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番外編
諦めない
しおりを挟むその日からは全然食事も喉を通らず日に日にやつれていく俺を見て、シビレを切らした俺の執事が喝を入れにきたのがそこから10日後のことだった
「単刀直入に申しあげますとウザさレベルはカンストしてますね。千景様の隣をキープするのに必死で胡座をかいて気持ちを伝えずに、ウジウジと振られるのが嫌なヘタレだからってカラダから堕とそうと考えるなんてサイテーの極み。彼の方相手にそう簡単にいくはずがないじゃないですか。ザマァみろって感じです。…が貴方が使い物にならなくなりますと、こちらとしても困ります」
傷口に遠慮なく塩を塗り込んで、いや。ぶち撒けてくるのがこいつの専売特許でもある
今回のことは間違いなく100%俺が悪いから、こいつの言ってることは間違いでもないしな
「ですが千影様を攫いに行くにしてもなんとまあ無様で酷い格好ですね。そんなのでは到底連れ戻そうなんて不可能です」
「連れ戻すなんて…それこそ嫌われるだろ」
「あら、よろしいのですか。貴方の千影様への想いがそんなにも軽いものだとは思いもしませんでした。まあ初恋は実らないってよく言いますしね
彼の方は素敵ですから新しいお相手と素敵に暮らすことでしょう。私が立候補しましょうかね?」
「ダメだ!!…そんなこと、、クソッ、どうすりゃいいんだよ」
「それならばまず探してみたらどうですか。そんなはしたない格好では、到底見つからないとおもいますが。」
そこから俺はまず千影を探すために、自分のコンディションを整えることにした
確かにこいつのいう通り今のままでは千影の隣に自信を持って立つことなんて、不可能だ
不服ではあるが万全の状態で会いたい
もしかしたら他の奴があいつの隣を歩いてるかもしれない
それでも取り返せるくらいの自信とコンディションを整えることにする
再び隣に並び立てるように整うまでに費やした時間は、千影が消えてあっという間に3ヶ月もの月日が経っていた
そこからは使えるものは全て使って捜索をお願いした。正直直ぐに見つかると思っていて舐めてかかってた部分はある
それは間違いだったとすぐに知ることになった。見つからない事実に気持ちばかりが焦って、あっという間にあいつが居なくなって一年の月日が経ってしまった
周辺の地域は探しても見つからないので、全国に範囲を広げるしかない
それにもしかしたら海外に行った可能性もある
そうなったら探すのは不可能に近い。いくら海外支社があると言っても世界は広すぎる
…それでも!何年かかってもあいつを探すんだ
どうしても千影じゃないと俺はダメだと知った
最後のあの日に感じた幸福感と満たされた心は、千影以外には埋められない
お前はとんでもない爆弾を俺に落としたんだ
覚悟しろよ
そして千影が居なくなってから3年が経った頃、千影らしき人を見つけたと地方に旅行に出かけた友人から聞くことになる
その場所へと探偵を送り込み千影の情報を集めた
写真もあり儚げ美人だったあの頃よりも、少しだけ逞しくなった千影がそこには映っていた
その姿に懐かしく思いながらも何枚かめくっていくうちにふと目にとまったものに衝撃を受ける
そこから何枚も続く千影と子どもとの写真
絶望の波が広がっていく
俺が見つけることの出来なかった3年という月日の中で千影は家庭を持ったのか。それなら、せめて俺にも一言くれても良かったじゃないか
だが最後まで見終わった写真には疑問が残った
あれ、奥さんは?子どもがいるなら奥さんが写っていてもおかしくない
『あの、この写真俺に気を遣ってわざと奥さんをうつしてないんですか?』
「いえ、どうやらあの家にはおふたりしか住んでいないようです。聞き込みをしても住民のかたも深い事情はよく知らないらしくて、来た時からおふたりだったと。それ以上は調べようもありませんでした。」
『そうですか、ありがとうございました』
執事が探偵を見送っている間もう一度写真を見返す
『奥さんはすでに亡くなったのか。それとも事情があるのか。でもやはりこれって』
「似てますね、貴方の幼い頃に」
『ッ、なぁ男性が妊娠出来る体質の人は?』
「現時点では0.0002%ですね」
『今週末、連休がほしい』
「それならば今日から頑張らないといけませんね」
『ああ』
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