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ふたりの進路編
46.形勢逆転 ──秋人 ※R18
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陽介がゆっくりと目を見開いた。
寮と同じサイズのシングルベッド。壁に背中をくっつけた陽介に抱きしめられて、陽介のにおいがする掛け布団に包まれて…。
我慢できるわけがなかった。直接脇腹に触れた手を撫で上げるように動かすと、陽介が小さく喉を鳴らして身じろぐ。
「んっ…」
一瞬だけ唇を合わせると、チュッと小さなリップ音が鳴った。なんだかそれだけで背徳感がすごい。
角度を変えながら何度か触れるだけのキスを繰り返していると、動きを止めるように陽介が頬に触れてくる。
「薄いぞ、壁」
肩口に顎をのせてきた陽介が耳元で囁いた。
「父さんもこの下で寝てるし、静かだから声も響くんじゃないか?」
「陽介が我慢すればいいんじゃない?」
「は?」
陽介が素っ頓狂な声を出した。珍しいな、なんだか可愛いかもしれない。
脇腹から臍の上辺りまで手を滑らせると、俺の背中に触れていた陽介の手に力が入った。
「秋人っ…!」
「陽介、また筋肉ついた? いいな、俺は全然つかないのに」
「…っぁ、ちょ……こら!」
腹筋をたどるように指を滑らせる。
スウェットのズボンの中に手を入れて下着越しに陽介のものに触れると、僅かに熱を持ち始めていてなんだか嬉しくなった。
「秋人、ここ実家! 父さんもいるんだって!」
「わかってる。大丈夫だよ、ゆっくりしてあげるから。あ、でも声出すのは我慢して」
「いやいや、ちょっと…!」
いつもは陽介に好きなようにやられてばっかりだけど、俺だって男なのだ。好きな人を自分の手で気持ちよくしてあげたいという欲求はある。
でも俺は紳士だから乱暴なことはしない。父さんにだって陽介の可愛い声を聞かせてあげるつもりなんてないから、もしもの時は唇で塞いであげればいい。
「嫌だ…? 俺は触りたいよ、陽介に。我慢できない」
「…っ…!」
下着の中に手を入れ、優しく握りしめる。
いつも俺のナカを気持ちよくしてくれるもの。めちゃくちゃにしてしまうもの。
陽介が抵抗しないのを確認しつつ、トリルを意識するように指を動かした。あくまで優しく、痛くないように。
「ん……っぁ、待てって…!」
「ふふっ、可愛い声。腰動いてるよ、お兄ちゃん?」
「…っ! や、めろって…!」
空いた方の手で腰を撫でると、縋るようにその手を掴まれた。
陽介、気持ちいいんだ。俺の手で気持ちよくなってくれてるんだ。
嬉しいな、もっと気持ちよくしてあげたいな。
小鳥が囀るように動かしていた指を止め、てのひらで擦り上げるような動きに変える。
どんな顔をしているのか気になって身体を離すと、熱っぽい瞳に射抜かれた。俺を抱いて、獣みたいに狩ろうとしている時の目だ。
「……っよ、ぅすけ……」
「人が大人しくしてれば好き勝手しやがって…」
「え?」
陽介の声が一気に低くなる。
下着の中に入れていた手を強引に引き抜かれ、その勢いのまま押し倒された。息を乱して顔を赤くした陽介が、既に余裕がない顔をして見下ろしてくる。
……あれ? もしかしてこれ、krass?(ヤバい?)
「ゆっくりすればいいんだよな?」
「...Was?(なんだって?)」
「声出すのは我慢して……だっけ?」
「ひっ…!」
さっきまで可愛く俺の手に縋っていたはずが、急に乱暴な手つきで下着の中に入ってきた。
「なんだ、秋人も勃ってるじゃん。俺の触りながら興奮してたんだ?」
「やっ…! 待って、急に触っちゃ…!」
「シーッ、声デカい。父さんに聞こえるぞ」
「んぅっ…!」
俺の声を飲み込むように唇を塞がれ、下着の中の手が動き始めた。
鍵盤が重い電子ピアノで鍛えられた陽介のタッチコントロールは伊達じゃない。強弱、緩急、スタッカートにレガート。ピアノを弾く人間特有の、一本一本の指がきちんと独立した動きで追い詰められていく。
「ん……っんん、ぅ…!」
陽介がキスで口を塞いでくれているから声は漏れていない。
でも衣擦れの音とか、下半身から聞こえる水音とか。妙に部屋の中に響いているような気がして、恥ずかしくて堪らない。
父さんにバレてしまうんじゃないかと思うと怖くて、陽介の背中をぎゅっと掴む。
「ん……可愛い声。もうイきそう?」
「…っぅ、……っ!」
言葉、が。全部返ってきている。
今日は俺が陽介を気持ちよくしてあげようと思ってたのに。可愛がってあげようと思ってたのに…!
「Hör...auf...(やめ…て…)」
「ん? なんて? 日本語で言ってくれないとわかんないなぁ。……もっとして、って言ってる?」
「…っも、バカぁ…!」
意地悪だ。絶対そんなこと言ってないってわかってるくせに!
背中を掴む手に力を入れ、陽介の襟口に噛み付くようにして声を押し殺す。いったん止まっていた手の動きが再び再開され、一気に追い上げられた。
「…っん、んんぅ──っ!」
弱い場所を強く刺激して擦り上げられた瞬間に頭が真っ白になってしまい、陽介の手の中に欲望を吐き出した。
脱力している隙にさっさとズボンごと引き下ろされ、俺が出したものでベタベタになった手が後ろの排泄器官に触れる。俺が中途半端に手を出してしまったせいか、今日の陽介は容赦がなかった。
「指入れるぞ。声、気を付けてな」
「……Ja.(うん。)」
聖夜はまだまだ終わらない。
寮と同じサイズのシングルベッド。壁に背中をくっつけた陽介に抱きしめられて、陽介のにおいがする掛け布団に包まれて…。
我慢できるわけがなかった。直接脇腹に触れた手を撫で上げるように動かすと、陽介が小さく喉を鳴らして身じろぐ。
「んっ…」
一瞬だけ唇を合わせると、チュッと小さなリップ音が鳴った。なんだかそれだけで背徳感がすごい。
角度を変えながら何度か触れるだけのキスを繰り返していると、動きを止めるように陽介が頬に触れてくる。
「薄いぞ、壁」
肩口に顎をのせてきた陽介が耳元で囁いた。
「父さんもこの下で寝てるし、静かだから声も響くんじゃないか?」
「陽介が我慢すればいいんじゃない?」
「は?」
陽介が素っ頓狂な声を出した。珍しいな、なんだか可愛いかもしれない。
脇腹から臍の上辺りまで手を滑らせると、俺の背中に触れていた陽介の手に力が入った。
「秋人っ…!」
「陽介、また筋肉ついた? いいな、俺は全然つかないのに」
「…っぁ、ちょ……こら!」
腹筋をたどるように指を滑らせる。
スウェットのズボンの中に手を入れて下着越しに陽介のものに触れると、僅かに熱を持ち始めていてなんだか嬉しくなった。
「秋人、ここ実家! 父さんもいるんだって!」
「わかってる。大丈夫だよ、ゆっくりしてあげるから。あ、でも声出すのは我慢して」
「いやいや、ちょっと…!」
いつもは陽介に好きなようにやられてばっかりだけど、俺だって男なのだ。好きな人を自分の手で気持ちよくしてあげたいという欲求はある。
でも俺は紳士だから乱暴なことはしない。父さんにだって陽介の可愛い声を聞かせてあげるつもりなんてないから、もしもの時は唇で塞いであげればいい。
「嫌だ…? 俺は触りたいよ、陽介に。我慢できない」
「…っ…!」
下着の中に手を入れ、優しく握りしめる。
いつも俺のナカを気持ちよくしてくれるもの。めちゃくちゃにしてしまうもの。
陽介が抵抗しないのを確認しつつ、トリルを意識するように指を動かした。あくまで優しく、痛くないように。
「ん……っぁ、待てって…!」
「ふふっ、可愛い声。腰動いてるよ、お兄ちゃん?」
「…っ! や、めろって…!」
空いた方の手で腰を撫でると、縋るようにその手を掴まれた。
陽介、気持ちいいんだ。俺の手で気持ちよくなってくれてるんだ。
嬉しいな、もっと気持ちよくしてあげたいな。
小鳥が囀るように動かしていた指を止め、てのひらで擦り上げるような動きに変える。
どんな顔をしているのか気になって身体を離すと、熱っぽい瞳に射抜かれた。俺を抱いて、獣みたいに狩ろうとしている時の目だ。
「……っよ、ぅすけ……」
「人が大人しくしてれば好き勝手しやがって…」
「え?」
陽介の声が一気に低くなる。
下着の中に入れていた手を強引に引き抜かれ、その勢いのまま押し倒された。息を乱して顔を赤くした陽介が、既に余裕がない顔をして見下ろしてくる。
……あれ? もしかしてこれ、krass?(ヤバい?)
「ゆっくりすればいいんだよな?」
「...Was?(なんだって?)」
「声出すのは我慢して……だっけ?」
「ひっ…!」
さっきまで可愛く俺の手に縋っていたはずが、急に乱暴な手つきで下着の中に入ってきた。
「なんだ、秋人も勃ってるじゃん。俺の触りながら興奮してたんだ?」
「やっ…! 待って、急に触っちゃ…!」
「シーッ、声デカい。父さんに聞こえるぞ」
「んぅっ…!」
俺の声を飲み込むように唇を塞がれ、下着の中の手が動き始めた。
鍵盤が重い電子ピアノで鍛えられた陽介のタッチコントロールは伊達じゃない。強弱、緩急、スタッカートにレガート。ピアノを弾く人間特有の、一本一本の指がきちんと独立した動きで追い詰められていく。
「ん……っんん、ぅ…!」
陽介がキスで口を塞いでくれているから声は漏れていない。
でも衣擦れの音とか、下半身から聞こえる水音とか。妙に部屋の中に響いているような気がして、恥ずかしくて堪らない。
父さんにバレてしまうんじゃないかと思うと怖くて、陽介の背中をぎゅっと掴む。
「ん……可愛い声。もうイきそう?」
「…っぅ、……っ!」
言葉、が。全部返ってきている。
今日は俺が陽介を気持ちよくしてあげようと思ってたのに。可愛がってあげようと思ってたのに…!
「Hör...auf...(やめ…て…)」
「ん? なんて? 日本語で言ってくれないとわかんないなぁ。……もっとして、って言ってる?」
「…っも、バカぁ…!」
意地悪だ。絶対そんなこと言ってないってわかってるくせに!
背中を掴む手に力を入れ、陽介の襟口に噛み付くようにして声を押し殺す。いったん止まっていた手の動きが再び再開され、一気に追い上げられた。
「…っん、んんぅ──っ!」
弱い場所を強く刺激して擦り上げられた瞬間に頭が真っ白になってしまい、陽介の手の中に欲望を吐き出した。
脱力している隙にさっさとズボンごと引き下ろされ、俺が出したものでベタベタになった手が後ろの排泄器官に触れる。俺が中途半端に手を出してしまったせいか、今日の陽介は容赦がなかった。
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聖夜はまだまだ終わらない。
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