【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)

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6.聖なるネコ

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 事情は理解した。僕を勇者だと言ってくれているのもわかった。でも実際にどんな状況で僕に何ができるのかはさっぱりわからないままだ。

「実はナオ君の作ったあみぐるみには聖なる力が宿っているのです。
 最初に貰った真四角のあみぐるみのおかげでこの5年間の被害を押さえることができました。
 しかしその効果が大分弱くなり猶予はもうありません。
 幸い、今年になってから作られたこのネコちゃんたちには十分な力が備わっています」

「つまりどういうこと?
 そのネコたちがなにかの役に立つの?」

「その通りです! では海岸まで参りましょう。
 今ここにいないネコちゃんたちが戦っているところへ!」

 あみぐるみのネコが戦ってるって一体何と!? もう何度驚いたかわからなくなっているが、とりあえず言われるがままネコたちについて城の外へ出て海岸へと向かった。


 海岸まで行くと確かになにか四角いものがあちらこちらに打ち上げられていた。そのうちのいくつかが動いている様子が見える。なにか動物のような形をしているようだが……

「あれはネズミ!?
 ブロックでできているみたいだけど、見た目はネズミみたいだよ?」

「そうなんです、打ち上げられた四角い物体がいくつか合わさってネズミの形になっています。
 それが大量に走り回りもふもふの国民に襲いかかったのです。
 襲われた人たちは人型を維持出来なくなりぬいぐるみのままになってしまいました。
 他にも何人かは海の底へと攫われてしまっています」

「王様と女王様もさらわれたって言ってたね。
 一体何のために連れていかれたんだろう」

「まったく見当もつきません……
 あれらが何なのか、どこから来たのか、何の目的があるのかなどすべてが謎のままです。
 しかし勇者であるナオ君が作ったあの四角形のあみぐるみには近づけなかった。
 私が持ち帰った直後は海岸からネズミたちは消え去りました。
 その隙に打ち上がったままの物体を埋めていたのですが……」

「そう言えば効果が弱くなってきたって言ってたもんね。
 弱まってしまってどうなったの?」

「再び海岸に打ち上げられるようになり、以前と同じように動き始めました。
 それを打破してくれたのがこのネコたちなのです。
 最初に動画を撮影した時に大臣から聖なる力が転送されてきました。
 実態が無いので力は限定的でしたが、それでもあのネズミたちを駆除してくれたのです」

「ということは動画にコメントをくれたのは君たちってことか。
 他のクマとかペンギンはダメだったの?
 ネコよりも強そうなのに」

「今のところネズミに追いついて倒すことが出来ているのはネコだけです。
 他はすべて追いつくことが出来ないので……
 とはいってもネコが動けるのはネズミ数匹を倒す間だけということもわかりました。
 そして一つのあみぐるみから得られる聖なる力は一度きりと言うことも」

「だから沢山のネコが必要だったんだね。
 そんな事情があって僕になんとか出来るなら頑張って作るよ!
 一度に何百もは無理でも毎日2,3匹ずつならなんとかなるはず」

「でもそれではやってきたネズミを駆除することしかできません。
 そしてそれがいつまで続くのかも全く分からないのです。
 言い伝えによれば闇の使いが七つ現れ七日の間厄災をもたらす。
 それが七の七倍の間続くとされています」

「えっと、ということは7x7x7だから…… 343日間?
 でももう5年ほど続いているんだよね?」

「はい、この国では7というのは数えきれないほどの数、という意味にも使われます。
 なので永遠に続くことも考えられるということ……
 ですが! 過去に起きた厄災が収まったからこそ今の国があるはずでしょう?
 つまり、聖なる力だけ転送するのでなく、勇者をこの国へ招く必要があると考えています」

「でもここは僕の心の中に映し出されている世界、つまり幻ってことでしょ?
 一体どうしたらいいのかわからないよ。
 あみぐるみを作るとしても材料がないしさ……」

「それは問題ありません。
 城の裏手にある丘の上の神殿に聖なるかぎ針が収めてあるのです。
 そして材料ですが、城は毛糸でできているのでしばらく困ることはないでしょう。
 では早速、一緒に神殿へ行ってくれますか?
 勇者であるナオ君なら聖なるかぎ針を手にすることが出来るはずなのです!」

 僕は王女の言葉に頷いてから、後を追って神殿へと向かった。
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