ネット民、異世界を行く

灰猫ベル

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敗戦

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 しばらくしてソウコウが国王と大臣たちを連れて戻ってきた。

 国王も大臣も非常に不愉快そうだ。
 それはそうだろう。戦争に負けたのだ。愉快であるはずがない。


 赤い月の提示した降伏条件は以下の通りだった。

 ・国王の参政権は剥奪する。
 ・現大臣についてはその任を解き、赤い月が統治する。
 ・民衆については財産の私有を許可しない。


 国王はしばらく悩んだが、マァルに睨まれ渋々降伏を受け入れた。



 国王と俺たちは幽閉された。


 牢の中で国王が怒鳴る。
「あんなもの口約束じゃ。わしは降伏するつもりはないぞ。ヌージィガは最後の一兵になるまで抵抗するっ!」

「これから俺たちどうなるんだろう?」

 不安が口からこぼれ出る。

「多分処刑されるだろうな。でもよ、民が無事なら広い意味では国を守ったってことになるんじゃぁないかな」

 ソウコウが明るく答えた。



 俺は死にたくない……。
 あの日腕の中で震えていたアルデの事を思い出した。
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