お飾り王妃は愛されたい

神崎葵

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四話

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 オーギュストは少し考えた後に、わかったと承諾してくれた。
 本人が言っていたように、口うるさい臣下さえ黙らせることができれば満足なのだろう。

 予知夢の中の私は、着の身着のまま――すでに用意されていたものを使うことにした。だけど、今回は準備期間を設けることになったので、ドレスや飾り付けを私に任せてくれるらしい。
 それはそのまま、私ではなく彼が愛する人とのものになるだろうから、彼女に合うものを選んであげよう。

 彼の愛した伯爵令嬢の顔は克明に覚えている。オーギュストの横で、ほころぶように笑う彼女の顔を。
 金色の巻き毛と青い瞳の女性だった。茶色い髪と茶色い瞳の私とは違い、笑うだけで華やぐほどに可愛らしい人だった。

 私に似合うものは、きっと彼女には似合わないだろう。

「式の準備、つつがなく進めさせていただきます」

 首を垂れて感謝の意を示す。
 友人を招待したいからと言って延期を求めたので、招待状も作成しなければいけない。とはいえ、呼べる友人などほとんどいない。
 飢餓に見舞われるまでは、友人と呼べる間柄の者は多かった。だけど、私が力のない王女だと判明してからは、友人たちはひとりまたひとりと離れ――嫁ぐ際に祝福の言葉をくれはしたけど、口だけの、心のこもらない言葉だということはすぐにわかった。

 だけど、二人ほど、最後まで私のそばにいてくれた人がいた。
 連れてくることのかなわなかった侍女。

 私が主役ではない式に招待するのは気が引ける。だから、彼女たちには招待状を送らない。
 それを、彼女たちはどう思うだろう。

 薄情だと、思われないといいけど。

「部屋の用意はすんでいるから、今日はもう休め。長旅で疲れただろう」

 一見すると、こちらを気遣ってくれているようなオーギュストの言葉。
 だけどその真意は、私に時間を割きたくないだけだろう。

 彼は大国の王らしく、いつも忙しい身だった。だから私は、寝所に足を運ばれなくても、公の場でしか顔を合わせなくても、忙しいからしかたないのだと自らに言い聞かせていた。

 他の女性との間に愛をもうけるまでは。
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