きのうの為に

henoru

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事を知る

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事を知る

次の日事件が起きた
教室で水彩画の授業中先生が教室に居なかったせいか 
ふざける田中たち 
田中がつまづいて 僕にのしかかってきた 避けようと手を振ると 
僕の腕が水差しの入れ物にあたり 後ろへ跳んだ 跳んだ水差しは 田中には当たらず 
飯島莉奈の背中に 水差の赤い水が、ぶっかかってしまった 驚いていると 
ふざけていた田中たちは 飯島莉奈の惨状を見て 
「ああー大変だ 神木がぶっかけた」と叫んだ 
一瞬でその場は僕が悪者のような空気を作ってしまった 
僕は言い訳ができなかった「違う違う」と言ったが 騒動の中で声は消されていた
飯島莉奈の周りには心配で集まった女子達によって 陸斗が非難のまととなった 田中たちと一緒にフザていることになってしまった 
田中は俺はカンケーねーよと女子に食ってかかった 
確かに僕の腕に当たった水差が原因だけど 
田中たちと一緒にふざけていなかったこと 田中をさけることで腕を上げたことも この空気では 言い訳のようで言う勇気がなかった 
そんなことより飯島莉奈が心配だった 飯島莉奈の白いワンピースが赤くマダラ色になってびしょびしょだった 思わず 莉奈に謝った

職員室の隣にある小さな会議室のような部屋で 
先生に 神木は田中たちがふざけて僕の背中に寄りかかってきて避けようとした腕が僕の水差に当たって飛んで飯島莉奈に当たったことを言った 
クラスの友達にも話を聞いたらしいが どうも僕の意見は通らず 
田中たちと一緒にふざけて 僕が水差を投げたらしい 
先生に真実を訴えたがどうも空気はそうではなさそうだった 
先生はわかったような顔をしてくれたが 真意は見えない様子だった 家にも通報された 
母親にはひどく叱られた 説明したが 
「手を振り上げなかったら 済んだこと」と言われ 男なら言い訳はやめてと 返す言葉もなかった 
悔しかったけど 母の圧力には さからえなかった
後日 父親に連れられて 飯島莉奈の家に謝りに行った 
父親は紙包みを莉奈の母親に渡したが 莉奈の母親はこのことを知らなかったようだ 
意味がわからず受け取ろうとしなかった 
父親は陸斗の頭を掴み無理やり頭を下げさせられた
「この度はお嬢さんに多大なご迷惑をおかけいたしました」
陸斗は悔しかった 一緒に頭を下げる父親
莉奈の母親はイヤイヤと ちょっと待ってください 
困った様子で 莉奈を呼びに家の中に入ると 
神木親子は紙包みを玄関に置き 逃げるようにそこから離れ 家路を急いだ 
帰る途中 父親は 陸斗に 信用していると言ってくれた 陸斗がする訳がないと 
不条理だよな 世の中は 父は真剣な顔だった 
悔しさが 和らいでゆくのを感じた

週明けの月曜日 学校へ行くと 廊下で飯島莉奈が向かいから歩いてくる 
顔は見れない 目を伏せていると 
飯島莉奈が目の前に立ち止まっていた 
何やらカバンの中を探っている カバンの中から 紙包みを取り出し 
僕に渡そうとしている 呆気に取られていると
「知ってるよ神木君のせいじゃないこと —母さんが返して来いって」
紙つつみの中が目に入った いつか見た 中野の店に売っていた新作のカッコいいあの服だった
僕はつっけんどんに「いいよ 受け取ってよ」
莉奈は笑顔で「困るよ」
陸斗は莉奈の話を聞くか聞かないくらいで その場から目を伏せたまま 走って逃げた
困った顔で莉奈は見ていた 
陸斗は廊下の角を曲がりかけた時 
振り返って「絶対 似合うから!」と走って逃げた

僕は知らなかったが その日の夜僕の家に莉奈の母親が 洋服を返しにきたらしい 
僕の母親が がんとして受け取らなかった 
なんか話がこじれて誠意だとか男のプライドとか適当なことを言って 
莉奈の母親は納得はしなかったが シブシブ折れて帰ったようだ 
その次の日、今度は莉奈の父親がきたらしい でも 莉奈の父親は 
洋服は持参せずに「それではお見知りおきとして ありがたく洋服はいただくとして」 
返礼品をと手土産を持ってきたらしい
「それでこの話は終わりにしましょう」
と話は落ち着いたらしいと後で聞いた 
手土産が何だったのかは今でも不明だ

そのことも忘れかけたある日 
飯島莉奈があの服を着て学校に来ていた 直ぐに気がついたが
まともに顔など見れなかった
けど 似合ってるなとつくづく思った
放課後真司と一緒に校門を出た 一つ角を曲がったところで 莉奈が立っていた 
僕を認めると莉奈が笑顔で「待ってたよ」 
真司はなんか変に気を回して「先に行ってるよ」帰ろうとしたが僕が真司を引き止めた 
莉奈は笑顔で「一目見て 気に入ったよ」
真司は聞いていないふりで よそを見ていた
陸斗「だから言ったろ 絶対似合うからって」
莉奈「ありがとう— 男のプライド!」と言って笑顔で 去っていった
陸斗は莉奈の後ろ姿を見て ようやく気持ちが晴れた気分になった
「なにぃ ニヤニヤしてんぞ 男のプライド」と真司はからかってきた
後で聞いた話だが 俺の母親が 真司の家で洋服を選らぶ時 
真司の母親が最新でお洒落だとか言って洋服を勧めたらしい

洋服の不思議なことが起こってからも 
時々やってくる2重に見える不思議な現象はいまだに治らないし何故だかわからなかったが
神木陸斗が中学生になった時その現象がどういうことか少し解ってくる事となる
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