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「……はぁ。やっぱり、土いじりの後はお腹が空くわね」
パルメは、すっかり「ガイア・ブレイカー」の扱いにも慣れ、庭の開墾を一段落させていた。
黄金のスコップを杖代わりにして、彼女はぐうと鳴ったお腹をさすった。
「お嬢様、お疲れ様です。おやつにふかし芋を用意しましたよ」
アンナがホカホカの籠を持ってやってくる。
「アンナ、気が利くわね! でも、せっかくならこのスコップの機能を試してみたいわ」
「えっ、スコップで何を……? まさか、それで芋を潰してマッシュポテトに?」
「いいえ。見ていてちょうだい。この持ち手のところにある、謎の赤い宝石……。これ、絶対に『加熱モード』だと思うのよ」
パルメは、本来なら国家を焼き尽くすほどの火行魔力を秘めた宝珠を、迷わず親指で押し込んだ。
すると、ガイア・ブレイカーの先端から、パチパチと心地よい熱が放たれ始める。
「見て! やっぱり正解だわ! これなら、わざわざ焚き火を起こさなくても、その場で直火焼きが楽しめるじゃない!」
「パルメ様、その赤い光……温度計が振り切れてるような不吉な色をしていますけど!?」
「大丈夫よ、強火の方が美味しく焼けるもの」
パルメは地面に転がっていた芋をスコップの上に乗せた。
一瞬でシュウウウ! と芳醇な香りが立ち込め、芋は見事な黄金色に焼き上がる。
「完璧だわ! 外はカリッと、中はホクホク。このスコップ、調理器具としても一流ね!」
パルメが満足げに芋を頬張っていると、視察に来たバルトが腰を抜かした。
「パ、パルメ様……。それは……伝説の『煉獄の焔』を発動させておられるのですか?」
「バルト、大げさね。ただのホットプレート機能よ。あなたも一口どう?」
「滅相もございません! 聖具を調理に使うなど、神罰が……いえ、パルメ様が神そのものでしたな」
バルトは震えながらメモを取る。
『パルメ様、聖具の真の力を解放し、無から食糧を錬成(※焼いただけ)される』
パルメは芋をモグモグと食べながら、今度はスコップの青いボタンに目を止めた。
「こっちの青いのは何かしら? 保冷機能? もしそうなら、夏場に冷たいジュースが飲めるわね」
ポチッ、とパルメがボタンを押した瞬間。
ガガガガガガ! とスコップが激しく振動し始めた。
「わわっ!? すごい振動! これは……マッサージ機能かしら? 肩こりに効きそうね!」
「お嬢様、やめてください! 地面が! 地面が割れてます!」
アンナが指差す先では、振動の余波で大地が規則正しく波打ち、勝手に畝(うね)が形成されていた。
「あら。肩を叩こうと思ったのに、勝手に畑が整っていくわ。なんてお節介なスコップなのかしら」
「お節介のレベルを超えています! それ、絶対『地殻操作』の魔法ですよ!」
パルメは、振動するスコップを器用に扱いながら、肩をトントンと叩き始めた。
「あぁ~、いいわこれ。王宮で溜まったストレスが、物理的に砕かれていく感じがするわ……」
その光景は、側から見れば「凄まじい魔力を制御し、精密に大地を再構築する大魔導師」そのものだった。
やがて、パルメの周りには、綺麗に整えられ、適度に熱を帯びた「完璧な農地」が出来上がっていた。
「ふぅ、スッキリしたわ。アンナ、次は緑色のボタンを試しましょうか」
「もう嫌な予感しかしないので、今日はその辺にしませんか?」
「ダメよ。好奇心はニートのスパイスだもの。……えいっ」
パルメが緑色のボタンを押し、スコップを地面に突き立てた。
その瞬間、パルメが先ほど食べた芋の皮から、猛烈な勢いで芽が吹き出し、あっという間に青々とした葉が茂った。
「……えっ。成長促進機能までついているの?」
「お嬢様……これ、もう農具っていうか、神様の杖ですよ……」
パルメは、一瞬で実った新しい芋を収穫しながら、キラキラとした瞳でアンナを見た。
「これがあれば、私、一生働かなくていいんじゃないかしら?」
「お嬢様……。その『働かないための努力』が、一番の重労働に見えるのは私だけでしょうか」
パルメの「全自動・自堕落ライフ」への追求は、図らずも領地の食糧自給率を数百年分先取りして向上させてしまった。
そして、この「奇跡」の噂は、ついに国境を越え、隣国の王子セドリックの耳に届くことになる。
「……パルメ。君はやはり、私が思っていた通りの女性だ」
隣国の執務室で、一人の美青年がパルメの肖像画を愛おしそうに撫でていた。
パルメの平和な芋掘りタイムは、嵐の予感とともに過ぎていく。
パルメは、すっかり「ガイア・ブレイカー」の扱いにも慣れ、庭の開墾を一段落させていた。
黄金のスコップを杖代わりにして、彼女はぐうと鳴ったお腹をさすった。
「お嬢様、お疲れ様です。おやつにふかし芋を用意しましたよ」
アンナがホカホカの籠を持ってやってくる。
「アンナ、気が利くわね! でも、せっかくならこのスコップの機能を試してみたいわ」
「えっ、スコップで何を……? まさか、それで芋を潰してマッシュポテトに?」
「いいえ。見ていてちょうだい。この持ち手のところにある、謎の赤い宝石……。これ、絶対に『加熱モード』だと思うのよ」
パルメは、本来なら国家を焼き尽くすほどの火行魔力を秘めた宝珠を、迷わず親指で押し込んだ。
すると、ガイア・ブレイカーの先端から、パチパチと心地よい熱が放たれ始める。
「見て! やっぱり正解だわ! これなら、わざわざ焚き火を起こさなくても、その場で直火焼きが楽しめるじゃない!」
「パルメ様、その赤い光……温度計が振り切れてるような不吉な色をしていますけど!?」
「大丈夫よ、強火の方が美味しく焼けるもの」
パルメは地面に転がっていた芋をスコップの上に乗せた。
一瞬でシュウウウ! と芳醇な香りが立ち込め、芋は見事な黄金色に焼き上がる。
「完璧だわ! 外はカリッと、中はホクホク。このスコップ、調理器具としても一流ね!」
パルメが満足げに芋を頬張っていると、視察に来たバルトが腰を抜かした。
「パ、パルメ様……。それは……伝説の『煉獄の焔』を発動させておられるのですか?」
「バルト、大げさね。ただのホットプレート機能よ。あなたも一口どう?」
「滅相もございません! 聖具を調理に使うなど、神罰が……いえ、パルメ様が神そのものでしたな」
バルトは震えながらメモを取る。
『パルメ様、聖具の真の力を解放し、無から食糧を錬成(※焼いただけ)される』
パルメは芋をモグモグと食べながら、今度はスコップの青いボタンに目を止めた。
「こっちの青いのは何かしら? 保冷機能? もしそうなら、夏場に冷たいジュースが飲めるわね」
ポチッ、とパルメがボタンを押した瞬間。
ガガガガガガ! とスコップが激しく振動し始めた。
「わわっ!? すごい振動! これは……マッサージ機能かしら? 肩こりに効きそうね!」
「お嬢様、やめてください! 地面が! 地面が割れてます!」
アンナが指差す先では、振動の余波で大地が規則正しく波打ち、勝手に畝(うね)が形成されていた。
「あら。肩を叩こうと思ったのに、勝手に畑が整っていくわ。なんてお節介なスコップなのかしら」
「お節介のレベルを超えています! それ、絶対『地殻操作』の魔法ですよ!」
パルメは、振動するスコップを器用に扱いながら、肩をトントンと叩き始めた。
「あぁ~、いいわこれ。王宮で溜まったストレスが、物理的に砕かれていく感じがするわ……」
その光景は、側から見れば「凄まじい魔力を制御し、精密に大地を再構築する大魔導師」そのものだった。
やがて、パルメの周りには、綺麗に整えられ、適度に熱を帯びた「完璧な農地」が出来上がっていた。
「ふぅ、スッキリしたわ。アンナ、次は緑色のボタンを試しましょうか」
「もう嫌な予感しかしないので、今日はその辺にしませんか?」
「ダメよ。好奇心はニートのスパイスだもの。……えいっ」
パルメが緑色のボタンを押し、スコップを地面に突き立てた。
その瞬間、パルメが先ほど食べた芋の皮から、猛烈な勢いで芽が吹き出し、あっという間に青々とした葉が茂った。
「……えっ。成長促進機能までついているの?」
「お嬢様……これ、もう農具っていうか、神様の杖ですよ……」
パルメは、一瞬で実った新しい芋を収穫しながら、キラキラとした瞳でアンナを見た。
「これがあれば、私、一生働かなくていいんじゃないかしら?」
「お嬢様……。その『働かないための努力』が、一番の重労働に見えるのは私だけでしょうか」
パルメの「全自動・自堕落ライフ」への追求は、図らずも領地の食糧自給率を数百年分先取りして向上させてしまった。
そして、この「奇跡」の噂は、ついに国境を越え、隣国の王子セドリックの耳に届くことになる。
「……パルメ。君はやはり、私が思っていた通りの女性だ」
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