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第1章 始まりのお話
第5話 フェルミ議長との会談
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プレアデスではサトシが腕時計を睨んでいた。
ソウコウたちが発艦してからすでに40分が経過していたが対象への接触以降連絡がない。
ソウコウに限って敵にやられるとは思えないが……
どんな時でも最悪の展開を想定し、対応策を決めておくのが指揮官というものだ。
サトシはマネージャー昇進した時に読んだ孫子を思い出した。
孫子に
彼を知り己を知れば百戦殆うからず
彼を知らずして己を知るは一勝一負す
彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし
とある。
この度の戦い、敵の戦力は不明、勝算があるとは言えない。
ソウコウからは攻撃の指示があったが、逃走の必要も視野に入れる必要がある。
その時、対象構造体から通信魔法の黄色い光が飛んできた。
「ソウコウからの通信だ! サーシャ、受信次第解読してくれ」
サーシャはソウコウからの通信を解読した。
対象構造物はフェルミの前線基地、
そして彼らは我々を歓迎するとのことだ。
「良かった……敵じゃなかったんだ」
ユカが安堵の溜息をついた。
「サーシャ、あの構造体に入港してくれ」
「了解です」
翌日、サガンヌキの手引きでフェルミの議長と会談の機会を得た。
通信越しではあるが、予想以上の早さで事が運んだ。
プレアデスからは先に到着した三人と、
サトシ、アルデ、ユカ、西野が会談に臨んだ。
前線基地のモニタに三人の人物が映し出される。
「私はフェルミ中央議会議長ニオータ、私の両隣は副議長のタルフにテマロックだ」
ニオータは赤い肌をした大男で、
画面越しでも覇気が伝わってくるようだ。
タルフは中性的で能面の小面(こおもて)に似ている。
テマロックは獣の様な姿だ。
「プレアデスの諸君、我々フェルミは君たちを歓迎する」
ニオータは外見からは想像できないほど柔らかい声で言った。
「あの……失礼ですが、フェルミさん随分と外見バラエティー豊かなんすね」
吉川が勝手に口を挟む。
相手に敵対心がないと知ったとたんに余裕を感じたのだろう。
サトシが睨んだが、本人は気づいていない。
吉川はこういう未熟な部分があるため、
まだ客先に同行させることができないのだ。
「ハハハ、そうか、君たちは我々を知らなかったな。我々はフェルミ星人というわけではない。フェルミというのは11の惑星間の連合、正式名称はフェルミ通商条約機構だ。私はムーハ星人、タルフはロスワ星人、テマロックはギガン星人だ。我々フェルミは異文明間の協力によって互いの文明を発展させるために組織された」
「国連の宇宙バージョンって感じっすね」
西野がユカに耳打ちした。
「本題に入ろう……我々は今ジェミ、ジェミ軍事同盟と戦争状態にある。ジェミは50を超える惑星の軍事同盟だ。小規模な文明の集合体ではあるが、我々よりも大きな規模の軍を持ち星々を侵略している」
「かつての赤い月の様じゃなぁ」
アルデの言葉にソウコウもサトシも同感する。
ユカはアイラを見た。
故郷を悪く言われたことでアイラはどう思ったのか気になったからだ。
アイラは顔色ひとつ変えず立っていた。
「一年前、君たちから信号を受けて、我々は君たちを調査させてもらった。君たちの持つ『魔法』は我々にはない技術だ。是非我々の側についてほしい」
「私たちもあなた方との和平を望んでおります。対等な条件を保証していただけるならば喜んで手を貸しましょう」
ソウコウはよく通る声で返事をした。
「もちろんだ。フェルミ中央議会は赤い月を第12の加盟文明として認める」
赤い月はフェルミに加盟した。
ソウコウたちが発艦してからすでに40分が経過していたが対象への接触以降連絡がない。
ソウコウに限って敵にやられるとは思えないが……
どんな時でも最悪の展開を想定し、対応策を決めておくのが指揮官というものだ。
サトシはマネージャー昇進した時に読んだ孫子を思い出した。
孫子に
彼を知り己を知れば百戦殆うからず
彼を知らずして己を知るは一勝一負す
彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし
とある。
この度の戦い、敵の戦力は不明、勝算があるとは言えない。
ソウコウからは攻撃の指示があったが、逃走の必要も視野に入れる必要がある。
その時、対象構造体から通信魔法の黄色い光が飛んできた。
「ソウコウからの通信だ! サーシャ、受信次第解読してくれ」
サーシャはソウコウからの通信を解読した。
対象構造物はフェルミの前線基地、
そして彼らは我々を歓迎するとのことだ。
「良かった……敵じゃなかったんだ」
ユカが安堵の溜息をついた。
「サーシャ、あの構造体に入港してくれ」
「了解です」
翌日、サガンヌキの手引きでフェルミの議長と会談の機会を得た。
通信越しではあるが、予想以上の早さで事が運んだ。
プレアデスからは先に到着した三人と、
サトシ、アルデ、ユカ、西野が会談に臨んだ。
前線基地のモニタに三人の人物が映し出される。
「私はフェルミ中央議会議長ニオータ、私の両隣は副議長のタルフにテマロックだ」
ニオータは赤い肌をした大男で、
画面越しでも覇気が伝わってくるようだ。
タルフは中性的で能面の小面(こおもて)に似ている。
テマロックは獣の様な姿だ。
「プレアデスの諸君、我々フェルミは君たちを歓迎する」
ニオータは外見からは想像できないほど柔らかい声で言った。
「あの……失礼ですが、フェルミさん随分と外見バラエティー豊かなんすね」
吉川が勝手に口を挟む。
相手に敵対心がないと知ったとたんに余裕を感じたのだろう。
サトシが睨んだが、本人は気づいていない。
吉川はこういう未熟な部分があるため、
まだ客先に同行させることができないのだ。
「ハハハ、そうか、君たちは我々を知らなかったな。我々はフェルミ星人というわけではない。フェルミというのは11の惑星間の連合、正式名称はフェルミ通商条約機構だ。私はムーハ星人、タルフはロスワ星人、テマロックはギガン星人だ。我々フェルミは異文明間の協力によって互いの文明を発展させるために組織された」
「国連の宇宙バージョンって感じっすね」
西野がユカに耳打ちした。
「本題に入ろう……我々は今ジェミ、ジェミ軍事同盟と戦争状態にある。ジェミは50を超える惑星の軍事同盟だ。小規模な文明の集合体ではあるが、我々よりも大きな規模の軍を持ち星々を侵略している」
「かつての赤い月の様じゃなぁ」
アルデの言葉にソウコウもサトシも同感する。
ユカはアイラを見た。
故郷を悪く言われたことでアイラはどう思ったのか気になったからだ。
アイラは顔色ひとつ変えず立っていた。
「一年前、君たちから信号を受けて、我々は君たちを調査させてもらった。君たちの持つ『魔法』は我々にはない技術だ。是非我々の側についてほしい」
「私たちもあなた方との和平を望んでおります。対等な条件を保証していただけるならば喜んで手を貸しましょう」
ソウコウはよく通る声で返事をした。
「もちろんだ。フェルミ中央議会は赤い月を第12の加盟文明として認める」
赤い月はフェルミに加盟した。
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