乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

文字の大きさ
6 / 53

6.妖精が見えるようになる

しおりを挟む
属性判定は基本的に教会で行う。それは判定石を使うからだ。それと庶民から稀有な属性が出た場合は、教会から王侯貴族へ報告を入れやすいため、査定などを取りまとめている。貴族の場合は自分らで判定石を入手できるため、子供の魔力が安定次第すぐに家で確認をする。

それにしても———変態は何者なんだろう。いちフリー治療師にしてはブライト家に入り込み過ぎているような…いくら優秀とはいえ、主人(セフィロス)の許可なしにセバスチャンを動かすなんてあり得ない。

「ふふ。不思議だなぁって顔ね?アタシが何者なのかって考えてるでしょ」
「う…はい」
「そうねぇー…くぅちゃんになら話してもいいかしら。アタシとセイって義兄弟なの。アタシは貧民街出身なのよ。家族もいない捨て猫を拾ってくれたのが、セイのお父様。アタシが稀少な属性持ちって事が分かって、身の安全を確保するためにも養子として迎え入れてくれたのが、ブライト公爵家よ」
「そうだったのですか!」
「公にはアタシが養子だって事は伏せられてるわ。それは、アタシが頼んだからなんだけど…捨て猫で弱っちいアタシを拾ってくれて、衣食住を満たしてくれて教育も施してくださった前当主様には本当に感謝してるわ。セイちゃんも本当の兄弟のように一緒にいてくれたの」
「そうだったのですね…」
「だから、もしかしたらアタシとくぅちゃんも義兄弟になるかもしれないわね?」
「!!!!」

こ、こいつ怖い~~~!なんでもお見通しかよ?ハッ!まさかサトリ…?な、なんでも筒抜けとか嫌だぞ!!

「くぅちゃん、アタシ、心なんて読んでないわよ?」
「~~~~~!!!!」

俺が更に慌ててるとおかしそうに笑われた。

「くぅちゃんはね、顔に全部出てるのよ。読みやすいの」
「………」

王侯貴族らしく、ポーカーフェイスは得意のはずなのに…まだまだおこちゃまだから?いやでも巻き戻し前のスキルは無くなってないはずだ…だよな?


判定石が設置されている部屋に通された。
書庫も兼ねているようで、初めて見る本がたくさん保管されていた。館には図書室も別途あって膨大な図書が保管されていたが、ここにもまだあったとは…公爵家、恐るべし。
城なら分かるんだよ。沢山の人や官僚が利用するしさ。
しかし、いち個人?の自宅にこんなのがあるとか前世の庶民な俺からすると考えられない量なのだ。

「さて。では孔雀様、判定石に触れて魔力を流し込んでください」
「はい」

セバスチャンに促されて判定石にぺたりと触れる。石は前世の記憶に照らし合わせると、怪しげな占い師が使うような丸い水晶玉のような見た目で、立派なかぎ爪がついた豪華な台に乗せられていた。石に反転して写り込む自分が見える。

魔力を流すという事が分からない幼子は、微量に垂れ流される魔力を判定する(幼いうちは制御の仕方が分からないため、少々駄々洩れ)

魔力を流し始めると、ぐいぐいと吸い込まれる感覚に驚いて手を離しそうになった。
以前、判定をした時はこんなに吸い込まれるような感覚はなかった。
思わず石を凝視していると、石に小さな人影らしきものが幾つか写り込んでいるのに気づいた。

「え?」
「どうしたの?」

バッと後ろを振り返ると、何もいない。
見間違えかと改めて石を見ると、やはり写り込んでいる。位置的には俺らの後ろにいる。

(おいおいおい。これじゃ怪談話みたいじゃないかよ。鏡を見たら後ろに何か写り込んでいるからと振り返ってもおらず、もう一度見るとやはりいて———みたいな)

思わず何度も後ろと石を確認していると、不審に思った2人が声をかけてくる。

「くぅちゃん、どうしたの?それにしても長いわね…」
「ここまで長いのは滅多にありませんね…整備はきちんとしているので壊れているという事は考えられませんが…」

石が魔力を吸い込む力がおさまらない。おさまらないからどんどん吸い込まれる。しかもさっきからその速度が増している気がする…。え、これってマズイんじゃ…。
指先がすぅと冷えて血の気が引く。貧血みたいな症状———これは魔力切れになるパターンだ。

「やだ!くぅちゃん?!」
「孔雀様!」

2人が慌てたように呼んでいて、マズいんでそろそろ切り上げたいです、と答えようとして俺の視界は暗転した。




———目が覚めたら異世界にいました。


「いました、じゃねぇえええ!!!なんじゃこりゃぁぁあ!!!」

うざい1人ノリツッコミは許してほしい。そうしないと更にパニックになりそうだったんだ。目が覚めたら、空間のありとあらゆるところになんか、いた。

ぴかぴか淡く光る小さな人外共と、小動物?と、なんかよく分からんスライムみたいな奴ら。そやつらがそこここにふわふわ飛んでたり床を走り回ったり、じっ…としてたり。
そらアンタ、異世界やろって思うやん?

(どうしよ俺、ついに頭おかしくなった?)

『ねーねー、あそぼー?』
『ニンゲン!あそぼーよー!』
『もきゅもきゅ、もきゅ』

無邪気に遊ぼうとかニンゲンとか言うとるで。最後にいたっては何いってるか全然わからん。

「ちょっと待て…お前ら、なに?」

そう、問いかけると、小さな人外共は顔を見合わせて首をコテンとし合った。や、こんな状況じゃなかったら可愛いなと思うような仕草だけど、今は心臓がバクンバクンしてるんで。それに俺、ビビりなんで。

『なに?僕らなに?なに?』
『えっとね、僕はウンディーネ!』

ウンディーネ…ウンディーネ…なんか、聞いた事あるな。なんだっけ?あと、言葉すら話してねぇ奴。うさぎみたいな見た目だけど、こいつ喋れんの?
俺の言葉は通じてるんかな。

『僕!僕はねー、風の妖精だよ!』
『僕も!』
『わたしもー!』
『あたちも!』

一斉に喋り出して耳が痛くなる。

「だぁぁぁぁーーー!!うるさーい!」
『きゃーーーーーー!!!!!』

思わず怒鳴ると、きゃーと言いながら俺の周りからパッと散った。きゃーと言う割にはすっげぇ楽しそうなんだけど。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...