異世界には男しかいないカッコワライ

由紀

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びば学園生活13

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ルークの部屋の扉にある認証紋に、自分の身分証明証であるIDカードを翳す。間も無く扉が開かれて、ルークが顔を出し中へと入るよう勧めてきた。
他には誰も居ないらしい部屋は、俺の部屋とほとんど変わらず広々としていた。中等部から居ると聞いていたが、あまり物は多くない。

通されたリビングに置かれたソファに腰掛ける。斜め横のソファに腰を下ろすルークは、テーブル上の茶器からカップに飲み物を注いでくれている。
うんうん、紅茶かな?流石は貴族、入れるのも様になるって……………おいおい!?

カップから盛大に零れていく中身に驚きつつ、爽やかな笑顔の相手から半分程しか入っていないティーカップを受け取る。

「…これでも1人で上手く出来る様になったんだよ。味はどうかな?」

そうだよな!貴族に産まれたタチだったら、全部周りがやってくれるからな。むしろ、紅茶を淹れようとしたのは偉いぞ。
いただきます…と口をつけて一口飲み込む。

………………うっす。ぬっりい。

自らも飲んでみたルークは何とも言えない表情で、此方へと視線を送る。暫く無言で視線を交わし、どちらとも無く噴き出す。ツボに入ったらしいルークは口元を押さえプルプルと肩を震わせ、アルフレッドは堪らずケラケラと笑う。

「…はあー。可笑しい…ごめん、淹れ直してくる。」
「良い良い、これで十分だって。」

まだ込み上げてくる笑いを堪えようと天井を仰ぎ、深く息を吐く。貴族の割りに部屋に召使いも置かないルークは素直に偉いと思う。
二人の呼吸が落ち着いた所で、やっと本題を切り出された。

「…実は、頼みがあるんだ。」
「?ん。俺に出来る事なら良いけど。」

声の雰囲気としては凄く深刻って程では無さそうだけど。

「三週目の休みにバルディオス帝国に行かなければならないんだけど、一緒に行って欲しいんだ。」
「…えーっと?もう少し詳しく頼む。」

バルディオス帝国に?あの4大国の一つだよな。今一つ話しの方向が見えないので、説明を促す。三週目の休みってことは、再来週のことなのであまり時間は無いという事か。

ふむふむ。どうやら、ルークの第1正室はバルディオス帝国の第1皇子で、第1正室から国の夜会(各国から人が集まる舞踏会?)に出来れば出て欲しいとお願いされた…と。
流石に大国の夜会に出るのは緊張するから、アルフレッドも一緒に行って貰えたら嬉しい…らしい。

おっけーおっけー。話しは分かったけど、俺も田舎者なんだよ?社交場すら未経験ですけど?

「…い、いいよ?」

いや、と言いかけて懇願してくる相手を見たら気持ちは削がれてしまった。こうなれば、壁の花とやらに成りきるしかないのか。なるべく空気になろう。

「ありがとう!本当に助かったよ。」

少し張り詰めていたルークの緊張が解れた様に見えたのは、俺が了承したからだろう。細かいことは、また後日会って話そうと決める。
話しもまとまった所でチェスでも打たないかと誘われるが、用事があるからと断っておく。
また明日、と挨拶を交わし部屋を出て行った。

用事とはファビアンを部屋に呼んだこと。というか、俺はチェスよりオセロが好きだな。この世界には無いけど。…むしろ作ってみるかな。








予定の時間前に部屋へと戻り、まだ物の少ない部屋を見渡す。この世界の娯楽は少なく、貴族なら社交・お茶会・観劇・遠乗りや狩り、盤上遊戯…等が主流みたいだ。
俺の様な若いタチは怪我をする恐れがある行為は推奨されないので、もっぱら読書三昧な日々。むしろ部屋に籠ってにゃんにゃんしまくる奴を責められない。…暇だから。

その時、内扉の認証紋が点滅し光り輝く。紅に輝くのは、俺のハレムの者である証。
扉を開けて、緊張しているのか顔を強張らせるファビアンを中へと招き入れる。お風呂に入ってきたのか、何だか良い匂いがする。肌もつやつやで、爪先まで輝いていた。

我慢できずにその場で抱き締めると、耳まで真っ赤になりそっと背中に回される細い腕。
うわー、めっちゃ良い匂い。何だっけこれ。
首筋の辺りを嗅ぐと、その香りを思い出す。

「…薔薇かな。」
「っはい。その、ネコの中で薔薇を浮かべて入浴するのが流行りでして…。」
「へえ?良いね、好きな香りだ。」
「…あ、ありがとうございます。」

嬉しそうにはにかむ様子は可愛い。やべえ、可愛いすぎる。よし、抱こう………………ッハ、待て待て。

美味しそうなご馳走を前に、本来の目的を忘れる所だった。強靭な精神力で身体を離し、手を引いて寝室へと誘い入れる。決して下心は無いと自分に言い聞かせ、長椅子へと座らせた。

「…ファビアン。何で俺が呼んだと思う?」

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