き結んで、もう一度片桐の肩に顔を埋めて、切ない所を責める片桐の熱に溜息を吐いた。
片桐が、熱に浮かされたように、好きだ、と呟くのを自分の嬌声で消してしまうのが惜しくて、息を潜めて耳を澄ませた。
このままただ聞いていたかったけれど、身体が押さえようもなく追い上げられた。こんなときも艶を放つ黒髪と、美しい筋肉の隆起を見せる、湯気の立つ背中。
「…………っ!!」
全身に力が入らなくなって、気を失う瞬間、片桐の熱が注がれる身体の芯に感じながら、意識を手放した。
どこかで、微笑むような吐息が聞こえた、のかも、しれない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる