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第四章(最終章)
第四章
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その日も、『キャッチ・アイ』は予告状を出していた。今回のターゲットは、とある美術館に展示されている「紺青石」という宝石だ。現在の鉱石市場でも、かなりの高価格で取引されるものだ。
その知らせを受けた蒼真は、メンバーの三人にこう言う。
「いよいよ…決戦だ。僕の過去にも、そして彼女たちの関係にも、ケリをつけよう。」
三人はうなずくと、準備を整えて美術館に向かう。
予告した時間は前回同様夜八時。『キャッチ・アイ』は、蒼真がいたころから夜八時の予告を貫いている。
そのころ『キャッチ・アイ』の三人も、話をしていた。
「あいつ、今度はどんな真似をするのかしらね。」とノワールが言う。
「あいつは元から訳の分からないことだらけしでかしてくるから…ま、今の私達には無能だけどね。」とヴィオレッタが言うと、ソレイユが
「あれはただの裏切り者だわ。これであいつともお別れしましょ。」と言い、三人が準備を始めた。
今回のセキュリティは、部屋のドアを閉めると、感圧パネルがアクティブ化し、反応すると館内にサイレンが鳴り響き、パイプなどのすべての出入り口を封鎖するという物だ。だが、そこまでしても逃げられると踏んだ蒼真は、美咲が提案した、ターゲットが置いてあるガラス張りのカバーの下の台に美咲が隠れ、上から忍び込んだところで台から出てきてわざと反応させる、というものを採用した。全員が持ち場につき、その時刻を待った。
午後八時前、館内では突然停電が起こった。そしてそのせいで設置してあるカメラの電源が全て落ち、三人にとってはまたとないタイミングになった。蒼真の予想通り、ヴィオレッタが上からワイヤーを使ってガラスのカバーを切ろうとすると、美咲が台からそのまま床に転がると、一斉にサイレンが鳴り、そのまま起き上がって交戦を始めた。しかし、その戦いの最中にソレイユが紺青石を持ち去ってしまう。
気づいた四人はすぐさま蒼真の導くままに進み、やがて屋上に到着した。
「さすが、少しは学習してるわね。」とヴィオレッタが言うと、
「お誉めに預かり光栄だね…って、毛ほども思ってないけどね。」と蒼真も返す。
「じゃ、まずはこっちの質問に答えてもらおうかしら。なんであの時私たちを裏切った?」ノワールが聞く。
「ついにこれを言うときが来たか…あの時、僕はこの手で人をたしかに殺した。その時に思ったんだよ。あいつらに別れを言わずに、僕が連れ去られたように見せかけりゃいいんじゃないかって。その時僕はもう一つ、こう思った。あいつらの過ちを、わかっているのか。あれが正しいと思っていないか、って。この機会だ、なぜあれまでしていく必要があるんだい?」
「あなたは、私にとって二人目の弟のような人だった。でも、弟は殺された。あんたの両親のように。だから、私と同じ境遇の子を何とかしてやりたいって思ってたのよ。わからない?あなたにはわかるはずよ。」蒼真の問いにノワールが答える。
「それだからあんなのをやっていいと?僕は思わない。たしかに君の言うことは正しくそうだ、ソレイユ。その思いもわかる。でもそれをしたところで、君の弟は喜ぶか?君の弟は、君が一番の姉貴であることを望んでいるはずだ。」
「わかったわ。じゃあそうするわ。でも、私とやらないと気が済まないんじゃない?」ソレイユが言う。
「しょうがない。じゃあ、最後だと誓うんだね。」蒼真も言った。
美咲、遥香、凛久が蒼真に、ソレイユとヴィオレッタがノワールに加勢するように前に出たが、二人は声をそろえて言った。
「その必要はない。これは自分が何とかする問題だ。」
かれこれどのくらいの時間がたっただろうか。長い時間蒼真とノワールが火花を散らしているが、一向に勝敗が決しない。加勢しようとするも止められた五人は、ただ見ていることしかできない。そして蒼真とノワールが構えて、同時に高速移動した。まるで時間が止まったかのような数秒だったが、やがて同時に倒れ込んだ。五人がそれぞれに駆け寄る。すると蒼真が立ち上がり、疲れ切った足でノワールの下へ歩み寄る。
「なによ…とどめを刺すなら、早くやりなさい…」とノワールが言うと、蒼真はトリガーを引くことなく、その場にしゃがみ込み、そのまま傘を開いた。
「とどめなんて…やれるもんじゃないだろう。」蒼真がつぶやいた。
「あんたは弟の為という戦いへの思いが分かった。もちろん冗談なしでさ。僕もやられかけたよ。これまでの事はすべて、あんたの弟の為なんだってわかった。」蒼真が言った後、
「あんたも大概よ…両親の仇、でしょ?それが戦いのすべてだった。」ソレイユも言った。
「まあ一つ言えることは、さっきも言ったけどあんたのやってたことはちょっとばかし度が過ぎてた。だから、最高の姉貴なら最高らしいふるまい方すればよかったんじゃないか?」蒼真が言った。
ソレイユが笑った。この戦いがこうして幕を閉じた。
その知らせを受けた蒼真は、メンバーの三人にこう言う。
「いよいよ…決戦だ。僕の過去にも、そして彼女たちの関係にも、ケリをつけよう。」
三人はうなずくと、準備を整えて美術館に向かう。
予告した時間は前回同様夜八時。『キャッチ・アイ』は、蒼真がいたころから夜八時の予告を貫いている。
そのころ『キャッチ・アイ』の三人も、話をしていた。
「あいつ、今度はどんな真似をするのかしらね。」とノワールが言う。
「あいつは元から訳の分からないことだらけしでかしてくるから…ま、今の私達には無能だけどね。」とヴィオレッタが言うと、ソレイユが
「あれはただの裏切り者だわ。これであいつともお別れしましょ。」と言い、三人が準備を始めた。
今回のセキュリティは、部屋のドアを閉めると、感圧パネルがアクティブ化し、反応すると館内にサイレンが鳴り響き、パイプなどのすべての出入り口を封鎖するという物だ。だが、そこまでしても逃げられると踏んだ蒼真は、美咲が提案した、ターゲットが置いてあるガラス張りのカバーの下の台に美咲が隠れ、上から忍び込んだところで台から出てきてわざと反応させる、というものを採用した。全員が持ち場につき、その時刻を待った。
午後八時前、館内では突然停電が起こった。そしてそのせいで設置してあるカメラの電源が全て落ち、三人にとってはまたとないタイミングになった。蒼真の予想通り、ヴィオレッタが上からワイヤーを使ってガラスのカバーを切ろうとすると、美咲が台からそのまま床に転がると、一斉にサイレンが鳴り、そのまま起き上がって交戦を始めた。しかし、その戦いの最中にソレイユが紺青石を持ち去ってしまう。
気づいた四人はすぐさま蒼真の導くままに進み、やがて屋上に到着した。
「さすが、少しは学習してるわね。」とヴィオレッタが言うと、
「お誉めに預かり光栄だね…って、毛ほども思ってないけどね。」と蒼真も返す。
「じゃ、まずはこっちの質問に答えてもらおうかしら。なんであの時私たちを裏切った?」ノワールが聞く。
「ついにこれを言うときが来たか…あの時、僕はこの手で人をたしかに殺した。その時に思ったんだよ。あいつらに別れを言わずに、僕が連れ去られたように見せかけりゃいいんじゃないかって。その時僕はもう一つ、こう思った。あいつらの過ちを、わかっているのか。あれが正しいと思っていないか、って。この機会だ、なぜあれまでしていく必要があるんだい?」
「あなたは、私にとって二人目の弟のような人だった。でも、弟は殺された。あんたの両親のように。だから、私と同じ境遇の子を何とかしてやりたいって思ってたのよ。わからない?あなたにはわかるはずよ。」蒼真の問いにノワールが答える。
「それだからあんなのをやっていいと?僕は思わない。たしかに君の言うことは正しくそうだ、ソレイユ。その思いもわかる。でもそれをしたところで、君の弟は喜ぶか?君の弟は、君が一番の姉貴であることを望んでいるはずだ。」
「わかったわ。じゃあそうするわ。でも、私とやらないと気が済まないんじゃない?」ソレイユが言う。
「しょうがない。じゃあ、最後だと誓うんだね。」蒼真も言った。
美咲、遥香、凛久が蒼真に、ソレイユとヴィオレッタがノワールに加勢するように前に出たが、二人は声をそろえて言った。
「その必要はない。これは自分が何とかする問題だ。」
かれこれどのくらいの時間がたっただろうか。長い時間蒼真とノワールが火花を散らしているが、一向に勝敗が決しない。加勢しようとするも止められた五人は、ただ見ていることしかできない。そして蒼真とノワールが構えて、同時に高速移動した。まるで時間が止まったかのような数秒だったが、やがて同時に倒れ込んだ。五人がそれぞれに駆け寄る。すると蒼真が立ち上がり、疲れ切った足でノワールの下へ歩み寄る。
「なによ…とどめを刺すなら、早くやりなさい…」とノワールが言うと、蒼真はトリガーを引くことなく、その場にしゃがみ込み、そのまま傘を開いた。
「とどめなんて…やれるもんじゃないだろう。」蒼真がつぶやいた。
「あんたは弟の為という戦いへの思いが分かった。もちろん冗談なしでさ。僕もやられかけたよ。これまでの事はすべて、あんたの弟の為なんだってわかった。」蒼真が言った後、
「あんたも大概よ…両親の仇、でしょ?それが戦いのすべてだった。」ソレイユも言った。
「まあ一つ言えることは、さっきも言ったけどあんたのやってたことはちょっとばかし度が過ぎてた。だから、最高の姉貴なら最高らしいふるまい方すればよかったんじゃないか?」蒼真が言った。
ソレイユが笑った。この戦いがこうして幕を閉じた。
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