【完結】「婚約破棄ですか?分かりました」おしまい?

えるろって

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――エリックへの打診、騎士の答え――

王宮の昼~夜イベント――フローレンスが教えてくれた「バラの催し」について、アリスは父グラントにも確認し、公式な招待状が来ていることを知った。シャーベット家として参加するのはもちろん自由で、アリス自身に断る理由もない。  
問題はエリックだ。王宮勤務が忙しくなっている彼が、そのイベントに参加できるかどうか。もし騎士団の一員として警護にあたるなら、アリスと自由に話せる時間は限られるかもしれない。  
そんな考えを巡らせていると、夕方になってエリックが久々に屋敷へ戻ってきたとの報せが入る。アリスは急いで玄関ホールへ向かい、そこでエリックに声をかける。

「エリック、おかえりなさい。王宮のお仕事、どうですか? 大変ですか?」

「……まあ、それなりにな。上官の命令で動き回っているよ。シャーベット家に戻る時間は少なくなってるが、何かあれば呼んでくれれば駆けつける」

エリックは疲れた顔だが、アリスを見て僅かに表情を和らげる。アリスはその一瞬の和みを逃さず、「あの……王宮で近々“昼から夜のバラの催し”があるらしいんですけど、エリックも参加できるんでしょうか?」と尋ねる。

「バラの催し……ああ、聞いてる。警護要員として出動するかもしれないが、まだ確定していない」

「そっか。わたしも行くつもりなんです。フローレンスに誘われて、父様からも参加していいと言われましたし」

アリスは少し遠慮がちに言う。エリックは目を細め、アリスの意図を測るようにする。

「……そこにクライヴも来るだろうな。公爵家としては名目のあるイベントだから」

「ええ、そうですね。クライヴさまもいらっしゃるはず。エリックも警護なら同じ場所にいるなら……」

「アリスが望むなら、守ってやるよ。俺も仕事だから、自由に話せる時間は分からないが」

エリックの淡白な態度に、アリスは心が痛む。彼を引き留めたい気持ちと、騎士としての彼を認めたい気持ちが相反する。

「わたし……エリックにも、少しだけ時間があったら話したい。寝るのが嫌いなこととか、これからのこととか……伝えたいことがあります」

「話したいこと、か。……分かった、もし俺が警備にあたるなら、短い時間でも作ってみるよ。ただ、当日は人が多い。どこか静かな場所を見つけられればいいが」

「ありがとうございます。わたしもフローレンスと相談して、バラ園の奥とか探してみますね。寝るのが嫌いだから夜に会うのもありだけど、王宮での夜は難しいし……」

アリスは苦笑しながら、自分の矛盾した状況を思い返す。昼と夜が混ざるイベントなら、エリックも少し余裕を持てるかもしれないが、騎士として人目があるのも事実。

「とにかく、俺は当日の配置が決まり次第、お前に伝える。そっちも父上やフローレンスと連携して、無理しないようにな」

「はい……寝るの嫌いなわたしでも、昼間のイベントを頑張れるように体調を整えておきます」

アリスはぎこちなく微笑み、エリックは短く頷いてから「疲れているから今夜は休む」と言い残して奥へ去っていく。  
その背中を見送りながら、アリスはホッとする反面、「なんだか壁があるまま」と寂しさを抱く。政略結婚話や王宮勤務で、エリックがどんどん遠ざかる気がするのだ。

「ふぁ……でも、当日のイベントならチャンスがあるかも。わたし、がんばってエリックに伝えよう。寝るのが嫌いなわたしをずっと支えてくれたこと、簡単に終わらせたくないって」

その思いを胸に、アリスは夜更かしクッキー会を今は封印し、昼のイベントに焦点を当てようと思う。クライヴからの再婚約も迫り、エリックからの心の距離も感じる中で、自分がどう答えるかを明確にしなければいけない――誰もが時間を急かしている。

「さあ、昼から夜のバラの催し……寝るのが嫌いでも、昼のアクティブモードで動いてみよう。エリックがいるなら、王宮の夜も怖くないはず」

小声で自分に言い聞かせ、アリスは急いでフローレンスに手紙を書き始める。「そちらの準備はどうですか? ドレスはどうします? わたし、昼も夜も対応できる服を考えないと……」――心が落ち着かないが、動かずにはいられない。  
クライヴかエリックか――あるいはどちらでもない道か。寝るのが嫌いなロリ令嬢の恋物語は、王宮のバラ園を舞台にまた新たな展開を迎えようとしていた。
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