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Episode2:ふたりの食卓
④
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支度を済ませて一階のフロントで待っていると、自動ドアの向こうに崇弥が見えた。
声をかけて送り出してくれたコンシェルジュにぺこりとお辞儀をし、外へ出る。
黒のスポーツカー、その助手席に乗り込み、近くの大型スーパーへ。車で五分とかからない距離らしく、それなら自分ひとりでも利用できそうだと、瑛茉は頭の地図にメモをした。
地下駐車場に車をとめ、エレベーターを使って入店する。土曜日の店内は、多くの客で賑わっていた。
「どこから見る?」
「え、と……じゃあ、野菜から」
「了解」
瑛茉が動きやすいようにと、カートは崇弥が押してくれた。
さすがは大型スーパー。青果売り場だけ見渡してみても、カラフルでなんだかわくわくする。
意外にも、崇弥はスーパーを利用することに慣れているようだった。想像力と知識の欠乏を失礼と承知で尋ねてみれば、学生の頃はそれなりに自炊もしていたのだと教えてくれた。
「九条さんは、どんな料理が好きですか?」
「ん? 和食とか洋食とかってこと?」
「はい」
「うーん。好き嫌いはとくにないけど、やっぱり和食が好きかな」
「なるほど」
「瑛茉ちゃんは?」
「わたしも、基本的になんでも食べられますけど、やっぱり和食が好きです」
「アメリカでも、よく和食食べてたの?」
「はい。母が日本人だったので、よく食卓に並んでました。父も、母の作る和食が大好きで……肉じゃがとか、だし巻き卵とか」
母の陽子は大の料理好きで、毎日楽しそうにキッチンに立っていた。醤油や味噌などの調味料を日本から取り寄せ、食材にこだわり、食器にこだわり。
箸を器用に使いながら、指先で器を彩っていくその姿は、さながら芸術家のようだった。
「肉じゃが……しばらく食べてないかも」
「じゃあ、肉じゃがにしましょうか」
「ほんと? 嬉しい」
「……あっ。でも、時間かかっちゃうから、夜のほうがいいかも。夜ご飯でもいいですか?」
「もちろん。ありがとう」
夜の主菜が決まった。あとは昼の主菜だが、こちらは崇弥が瑛茉に意見を聞き、今が旬の鱧の梅肉和えに決定した。
副菜の材料や調味料なども見て回り、レジへと向かう。会計は、当然のように崇弥が済ませた。
「楽しみだな。瑛茉ちゃんの料理」
「緊張します。九条さんのお口に合うといいんですけど」
上機嫌な崇弥の運転で、颯爽と帰路につく。
梅雨の空は、やっぱり澄み渡っていた。
声をかけて送り出してくれたコンシェルジュにぺこりとお辞儀をし、外へ出る。
黒のスポーツカー、その助手席に乗り込み、近くの大型スーパーへ。車で五分とかからない距離らしく、それなら自分ひとりでも利用できそうだと、瑛茉は頭の地図にメモをした。
地下駐車場に車をとめ、エレベーターを使って入店する。土曜日の店内は、多くの客で賑わっていた。
「どこから見る?」
「え、と……じゃあ、野菜から」
「了解」
瑛茉が動きやすいようにと、カートは崇弥が押してくれた。
さすがは大型スーパー。青果売り場だけ見渡してみても、カラフルでなんだかわくわくする。
意外にも、崇弥はスーパーを利用することに慣れているようだった。想像力と知識の欠乏を失礼と承知で尋ねてみれば、学生の頃はそれなりに自炊もしていたのだと教えてくれた。
「九条さんは、どんな料理が好きですか?」
「ん? 和食とか洋食とかってこと?」
「はい」
「うーん。好き嫌いはとくにないけど、やっぱり和食が好きかな」
「なるほど」
「瑛茉ちゃんは?」
「わたしも、基本的になんでも食べられますけど、やっぱり和食が好きです」
「アメリカでも、よく和食食べてたの?」
「はい。母が日本人だったので、よく食卓に並んでました。父も、母の作る和食が大好きで……肉じゃがとか、だし巻き卵とか」
母の陽子は大の料理好きで、毎日楽しそうにキッチンに立っていた。醤油や味噌などの調味料を日本から取り寄せ、食材にこだわり、食器にこだわり。
箸を器用に使いながら、指先で器を彩っていくその姿は、さながら芸術家のようだった。
「肉じゃが……しばらく食べてないかも」
「じゃあ、肉じゃがにしましょうか」
「ほんと? 嬉しい」
「……あっ。でも、時間かかっちゃうから、夜のほうがいいかも。夜ご飯でもいいですか?」
「もちろん。ありがとう」
夜の主菜が決まった。あとは昼の主菜だが、こちらは崇弥が瑛茉に意見を聞き、今が旬の鱧の梅肉和えに決定した。
副菜の材料や調味料なども見て回り、レジへと向かう。会計は、当然のように崇弥が済ませた。
「楽しみだな。瑛茉ちゃんの料理」
「緊張します。九条さんのお口に合うといいんですけど」
上機嫌な崇弥の運転で、颯爽と帰路につく。
梅雨の空は、やっぱり澄み渡っていた。
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