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第七章 終焉の令嬢

26.穏やかに激しく

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 こんな風に穏やかに誰かに体を委ねたのはいつ振りだろう。記憶を紐解くと子供時分まで遡るように思える。何より驚きなのはその相手が国王であることだ。クラウディアにとって両親の敵であり、自分を奴隷へと堕しアルベルトの慰み者にした張本人なのである。だが今は過去のことよりもこの瞬間に安息が得られていることを大切に考えていた。

「陛下、ご満足いただけなくて申し訳ございません。
 少しだけお休みさせて下さいませ。
 どうしても陛下の為になりたいのです」

「そんなに思いつめなくて良いぞ、我は十分満足しておる。
 なぜだろうな、娘と言ってもおかしくはないそなたが愛しくて仕方ないのだ。
 こんな年寄りに言われても嬉しくはないだろうがな」

「いいえ、とんでもございません。
 恥ずかしながら私は愛も恋も知りません。
 それでいてすでに穢れた身なのでございます。
 ですが慈悲深い陛下にこうして床を共にすることを許されまして涙の出る思いです」

「そなたはほんに大げさよのう。
 我が今まで見てきたどの女とは違い、純真さが滲み出ておるわ。
 自分の若さが尽きていることをこれほど悔やんだことは無いぞ」

 王はそう言いながらクラウディアの柔らかな乳房を手慰んでいる。今この乳房は子へ乳を授けるために張りつめているのだが、飲ませる相手がいないため正直言うと持て余している。しかしその張りつめた感触が男のなにかを刺激するのか、膨れた乳首を指先で転がすしたり摘まんだりし、まるでその感触を楽しんでいるようにも見える。

 汗の引いてきたクラウディアは、中断していた行為を再開しようと王の体へともたれかかり唇を重ねた。そのまま手を下に伸ばして男の証を弄(まさぐ)ると、相も変わらず少年のようにかわいらしいままのそれが手の中に収まる。胸に抱いた女の小さな手に握られて気まずいのか照れくさいのか、隆起した乳首を指先で摘まむと反対の腕で持ち上げるように身体を引き寄せた。

「こう言っては悪いが、そなたも我と同じように不感であるのだな。
 似た者同士で慰め合うのも悪くないかもしれん。
 だが失った我となにも知らぬそなたでは状況が異なり不公平であろう」

 口元へ引き寄せられた乳房に髭が当たり、次の瞬間には母の証と言えるほど大きな乳首が老年の男性に咥えられた。そのままチュクチュクと赤子が乳を吸うような音が静かな部屋に響く。その非日常感がもたらしたことなのか、クラウディアの口から初めて小さな吐息が漏れた。

 王はそのことに気を良くしたのか、まるで飴玉を舐めるように舌の上で乳首を舐め転がす。今まで同じことをされてもなんとも思わなかったクラウディアは、己の肉体に訪れている変化に驚いていた。ヌメッとした感触が隆起した突起の先を這っていく。甘噛みされたところで再び吐息が漏れる。王の両手はいつの間にか両の乳房を優しく、そしてしっかりと掴み揉みしだいていた。

「はあっ、あぁ…… はぁ…… はぁっ…… 陛下……
 私…… どうなってしまっているのでしょうか…… 初めての感覚で……」

「愛(う)い奴よ、そのまま我に身を任せてみるがいい。
 そら、こう言うところはどうだ?」

 王はクラウディアと上下を入れ替え組み敷くと、首元へと舌を這わせ愛撫を始める。そのまま耳朶を柔らかく噛みながら囁くように吐息を当ててきた。この初めての体験にクラウディアはたまらず喘ぐ。耳元から首筋、そして頬までが真っ赤に染まった。その姿を見て高揚したのか、王はさらに口と手を各所へ伸ばしこれでもかと責め立てていく。その仕草は今まで味わったことの無い情愛、まさに愛のある行為だと感じた。

 触れるか触れないか、際どく感覚をくすぐる老獪な唇によってクラウディアの体内から何か溢れるものが引き出されていくのがわかる。強く張った乳房が破裂せんばかりに膨らみ、体中に滾(たぎ)った血流が体温を上げ、まるで刃物で切り裂かれたかのごとく未熟な女を見知らぬ感覚が襲って爆ぜた。

「あ、あ、ああああぁぁああ!! 陛下ああ!!」

 クラウディアは大声を出しながら王の背に腕を回し、最後は背中を大きく屈曲させのけ反りながら果てた。その泉からは喜びの涙が溢れ二人はまるで溺れてしまったのではないかと言うほどに濡れそぼった。女は一体何が起こったのかわからず頭上から見下ろす老齢の王を見つめると、男は笑みを蓄えながら口を開いた。

「そうか、やはり女としての悦びは初めてなのだな。
 我もこれほど悦ばせたのは久し振りよ。
 愛いのう、クラウディア、誠に愛い奴だのう」

 そう言われたクラウディアは今までにないくらい赤面してしまった。これが女の悦びなのかと驚くと共に、初めて知った快感をこれ切りにはしたくないとも考えている。なんとはしたないことか、自らの体から溢れ出た物がベッドを激しく濡らしていることも恥ずかしさに拍車をかけている。さらには自分の爪に残された違和感を探ると、王の背に爪を立てた証がありありと残されていた。
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