Recreation World ~とある男が〇〇になるまでの軌跡〜

虚妄公

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第1章　始まり

26話　襲来⁉︎2

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リンは何度も結界を壊そうと一点を叩き続けた。
「クッソ硬いっす！壊れろっす！壊れろっっす！」

　ずっと叩き続けていたリンは迫って来ている気配に気がついた。
　そして、

「ヒィィィィィィ」
「う、うそっす！先輩がもう負けたんっすか・・・？」
　テルは情けない声を上げ、リンは絶望の表情を浮かべた。
　しかし狼もどきは見るものを絶望させ恐怖に叩きいれるような異様で圧倒的な存在感を放っていた。
　まるで、一般人が突然目の前に現れたドラゴンを見るかのような感じであった。
　気を失わなかっただけでも優秀と言えるだろう。

　リンは諦めず金棒を握りしめて殴りかかった。

　しかし、狼もどきの前足の薙ぎ払いで軽く吹き飛ばされた。
　体勢は保ったまま吹き飛んだので即座にもう一度攻撃を仕掛けた。

　狼もどきは先ほどの攻撃でリンが思ったほど吹き飛ばなかったのが納得できないのか、気持ち首を傾げ前足で素振りのようなことをしていた。

（その余裕叩き潰してやるっす！）

　リンはそう心に抱いて更に金棒を握る力を強くした。が

「リン！避けろ！！」

　リュウジンの声が聞こえ反射的に横に飛んだ。

　すると地面が弾け、さっきいた場所が抉れていた。
　狼もどきが先程までとは比にならない速度で攻撃してきたのである。
　そのまま進んでいたら間違いなく死んでいただろうと思わせる光景であった。

「先輩！生きてたんっすね！」
　リンは嬉しそうにそう言った。
「おいテル！マイナス効果のスキルってプレイヤーにもかけることが出来るのか？！」
　リュウジンはリンにかまっている暇はなくテルにスキルの確認をしていた。

「は、はい！出来ます！」

「よし！俺にかけろ！」

「え？・・・わかりました！」
　テルは一瞬一瞬躊躇したが、即座にリュウジンにかけれるだけのデバフをかけた。

「よし、リン！一瞬でいいからやつを怯ませろ！」

「わかったっす！」

　そう言ってリンとリュウジンは即座に駆け出した。

　狼もどきはリュウジンとリンとの力の差を理解しており、最初は獲物は逃げるものという意識しかなかったため歯向かってくる餌に怒っていたが、今では獲物が歯向かってくる狩りも新鮮で面白いと思い油断していた。

　リンの攻撃など効くとも思っていない狼もどきはリュウジンの方しか見ておらず、全く無防備な狼もどきに全力の攻撃をした。

[オリジナルスキル]ーー『崩壊の謝肉祭』――

　リンのオリジナルスキルにユニークスキルなど使えるスキルを全て使い渾身の一撃を狼もどきへと放った。

　リンを挟んだ向かい側が先ほどまでの狼もどきの破壊など比べることもないほど、地面が崩壊し一切合切が消滅していた。
　そしてリンの使っていた金棒が消滅した。
　しかしそれでも狼もどきが倒れる様子はなく、少し痛がっている程度であった。
　しかし、それでもリュウジンに言われた通り一瞬怯ませることには成功していた。

　――新月流奥義『天雷』――
　リュウジンはすかさず狼もどきに自身が今出せる最大の攻撃を叩きこんだ。
『天雷』によるけたたましい音と共にかなりの破壊の衝撃で土煙が立ち込めた。

　ッチ！これだけやってもまともに斬ることもできんのか！！

　リュウジンは自身のオリジナルスキルーー『女神の悪戯』――を発動していた。
　・オリジナルスキル
　――女神の悪戯――
　効果：マイナス効果／プラス効果を2～10倍にしてプラス効果／マイナス効果にする。
　効果時間：10分
　使用MP：50
　デメリット：効果終了後10分間、真逆の効果がプレイヤーに課される。
　備考：武器・防具によるプラスはプレイヤー本人にかけられたものではないので無効
　―――――

　リュウジンは自身の新月流の技があるため、そういったスキルはあまりいらないと思っていたため戦闘を補助するスキルを考えていた。
　そして、攻撃を喰らった時のステータス半減やスキルを発動する際に発するスキル光を消すようなスキルを考えていたのである。
　そしてさっき狼もどきに吹き飛ばされた後にこのスキルを取ることに決め、申請し受理されたのであった。
　そしてテルにデバフをかけてもらい、自身も狼もどきのダメージによってかなりステータスにバフがついた状態で今現在自身が持つ最も攻撃力が高い『天雷』を放ったのである。

　しかし、元の数十倍のSTR値になっていたにも関わらず、その攻撃で切れたのは狼もどきの表皮程度であった。
　更にその攻撃で持っていた刀は根本から折れてしまったのである。

　土煙が晴れると徐々に狼もどきの姿がが見えてきた。
　狼もどきはかすり傷程度とはいえ傷をつけられてことで相手を狩りの相手から明確な敵と見做し今までの遊びはやめたのであった。

　それを見るリュウジン、リン、テルは顔を引き攣らせることとなった。

　狼もどきの口に大きなエネルギーの塊のようなものがあり、周囲から何かを吸い込んでどんどん大きくなっていた。
　喰らえば間違いなく跡形もなく消し飛ぶであろうことは明らかであった。

　そのエネルギーの奔流にリュウジンたちは動くこともできず、また狼もどきに対してリュウジン、リン、テルと一直線に並んでしまっていた。

「ガアアアアアアアアアアアア！！！」
「しまっ・・・！」

　その瞬間、空気が震え避けられない死が迫ってきた。

　しかし、攻撃が当たる寸前に顔の前を布で隠した巫女姿の少女らしきものが現れてその攻撃を手をかざしただけで消し去った。

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