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目覚め

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 朝日の光が眩しくて目が覚めた。

「ん…今、何時だ。」

時計を探すために少し上体を起こしたとき、腕が何かに当たった。

「?!」

そこには、裸で隣で寝ている純がいた。
自分の体を見てみると自分も裸だったことに気がついた。

なんで、どういうことなんだ。昨日は、横井と飲んでいたはずだ。何杯飲んだ?
ビール2杯、ウイスキー1.2.3.4……
そこからの記憶がない。ま、まさか…

「んんっ……?!」

すると純が目が覚めた束の間俺の顔を見て急に体を起こして後ずさった。

「あ……真中さん、おはよう。」

そして気まづそうな顔をしてベッドから降りようとした。

ドサッ

だが、床に足を着いた途端腰がさがり床に座った。純は顔を真っ赤にしながらこっちを睨んでいた。

「その…大丈夫か。」

さらに顔を赤くしていた。

「だ、大丈夫。」

だが純は立とうとしていたがうまく立てないようだった。俺はベッドから降りて純を抱きかかえた。

「ちょっ、まって!いい、大丈夫だってば!」

「いや、そうは言っても。歩けないだろ。風呂まで運ぶ。」

「いや、そうじゃなくて!」

ドロッ
不意に手に何か液体みたいなのがついた。
手についたものをみると、それは純の中から出た俺の精液だった。

「だから、いいって言ったのに!」

「ご、ごめん。」

俺は風呂場に急いだ。そして純を下ろして、自分も風呂場に入った。

「ちょっ、なんで一緒にはいってくんの!」

「いや、中から掻き出そうと思って。」

「?!なに言ってんの!自分でやるから!」

そう言って俺のことを細い腕で押し出した。今度はちゃんと拒否られてしまった。

俺は、頭を冷やそうとまた、寝室に戻った。
完全にヤッてしまったあとだった。純の体中についていたキスマークは多分俺がつけたんだろう。なんでだ、なんであんなことをしてしまったんだ。
ふと、蘇ったのは昨日の夜帰ってきて純を見たときの安堵と嬉しさという気持ちだった。 

そんなことを考えているとシャワー音が聞こえなくなっていた。純が出たのだ。俺は純と話をしようと思ったがとりあえず自分もシャワーを浴びて言いたいことをまとめてからにしようと思い、風呂場に向かった。

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シャワーから出て純を探した。純はリビングのソファに体を預けていた。

「純……ええっと、その、だから、」

純を目の前にするとまとめていたことが真っ白になった。

「酔ってたんだからしょうがないよ。」

「本当にすまなかった。酷い目に合わせてしまって。」

純はテレビの方をみたまま俺の方には顔を向けなかった。

「覚えてないんでしょ?」

「あぁ、帰ってきたところまでは思い出したんだが……」

「いいよ、ノーカン。無かったことにしよ。これは一種の事故だったんだから。ね?」

純にそう言われ、俺は少しモヤッとした。

「それより、真中さん今日休みなんでしょ?ゆっくりしなよ。」

「あぁ、そうだな。」

俺たちはそのあと、何事もなかったように休日を過ごした。

(あの夜から、恥ずかしくて真中さんの顔をまともに見れない。朝もさっきもあんな態度取っちゃったし…俺意識しちゃってんじゃん。真中さんは酷い目って言ってたけど…居候の身なのに…)
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