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7.噛ませ犬、孔雀
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その後、わっさわさする奴らからなんとか聞き出した事をまとめると、どうやらこいつらは妖精らしい。人型のやつも、小動物みたいなやつも、スライムみたいなやつも。
妖精がいるとは言われていたが、見る事が出来るやつは限られてるしさらに会話をするとなるとさらにさらに限られる。
だから、妖精は伝承としては伝わってはいるが見る事が少ないため、今ではただの伝説というか「昔は信じられてたんだねぇ」という扱いだ。
前世でいう妖怪とか幽霊みたいなもんか?
俺の脳みそがイカレちまったわけじゃないなら、妖精はそこここに存在しているが人間側が感知できないだけ、という事になる。
「そういやゲーム内でヒロインが妖精と話してるシーンあったな」
見た目も才能もチート級のヒロインは、愛され力もチート級だから妖精に好かれていて、その証明みたいな扱いで妖精のシーンがあった気がする。
なんてったってヒロインは世界から愛されている愛されの申し子だからな。
それにくらべて俺は…攻略対象者とは名ばかりの、ある意味”かませ犬”的な扱いだよな。だってさ、悪役って物語にスパイスを加えて深みを持たせるための飾りだろ?
「おれ、ふびん…」
うぅっ…と1人で泣き真似してたら周りにいた妖精たちが頭なでなでしてくれた。俺は幼子じゃねぇぞ!見た目は子供だが、前世から足していくと…あれ?
前世の俺って幾つだ?うーん。分からん。
ただまぁ、巻き戻し前を足して軽く成人してるわな。
何故巻き戻ったのかは分からないが、俺の今生の目標は「健康で長生きする」だ。うん。これ大事な。あと、ちょ、ちょっとだけ推しを愛でたい。
遠目からでいい。
俺の推しは蒼玉。そして、巻き戻し前の俺に憎悪を抱いていた男。
ゲーム内で攻略対象者ではないが、俺の婚約者になるレティシアと同じ隣国の騎士だ。レティシアに密かに恋心を持ち、その婚約者が他所の女(ヒロイン)に現を抜かす様を苦々しく思いつつも、彼女のためにと陰日向に彼女をサポートする男の中の男。彼は謎が多い。
最年少で聖騎士になり、騎士団の中でもメキメキと頭角を表しているため、妬み嫉みで足を引っ張られまくる。その上容姿端麗ときたものだからその嫉妬はいつだってフルマックスで振り切っている。
ゲーム内の俺も、少しだけ劣等感を持っていたように思う。
レティシアと一緒に我が国の学園に入学した。留学というのは表向きで、本当の目的はレティシアの警護だ。彼女は俺と婚約者になった事で、嫁入り前にこの国の事を学びながら俺との親交を深める為に入学した。
そこで彼女は「悪役令嬢」のような立場に立たされる。
冤罪で俺に断罪されて、追放される非常に気の毒なスパイス(役割)だ。
今考えると、別にヒロインを苛めるわけではない。が、小言はめっちゃ言う。ヒロインは婚約者がいる男をハーレム要員ばりに堕としまくる。やれ、婚約者がいる男と2人きりになるなだとか、イベント攻略の為に学業が疎かになるヒロインに、領民の税金で学校に通っているのだからしっかりと授業を受けろだとか、ゆくゆくは貴族に嫁ぐのだから(子爵とはいえ貴族だからな)淑女のマナーはしっかりと叩き込めだとか。
ヒロインの破天荒な行動が、理解不能だったんだと思う。彼女は王家に輿入れも視野に入れて教育されたばりっばりの侯爵令嬢だからな。
と、いうか記憶を取り戻した俺が振り返っても、レティシアに落ち度は全くない。国交の為の輿入れだからと一生懸命だった。それなのに疎ましがられて断罪されて牢屋にぶち込まれるとか不条理だ。
彼女の言動は、ヒロインを思っての事であったし、ヒロインとつるむ俺の評価を守るためでもあった。
「すっげぇいい女じゃん…なのに、俺はヒロインに夢中でヒロインが泣けばよく確かめもせずに一方的に、れてぃしあを責めていた…頭わいてる」
あの冤罪も、おそらくレティシアとの婚約破棄を目論む奴らの暗躍だったんだろう。奴らにとってはヒナVSレティシアは良い隠れ蓑だった。
「あぁぁぁぁぁ…巻き戻し前のれてぃしあに土下座したい」
ちなみに、悪役令息にルート変更した俺はその断罪を理由にざまぁされるってオチだ。それが、巻き戻し前の死に繋がる。
「あれ?そういえば、その場合ヒロインは誰と結ばれるんだっけか?」
俺の側近も揃いも揃って馬鹿ばっかりだから、それぞれ家を追放されて平民になり、戦に駆り出されたり、男娼として娼館に売られたりしてしっかりざまぁされる。
「んーーーーー?それは誰ルートなんだっけ?」
全然思い出せん。
ゲームのタイトルすら思い出せん。その辺りは記憶が曖昧なのだ。
細かな事は思い出せないから、緻密な対策も取れない。
ならば、いっそシナリオから思いっきり飛び出せばいい。
………もう二度と、蒼玉にあんな目で見られたくないし。
「そうと決まれば即実行。僕はおうじさまやめるぞーー!」
『やめるのー!』
『おうじ様やめるぞーーー!』
『ぞーーー!』
両手を突き上げて高らかに宣言すれば、周りの妖精たちもキャッキャ、キャッキャと俺にならって騒ぎ立てた。
こいつら、意味は全く分かってなくて楽しいだけだな。そういえば妖精は楽しい事が大好きとか聞いたな。なんでも楽しくなっちゃうというか…子供かよ。
「セフィが帰ってきたら、教えてくれる?遅くなってもいいから」
「かしこまりました…ですが、いつもは寝てらっしゃる時ですよ?」
「うん!大丈夫!僕、起きてるから!!」
「分かりました」
妖精がいるとは言われていたが、見る事が出来るやつは限られてるしさらに会話をするとなるとさらにさらに限られる。
だから、妖精は伝承としては伝わってはいるが見る事が少ないため、今ではただの伝説というか「昔は信じられてたんだねぇ」という扱いだ。
前世でいう妖怪とか幽霊みたいなもんか?
俺の脳みそがイカレちまったわけじゃないなら、妖精はそこここに存在しているが人間側が感知できないだけ、という事になる。
「そういやゲーム内でヒロインが妖精と話してるシーンあったな」
見た目も才能もチート級のヒロインは、愛され力もチート級だから妖精に好かれていて、その証明みたいな扱いで妖精のシーンがあった気がする。
なんてったってヒロインは世界から愛されている愛されの申し子だからな。
それにくらべて俺は…攻略対象者とは名ばかりの、ある意味”かませ犬”的な扱いだよな。だってさ、悪役って物語にスパイスを加えて深みを持たせるための飾りだろ?
「おれ、ふびん…」
うぅっ…と1人で泣き真似してたら周りにいた妖精たちが頭なでなでしてくれた。俺は幼子じゃねぇぞ!見た目は子供だが、前世から足していくと…あれ?
前世の俺って幾つだ?うーん。分からん。
ただまぁ、巻き戻し前を足して軽く成人してるわな。
何故巻き戻ったのかは分からないが、俺の今生の目標は「健康で長生きする」だ。うん。これ大事な。あと、ちょ、ちょっとだけ推しを愛でたい。
遠目からでいい。
俺の推しは蒼玉。そして、巻き戻し前の俺に憎悪を抱いていた男。
ゲーム内で攻略対象者ではないが、俺の婚約者になるレティシアと同じ隣国の騎士だ。レティシアに密かに恋心を持ち、その婚約者が他所の女(ヒロイン)に現を抜かす様を苦々しく思いつつも、彼女のためにと陰日向に彼女をサポートする男の中の男。彼は謎が多い。
最年少で聖騎士になり、騎士団の中でもメキメキと頭角を表しているため、妬み嫉みで足を引っ張られまくる。その上容姿端麗ときたものだからその嫉妬はいつだってフルマックスで振り切っている。
ゲーム内の俺も、少しだけ劣等感を持っていたように思う。
レティシアと一緒に我が国の学園に入学した。留学というのは表向きで、本当の目的はレティシアの警護だ。彼女は俺と婚約者になった事で、嫁入り前にこの国の事を学びながら俺との親交を深める為に入学した。
そこで彼女は「悪役令嬢」のような立場に立たされる。
冤罪で俺に断罪されて、追放される非常に気の毒なスパイス(役割)だ。
今考えると、別にヒロインを苛めるわけではない。が、小言はめっちゃ言う。ヒロインは婚約者がいる男をハーレム要員ばりに堕としまくる。やれ、婚約者がいる男と2人きりになるなだとか、イベント攻略の為に学業が疎かになるヒロインに、領民の税金で学校に通っているのだからしっかりと授業を受けろだとか、ゆくゆくは貴族に嫁ぐのだから(子爵とはいえ貴族だからな)淑女のマナーはしっかりと叩き込めだとか。
ヒロインの破天荒な行動が、理解不能だったんだと思う。彼女は王家に輿入れも視野に入れて教育されたばりっばりの侯爵令嬢だからな。
と、いうか記憶を取り戻した俺が振り返っても、レティシアに落ち度は全くない。国交の為の輿入れだからと一生懸命だった。それなのに疎ましがられて断罪されて牢屋にぶち込まれるとか不条理だ。
彼女の言動は、ヒロインを思っての事であったし、ヒロインとつるむ俺の評価を守るためでもあった。
「すっげぇいい女じゃん…なのに、俺はヒロインに夢中でヒロインが泣けばよく確かめもせずに一方的に、れてぃしあを責めていた…頭わいてる」
あの冤罪も、おそらくレティシアとの婚約破棄を目論む奴らの暗躍だったんだろう。奴らにとってはヒナVSレティシアは良い隠れ蓑だった。
「あぁぁぁぁぁ…巻き戻し前のれてぃしあに土下座したい」
ちなみに、悪役令息にルート変更した俺はその断罪を理由にざまぁされるってオチだ。それが、巻き戻し前の死に繋がる。
「あれ?そういえば、その場合ヒロインは誰と結ばれるんだっけか?」
俺の側近も揃いも揃って馬鹿ばっかりだから、それぞれ家を追放されて平民になり、戦に駆り出されたり、男娼として娼館に売られたりしてしっかりざまぁされる。
「んーーーーー?それは誰ルートなんだっけ?」
全然思い出せん。
ゲームのタイトルすら思い出せん。その辺りは記憶が曖昧なのだ。
細かな事は思い出せないから、緻密な対策も取れない。
ならば、いっそシナリオから思いっきり飛び出せばいい。
………もう二度と、蒼玉にあんな目で見られたくないし。
「そうと決まれば即実行。僕はおうじさまやめるぞーー!」
『やめるのー!』
『おうじ様やめるぞーーー!』
『ぞーーー!』
両手を突き上げて高らかに宣言すれば、周りの妖精たちもキャッキャ、キャッキャと俺にならって騒ぎ立てた。
こいつら、意味は全く分かってなくて楽しいだけだな。そういえば妖精は楽しい事が大好きとか聞いたな。なんでも楽しくなっちゃうというか…子供かよ。
「セフィが帰ってきたら、教えてくれる?遅くなってもいいから」
「かしこまりました…ですが、いつもは寝てらっしゃる時ですよ?」
「うん!大丈夫!僕、起きてるから!!」
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