乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

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8.息子さんにしてください!

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とか言ってた時もありました。

「げせぬ…」

夜の23時過ぎとか余裕だろって思ってたら、この体はそんな夜更かしは出来ない仕組みらしい。21時過ぎくらいからこっくりこっくり始まって、慌てて、寝ないようにラジオ体操したのが悪かったみたい。
楽しくなって、調子に乗ってラジオ体操第2までやったら、終わった後の爽やかな疲労感から気持ち良く夢の世界に旅立ってしまったらしい。

しかも、ソファーに座って本を読んでたはずなのに、しっかりとベットに入ってる。
この肌ざわり最高だよな…。
すりすりと頬を擦りつけながら、ぼんやりとしていたら脳内で声が反芻された。

「なんだ。孔雀のやつ寝ちまったのか」
「張り切っておいででしたが、やはり日ごろの規則正しい生活がきいてきたのでしょうかね」
「ははは。それは嬉しいな。こいつが健やかに育ってる証拠だ」

あれ、夢じゃなくてセフィロスたちの会話だね。ほとんど夢現だったからな。セフィロスが運んでくれたんだろう。
逞しい腕に抱き上げられて体が宙に浮いた時に、楽しくて笑った気がする。

セフィロスは、俺にとって親戚のオジサンよりももっと近しい存在だった。父王とはほとんど没交渉だったせいで、セフィロスを父親代わりにしていた気がする。

セフィロスも俺をすごく可愛がってくれたから、より懐いたというか…普通は騎士団長とはいえここまで慣れ合いにはならないと思うんだけど、恐らく、父王が黙認していたんだろう。
そこには、母を降嫁させる目論見が関わっていたんではないかとにらんでいる。

俺が属性判定のために受けた魔力測定でぶっ倒れた事は当然、セフィロスの耳に入っている事だろう。あの後、目が覚めたら変態オッサンは屋敷内にいなくて、セバスチャンに説明を受けた。
俺の属性判定はちょっと判別が難しい上に魔力測定もおかしな数値を叩きだしたらしい。
判定石の故障の可能性もあるという事で、測定はまた後日となった。

「孔雀様。旦那様よりご伝言を預かっております」
「なぁに?」
「明日の午前中はお休みを取ったそうで、その時にお話しをとのことです」
「え!お休み取ってもらったの?…わるい事しちゃったかな」
「いいえ。旦那様は働きすぎなので、こういう事でもなければお休みを取ろうともしませんので丁度よろしいかと思います。公休日ですら、仕事を作り出して仕事をする中毒者ですから」
「うわぁ…」

社畜じゃん!!!!セフィロスそれはアカンよ!働く時にガッツリ働き、休みも全力で休む!それが心身ともに頑張れる秘訣だぞ!
社畜だった俺が言うんだから間違いない!
……ってあれ?俺、社畜だったの?
するりと自然に出てきた思考だけど、思い出そうとしても記憶にはないから変な感じ。
どうやら前世の俺は社畜だったらしい。


「殿下、この間はすまなかったな。遅くなってしまった。それに、魔力測定で倒れたと聞いているが調子はどうだ?どこか具合悪い所とかはないか?」
「うん。大丈夫だよ!僕こそ寝ちゃってごめんね。それに今日も午前中はお休みしてもらったって聞いて…」
「いいんだよ。他でもない殿下のためだからな。さて、どうした?」

穏やかな表情で俺を見るセフィロスの目には確かな愛情が見える。
俺はけっこう無茶なお願いをするつもりだ。
その目に明かな嫌悪感、面倒な色が見えたら、ちょっと凹む。俺の我儘だって分かってるけど。

「あの、あのですね。セフィにお願いがあるですよ」
「どうしたかしこまりすぎて面白いことになってんぞ」

すーはーすーはー

「えっと!僕を、セフィの息子さんにしてくだたい!」
「は?」

あ。噛んだ。

セフィロスの顔が見れなくて俯むく。気分は死刑宣告を待つ受刑者の気持ちだ。
幾ら、巻き戻し前に仕入れた情報が使えるとしても相手は生きている人間だ。
上司(王様)から言われたのであれば断り切れないだろう。
そう考えると、心では面倒だと思っていても仕方がないし、俺はそれに傷つく権利はないんだけど…それでも、やっぱりさ、期待しちゃうんだよな。
セフィロスがお父さんになってくれたらなぁって。俺は、セフィロスが大好きだから。
その勝手な期待を無下にされたら泣いちゃう。
うん。勝手に期待して勝手に裏切られた気分になっちゃう!

「———どうして、そう思ったんだ?」
「ぼ、僕はいま、とても微妙な立場にいます」
「あぁ」
「このまま王家にいても、僕の存在を持て余すと思います」
「そうだな」
「今回、僕のために動いてりょうよう先として、ここに置いてくれてることも分かってます。迷惑なのはじゅうじゅう承知です!なるべく早く自立して出ていきます!
なので、それまでは…」
「孔雀」
「あい…」
「俺を見ろ。孔雀」

重々しい声音にうるっとした。我慢して涙が出ないように目をしぱしぱと高速で瞬く。勇気を振り絞ってそろそろと顔を上げてセフィロスの顔を見ると———すっげぇ笑っていた。

「……は?」
「孔雀。御託はいい。お前は俺が好きか?」
「うん」
「どのくらい?」

どのくらい?
どのくらい?なんてそんな抽象的な聞かれ方されても困る。

「と、父さまみたいだなって思ってます」
「ほぉ?」
「セフィが僕の父さまだったらいいのになぁって、ずっと、思ってて」
「うんうん」
「勝手にね、心の中で父さまっておもって…」

突然抱き上げられて頬をすりすりと擦り付けられた。すりすりじゃねぇ。ジョリジョリだ。いてぇぇえええ!!!

「い、いた!いたいよ!せふぃぃ!!」
「はははは。そぉぉーーか。そぉぉーか。孔雀は俺を父さまだと思っていたのか」
「う、うん」
「かーーわいいなぁ!孔雀は。小さな頃に、孔雀が俺の後を雛のようにぽてぽて追いかけてくるのがたまらなくてな。俺と別れる時なんか大泣きしてよ。
そんな孔雀が可愛くて愛おしくてなぁ。お前が毒に倒れる度に何もしてやれねぇ自分が不甲斐なくて情けなくてな。
ただの一介の騎士では何もできねぇから歯がゆくてな。
戦で名を上げて着実に実績を積んで団長になった。お前が俺に助けを求めてくれたら全力で応えるって決めてたんだよ」
「…へ?」
「先の戦で、陛下より褒美を賜ってな。なんでも良いとの事だったから、考えていた事があるんだよ」
「それって…それって…」

セフィロスがニカッと白い歯を見せて笑った。
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