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二章~親交会・対立~
※思いの交錯
しおりを挟む月宮がよろめき、クラス内は騒然となる。流石に幾人かは止めに入ろうとするが、美景の睨みでピタリと止まった。
「…なるほど。天下の春宮君が、この様に暴力的だとは思わなかったな。」
殴られても淡々と語る月宮に、あくまで千里の視線は冷ややかだ。
「どうとでも。ただ、今回の事を僕は許す気は無いよ。」
口端に滲む血を乱暴に袖で拭う相手は、忌々しげに千里を睨み据える。
「なるほど。宣戦布告という事か。…では、私も一言。」
「何だい?」
「私も、絶対に許さない。私の大事な人を奪ったお前を。」
千里に呟く様に言うと一度冷たく睨み付け、月宮は教室を去って行く。
うん?
閉まる扉を見送り、生徒達も少しずつ移動を始める頃、千里は疑問符を浮かべる。
大事な人?え?どういう事?
「大丈夫?千里~。」
恵が心配そうに見上げて、千里の腕に擦り寄って来る。
もしや、恵とか美景の事か?
「大丈夫だよ。可愛い妖精さん。」
恵の頭を撫でてやり、千里は少し考え自分の親衛隊隊長へ振り返った。
「美景、放課後に今から言う者達を集めてくれるかい?」
「はい。分かりました。」
素直に頷く相手に微笑み、とりあえず昼食を食べに行く事にする。廊下を歩き右隣を歩く恵は千里の手を握り、左隣の明日霞が「あ」と何か思い出したのか声を上げた。
「どうしたんだい?明日霞。」
「ん~っと、すずちゃんから聞いたんだけど。屋上で何か、面白い事をやってるらしいよ?」
鈴木の情報?明日霞の親衛隊隊長か。もしかして…。
「ふーん。見に行ってみようか。」
食堂を過ぎて購買でいくつか適当な物を買い、屋上へ向かう。屋上にもテラス席があり、立ち入りは特に禁じられてはおらず、Bクラス以上なら自由に出入り出来る。
千里達の姿を目にし、頭を下げる生徒に挨拶を返し明日霞が屋上の扉を開けた。
ガッゴッ…
「何の音?あっ…。」
恵の呟きに、音のする方へ目を向ける。
「おい、こんなんで意識失ってんじゃないですよー?」
「…ひっ!もう、許し……」
膝が、相手の鳩尾に鋭く入る。
「はあ?蛆虫が、人間の言葉を話すなんて何様だ…おい?」
凄いな。
恵は目をぱちくりとし、凄惨な状況に特に怖がりはせず不思議そうに眺める。明日霞などむしろ楽しそうだ。
「へえ?親衛隊の制裁がおおっぴらにされてるなんて、珍しいね。」
「うわ、楽しそうじゃん。良いな~。」
やっぱり、こういった事は驚く事では無いらしい。
目の前では、守山智を襲った四人が全裸にされてフェンスに腕を括られている。その内一人は逆さまにフェンス外に吊るされ、恐怖で泡を吹いて涙と鼻水で酷い有り様だ。
一人、五人ずつで淡々と殴る蹴るを続け、意識を失ったら水を掛けて叩き起こす。特に親衛隊隊長の都丸兄は、生ごみでも見る様な瞳で見下ろしている。
都丸弟が居ないのは、医務室に居る守山に着いているからだろうか。
「…あ、春宮様!」
都丸兄が千里を目にし、慌てて駆け寄って来た。
「この度は、本当にありがとうございました!親衛隊一同、感謝してもしきれません!」
「気にしないで欲しいな。智は、僕にとっても大事な友人だからね。」
柔らかい笑みに、都丸兄もパアッと顔を明るくして何度も頭を下げる。
「本当にありがとうございます!」
(守山様、良かったですね!これで友人以上恋人未満に…)
感激して瞳を潤ませ拳を握る都丸兄に、制裁を続ける親衛隊を見ていた明日霞が声を掛ける。
「ねえ、俺もちょっと遊んでも良い~?」
「…へ?秋道寺様がですか?!ええと、よろしければ。」
思っても居ない発言に戸惑いながら、都丸兄はぐったりとする一人を引きづってきた。その生徒は既に虚ろな瞳で打撲の目立つ体を震わせた。
(お坊っちゃんの興味本位だろうな。)
そう思う都丸兄は、明日霞の本質を知らなかった。
千里との一夜からアブノーマルなプレイを抑えていた明日霞は、そろそろ溜まっていた様だ。
「…千里ちゃーん。こいつにならやっても良い?」
にっこ~と妖しい笑みの相手に、恵と昼食を食べ始めた千里は、良い笑顔で頷いた。
「存分にやって良いよ。」
「…りょーかい。」
明日霞は生徒をうつ伏せに転がし、大量のヘアピンの入ったケースを取り出す。
「都丸、そいつの尻を上げて?」
「はい?」
言われた都丸兄は、生徒の尻を持ち上げる。桃色の男にしては小綺麗な後孔を目にして、明日霞の瞳が細まった。そして、躊躇なく蕾に手に取った一本を突き刺す。
「…っぎ?!」
呻く様な悲鳴を洩らす生徒に、明日霞の笑みが深まる。
「さーて、何本入るかな?都丸、ちゃんと押さえといてね~。」
鼻唄を歌いながら一定の感覚でヘアピンを増やしていく明日霞に、守山親衛隊も目を疑う者も多い。まあ、普段緩い口調のチャラい人物って感じだからね。その行動に、恵もパンを頬張りつつ眉を寄せている。
「あいつって、結構危ないんだ。」
「…うん。制裁としては、良いかもしれないね。」
よくそんな相手に、丸め込めたな、僕は。
「はーい。20本達成~。」
嬉しそうな明日霞は、蕾から垂れる血などお構いなしに今度はクリップを取り出した。
「…よっと。」
今度は仰向けにして、足を思いきり開かせると、生徒の両乳首をクリップで挟む。アルミの鋭いクリップで、痛みに悶えて泣きわめく生徒に、明日霞はただ笑う。
「…いやー。泣くと結構可愛いねえ?」
呆然とする都丸兄は本気で引いていたが、智の為だと思えば嬉しくも思えた。
「凄いですね、秋道寺様…。」
(躊躇の無い動き的に素なんだろうな。鈴木君、よく側にいられるな。)
「え?まだ温い?じゃあ、本気出そっか~。」
緩くそう言う明日霞に、千里すら息を忘れた。
本気じゃ無かったんだ。
思わず、その場の思いが重なった瞬間である。
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