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幻楼 絶対絶命
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突如俺達は知らない暗闇の中にいた。
サーシャが光の玉を生み出し、あたりを照らす。
四方を壁に囲まれた、体育館くらいの大きさの部屋だ。
出入り口らしきものはない。
「敵の幻術か!サトシ、バランで幻術を破壊してくれ」
「了解」
俺はバランに乗り込み、砂でできているとみられる壁を殴打した。
砂が崩れる。
が、上から崩れてきた砂が偶然か壁の形を成した。
どうやら砂山の中のような場所にいるようだ。
「無駄です。私の意志に反して抜け出ることはできません」
女性の声が響き渡る。少し緊張しているような印象。
直接脳内に呼び掛けているようだ。
「名乗り遅れましたが、ウチは幻楼のクローディア。赤い月の四天王の一人です。貴方らは私の術中、幻楼の中におります」
「幻楼......聞いたことがあります......」
「知っているのか!?サーシャ」
ソウコウがサーシャの知識に驚く。
「奇跡魔法の極意『幻楼』、通常の奇跡魔法は事象の発生確率を操作するにすぎません。もっとも、それだけでも戦闘においては脅威ですが。奇跡魔法の高位術者のみが使用できる『幻楼』は、術者の意思が具現化される空間です。その空間で起こる出来事は、術者の意思のもと起こる『偶然』つまり実体のある現象であり、魔法による組成ではありません」
「つまりはどう言うことだ?」
「対魔法コーティングの通用しない超大規模組成魔法とでも言ったところでしょうか」
「よお知っとりますね......その通りです」
「クローディア、助かったよ……」
キリクの声だ。生き返ったのか。
そういえばセーヤの切断された腕も元に戻っている。
俺たちは戦闘態勢をとる。
「戦いは無用です」
クローディアの声が響く。
「ウチはこの幻楼と回復魔法しか使えません。ですが、ウチの意識のあるうちは、貴方らをここに閉じ込められます。貴方らをここに閉じ込めて進軍してもよいのですが、素直に国王を差し出してくれるなら、ここで戦を終え、民の命は救いましょう。……卑怯であることはよう分かっています。しかし、ウチらも引くわけにはいかんのです」
「どうするソウコウ?」
俺の質問にソウコウは即答する。
「仕方ない。民は国の宝っていうだろ。国王連れてくるしかないだろよ」
「勇者様!?」
サーシャは顔色を変えた。ソウコウが諭す。
「サーシャ、考えてもみろよ。ベリアルはいない。その上、敵の術中にある。今ここで抵抗を試みても勝てる見込みはない。国王の居場所を隠しても民も俺たちも皆殺しにされるだけだ。それにこいつらは決死隊だ。国王を見つけるまで国中を蹂躙して、最後は国王の場所まで辿り着くだろうさ。どっちにしても国王が生き残る筋はねぇよ」
「……しかし敵の意識が無くなるまで粘った上で、反撃をすることもできるかと」
サーシャは引き下がらない。
「時間を稼ぐのはむしろ向こうに有利だ。俺たちを足止めしている間にキリク、マァル、セーヤの3人と敵の軍勢がこっちの軍と民を襲うだろう。多分勝ち目はないな。そうだろ?クローディア?」
「はい、その通りです」
「ってわけだ。サーシャ、わかってくれ。……クローディア、俺を解放してくれ。俺が国王を連れてくる」
「ご理解助かります。貴方が国王を連れてくるまでの間、セーヤたちはここに待機させますので、ご安心を」
「お気遣い痛み入る」
勇者の横の壁に人ひとり通れる程度の穴が開いた。
「ここから外に出てください」
「サトシ、サーシャ、悪いけど行ってくるわ」
ソウコウは行ってしまった。
サーシャが光の玉を生み出し、あたりを照らす。
四方を壁に囲まれた、体育館くらいの大きさの部屋だ。
出入り口らしきものはない。
「敵の幻術か!サトシ、バランで幻術を破壊してくれ」
「了解」
俺はバランに乗り込み、砂でできているとみられる壁を殴打した。
砂が崩れる。
が、上から崩れてきた砂が偶然か壁の形を成した。
どうやら砂山の中のような場所にいるようだ。
「無駄です。私の意志に反して抜け出ることはできません」
女性の声が響き渡る。少し緊張しているような印象。
直接脳内に呼び掛けているようだ。
「名乗り遅れましたが、ウチは幻楼のクローディア。赤い月の四天王の一人です。貴方らは私の術中、幻楼の中におります」
「幻楼......聞いたことがあります......」
「知っているのか!?サーシャ」
ソウコウがサーシャの知識に驚く。
「奇跡魔法の極意『幻楼』、通常の奇跡魔法は事象の発生確率を操作するにすぎません。もっとも、それだけでも戦闘においては脅威ですが。奇跡魔法の高位術者のみが使用できる『幻楼』は、術者の意思が具現化される空間です。その空間で起こる出来事は、術者の意思のもと起こる『偶然』つまり実体のある現象であり、魔法による組成ではありません」
「つまりはどう言うことだ?」
「対魔法コーティングの通用しない超大規模組成魔法とでも言ったところでしょうか」
「よお知っとりますね......その通りです」
「クローディア、助かったよ……」
キリクの声だ。生き返ったのか。
そういえばセーヤの切断された腕も元に戻っている。
俺たちは戦闘態勢をとる。
「戦いは無用です」
クローディアの声が響く。
「ウチはこの幻楼と回復魔法しか使えません。ですが、ウチの意識のあるうちは、貴方らをここに閉じ込められます。貴方らをここに閉じ込めて進軍してもよいのですが、素直に国王を差し出してくれるなら、ここで戦を終え、民の命は救いましょう。……卑怯であることはよう分かっています。しかし、ウチらも引くわけにはいかんのです」
「どうするソウコウ?」
俺の質問にソウコウは即答する。
「仕方ない。民は国の宝っていうだろ。国王連れてくるしかないだろよ」
「勇者様!?」
サーシャは顔色を変えた。ソウコウが諭す。
「サーシャ、考えてもみろよ。ベリアルはいない。その上、敵の術中にある。今ここで抵抗を試みても勝てる見込みはない。国王の居場所を隠しても民も俺たちも皆殺しにされるだけだ。それにこいつらは決死隊だ。国王を見つけるまで国中を蹂躙して、最後は国王の場所まで辿り着くだろうさ。どっちにしても国王が生き残る筋はねぇよ」
「……しかし敵の意識が無くなるまで粘った上で、反撃をすることもできるかと」
サーシャは引き下がらない。
「時間を稼ぐのはむしろ向こうに有利だ。俺たちを足止めしている間にキリク、マァル、セーヤの3人と敵の軍勢がこっちの軍と民を襲うだろう。多分勝ち目はないな。そうだろ?クローディア?」
「はい、その通りです」
「ってわけだ。サーシャ、わかってくれ。……クローディア、俺を解放してくれ。俺が国王を連れてくる」
「ご理解助かります。貴方が国王を連れてくるまでの間、セーヤたちはここに待機させますので、ご安心を」
「お気遣い痛み入る」
勇者の横の壁に人ひとり通れる程度の穴が開いた。
「ここから外に出てください」
「サトシ、サーシャ、悪いけど行ってくるわ」
ソウコウは行ってしまった。
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