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第四章 新生活開始
20.再び
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翌日になり朝から覚えることが多く目が回りそうな一日だった。まずはジョアンナと一緒に学校へ向かい道を覚え、待っている間に学校近くの図書館へ行って片っ端から書物を読んだ。
やはり気になったのは武術に関する本で、知らない技が色々と載っており参考になった。とは言っても使い道は無いかもしれない。他にも料理の本を見てなんとなくできそうなものを懸命に覚えたり、世間の常識的なことが載っていると聞いていた子供向けの絵本をいくつか眺めて頭へと叩き込んだ。
ためになったのはやはり社会のことで、この国では王や貴族が勝手気ままに民を裁くのではなく、法律に基づいて裁いているらしい。そのための取り締まり機関がオカ達の働く警察という機関とのことだ。
ジョアンナや俺のように社会で子供とされているものは学校へ通うものであり、むやみに出歩いていると取り締まりにあう。それに喧嘩をしたりむやみに暴力を振るったりするのも取り締まり対象だ。
これには困ってしまった。いざとなったら先日の輩(やから)のようなやつらをぶちのめして金にしようと思っていたのだが、賞金首のような仕組みはないと言うことになる。あと、街にある商店で働くにはおおむね十六歳以上でないと雇ってもらえないらしい。
「これは失敗したな。
どうせなら神に言って十六歳にしてもらえばよかった。
このままでは姫に迷惑をかけっぱなしになってしまうぞ」
なんとか金を稼ぐ方法がないかとあれこれ本を読んでみるがそんなうまい方法は見つからない。まあすぐに見つからないと言うことは、あったとしても危ない橋を渡るものじゃないだろうか。
だが待てよ? 子供が働くのが当たり前でない世の中なのだとしたら、ジョアンナはなぜ裏稼業じみた仕事をしているのだろう。どうやらこの辺りの事情を知ることが出来れば俺にも仕事が貰えるかもしれない。よし、少しでも稼いでたらふく飯が食える身分を目指そう。
図書館で時間を過ごしているうちに腹が減ってきてしまった。飯のことを考えているだけで腹が減るのなら、考えるだけで腹が膨れてもいいんじゃないか、そんなバカなことまで考えてしまう。
その時ポケットの中で何かが震えた。どうやらスマホがなにかに反応したようで取り出してみると画面上に文章が表示されていた。
『お昼休みになったね。そろそろお腹すいたんじゃない? まだ
図書館にいるの? アタシは学食で食べるんだけどうみ……』
これはなんだ? おそらくメッセという手紙だと思うのだがどう見ても文章が途中で途切れている。切れた先を見ようといくら傾けてみても続きは見えないし、どうしたらいいのか考えていたら画面自体が黒くなってメッセ自体が消えてしまった。
ちくしょう、いったいどうすればいいのかわからんが、とりあえず図書館を出て学校へ戻ってみよう。幸い道は一本道で迷いようがない。俺は表へ出てから来た道を戻っていった。
しばらく歩いていると向かい側から数人で同じ服装をした男たちが歩いてきた。よそ見をしてしゃべりながら近づいてくるが、このままではぶつかってしまいそうだ。これはおそらくこちらへぶつかって因縁をつけると言うよくある手口による強盗だろう。
まあ俺に掛かればぶつからないでやり過ごすことくらいなんでもない。だがそれは取り越し苦労だったようで、向かいから来たやつらはよそ見をしたまま器用に向きを変え俺を避けて通り過ぎた。しかもなにか食い物を持っていたようで随分といい香りが漂っている。俺はたまらず声をかけてしまった。
「おい、君たち、なにかいい香りがするがその食い物はどこで手に入れたんだ?
やはり買わないと手に入らないんだろうか」
「えっ? なんだこの子は?
そりゃ買って来たんだよ、当たり前じゃないか」
男たちは顔を見合わせて苦笑いをしている。どうやらバカな質問をしてしまったのだと理解するのに時間はかからなかった。
「承知した、引き留めてすまなかったな」
俺は無用なトラブルを起こさないため丁寧に謝罪し、再び学校へ向かおうと歩き出した。しかし――
「おいおいキミ、ちょっと待ちたまえ。
腹が減っているなら僕らと一緒に来なさい。
昼食くらい出してあげるよ」
「そうだな、すぐそこまで戻るところだから一緒に来たらいい。
ちょうど昼だから腹も減ってるだろう?」
「おお、それはありがたい!
世の中には親切な人がいるもんだ。
遠慮なくごちそうになろうじゃないか」
◇◇◇
こちらの世界の事情が分からない俺にとっての生命線はジョアンナただ一人だ。そう思っていたがもう一人頼れる男がいたことをようやく思い出した。俺とその相手とでは微妙に記憶の相違はあるが、まあそうひどいものではないので気にしなくていいだろう。
「確か君は九条のところの同居人だったね?
学校も行かないでフラフラと出歩いてたら俺たちの目についちまうぞ?
九条には連絡入れておいたから学校が終わったら迎えに来てくれるよ。
それまで待てるかい?」
「うむ、問題ない。
それより昼飯を食わせてくれて礼を言う。
あのままのたれ死ぬかもと心配していたんだ」
「まったく大げさだな。
別に迷子になってたわけじゃないんだろ?
まあ何もなくて退屈かもしれんが今時の子ならスマホで暇つぶしできるだろ」
「それがまだ使い方がわからなくてな。
姫から連絡が来ていたはずなんだが読めなくて困ってるんだ。
あとで使い方を教えてもらわないと不便で仕方ない」
そう言うと、オカは交通ルールとかかれた書物を貸してくれた。どうやらこれで暇を潰せと言うことらしい。この世界へ来たばかりなのにすでに二度も事故に『あっている』俺には有用な書だろう。
俺は先ほどすれ違った男たちに連れられて再び警察署に来ていた。図書館で学んだばかりだと言うのに、徘徊する未成年者の取り締まりにあってしまったのだ。しかも俺を捕らえたのは見回りをしていた警官ではなく、昼飯を買いに出ていた事務員と言う管轄外で担当外で専門外の者たちと聞いてガックリとうなだれた。
食い物に釣られてあっさりついていき取り締まりにあうなんて、しかも警備兵ではなく受付の者に連行されるとは、あまりの情けなさに涙が出そうな気分である。だがそれもオカの名前をだしたらすぐに解決となって飯まで食わせてもらえるなんて、闇の中に一匹の蛍とはよく言ったものだ。
腹も膨れたところでそろそろ立ち去ろうかと考えたのだが、どうやら迎えが来るまで帰してもらえないらしい。俺は仕方なくひっきりなしに人が出入りしている騒々しい様を眺めなていた。
やはり気になったのは武術に関する本で、知らない技が色々と載っており参考になった。とは言っても使い道は無いかもしれない。他にも料理の本を見てなんとなくできそうなものを懸命に覚えたり、世間の常識的なことが載っていると聞いていた子供向けの絵本をいくつか眺めて頭へと叩き込んだ。
ためになったのはやはり社会のことで、この国では王や貴族が勝手気ままに民を裁くのではなく、法律に基づいて裁いているらしい。そのための取り締まり機関がオカ達の働く警察という機関とのことだ。
ジョアンナや俺のように社会で子供とされているものは学校へ通うものであり、むやみに出歩いていると取り締まりにあう。それに喧嘩をしたりむやみに暴力を振るったりするのも取り締まり対象だ。
これには困ってしまった。いざとなったら先日の輩(やから)のようなやつらをぶちのめして金にしようと思っていたのだが、賞金首のような仕組みはないと言うことになる。あと、街にある商店で働くにはおおむね十六歳以上でないと雇ってもらえないらしい。
「これは失敗したな。
どうせなら神に言って十六歳にしてもらえばよかった。
このままでは姫に迷惑をかけっぱなしになってしまうぞ」
なんとか金を稼ぐ方法がないかとあれこれ本を読んでみるがそんなうまい方法は見つからない。まあすぐに見つからないと言うことは、あったとしても危ない橋を渡るものじゃないだろうか。
だが待てよ? 子供が働くのが当たり前でない世の中なのだとしたら、ジョアンナはなぜ裏稼業じみた仕事をしているのだろう。どうやらこの辺りの事情を知ることが出来れば俺にも仕事が貰えるかもしれない。よし、少しでも稼いでたらふく飯が食える身分を目指そう。
図書館で時間を過ごしているうちに腹が減ってきてしまった。飯のことを考えているだけで腹が減るのなら、考えるだけで腹が膨れてもいいんじゃないか、そんなバカなことまで考えてしまう。
その時ポケットの中で何かが震えた。どうやらスマホがなにかに反応したようで取り出してみると画面上に文章が表示されていた。
『お昼休みになったね。そろそろお腹すいたんじゃない? まだ
図書館にいるの? アタシは学食で食べるんだけどうみ……』
これはなんだ? おそらくメッセという手紙だと思うのだがどう見ても文章が途中で途切れている。切れた先を見ようといくら傾けてみても続きは見えないし、どうしたらいいのか考えていたら画面自体が黒くなってメッセ自体が消えてしまった。
ちくしょう、いったいどうすればいいのかわからんが、とりあえず図書館を出て学校へ戻ってみよう。幸い道は一本道で迷いようがない。俺は表へ出てから来た道を戻っていった。
しばらく歩いていると向かい側から数人で同じ服装をした男たちが歩いてきた。よそ見をしてしゃべりながら近づいてくるが、このままではぶつかってしまいそうだ。これはおそらくこちらへぶつかって因縁をつけると言うよくある手口による強盗だろう。
まあ俺に掛かればぶつからないでやり過ごすことくらいなんでもない。だがそれは取り越し苦労だったようで、向かいから来たやつらはよそ見をしたまま器用に向きを変え俺を避けて通り過ぎた。しかもなにか食い物を持っていたようで随分といい香りが漂っている。俺はたまらず声をかけてしまった。
「おい、君たち、なにかいい香りがするがその食い物はどこで手に入れたんだ?
やはり買わないと手に入らないんだろうか」
「えっ? なんだこの子は?
そりゃ買って来たんだよ、当たり前じゃないか」
男たちは顔を見合わせて苦笑いをしている。どうやらバカな質問をしてしまったのだと理解するのに時間はかからなかった。
「承知した、引き留めてすまなかったな」
俺は無用なトラブルを起こさないため丁寧に謝罪し、再び学校へ向かおうと歩き出した。しかし――
「おいおいキミ、ちょっと待ちたまえ。
腹が減っているなら僕らと一緒に来なさい。
昼食くらい出してあげるよ」
「そうだな、すぐそこまで戻るところだから一緒に来たらいい。
ちょうど昼だから腹も減ってるだろう?」
「おお、それはありがたい!
世の中には親切な人がいるもんだ。
遠慮なくごちそうになろうじゃないか」
◇◇◇
こちらの世界の事情が分からない俺にとっての生命線はジョアンナただ一人だ。そう思っていたがもう一人頼れる男がいたことをようやく思い出した。俺とその相手とでは微妙に記憶の相違はあるが、まあそうひどいものではないので気にしなくていいだろう。
「確か君は九条のところの同居人だったね?
学校も行かないでフラフラと出歩いてたら俺たちの目についちまうぞ?
九条には連絡入れておいたから学校が終わったら迎えに来てくれるよ。
それまで待てるかい?」
「うむ、問題ない。
それより昼飯を食わせてくれて礼を言う。
あのままのたれ死ぬかもと心配していたんだ」
「まったく大げさだな。
別に迷子になってたわけじゃないんだろ?
まあ何もなくて退屈かもしれんが今時の子ならスマホで暇つぶしできるだろ」
「それがまだ使い方がわからなくてな。
姫から連絡が来ていたはずなんだが読めなくて困ってるんだ。
あとで使い方を教えてもらわないと不便で仕方ない」
そう言うと、オカは交通ルールとかかれた書物を貸してくれた。どうやらこれで暇を潰せと言うことらしい。この世界へ来たばかりなのにすでに二度も事故に『あっている』俺には有用な書だろう。
俺は先ほどすれ違った男たちに連れられて再び警察署に来ていた。図書館で学んだばかりだと言うのに、徘徊する未成年者の取り締まりにあってしまったのだ。しかも俺を捕らえたのは見回りをしていた警官ではなく、昼飯を買いに出ていた事務員と言う管轄外で担当外で専門外の者たちと聞いてガックリとうなだれた。
食い物に釣られてあっさりついていき取り締まりにあうなんて、しかも警備兵ではなく受付の者に連行されるとは、あまりの情けなさに涙が出そうな気分である。だがそれもオカの名前をだしたらすぐに解決となって飯まで食わせてもらえるなんて、闇の中に一匹の蛍とはよく言ったものだ。
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