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7.決着
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神殿へつくと確かにかぎ針に見えるものが石碑のような物に刺さっていた。僕は促されるままに手を掛け少しだけ力を入れた。するとそのかぎ針はまばゆい光を放ちながら消えていき、いつの間にか僕の手に握られていた。
かぎ針を手に入れたあと、急いで城まで戻り外壁の一部に手を触れた。すると城の壁はするするとほどけながら毛糸へと変わっていき、僕の手の中で毛糸玉になったではないか。
「これを使えってことなのかな。
作るのはやっぱりネコがいい?」
「はい、今のところ他に有効な動物がわかりません。
今はまだ実体がないネコたちが頑張ってくれていますが、いつまで持つかわかりません。
急かせて申し訳ありませんが、できるだけ急ぎでお願いできますか?」
僕は力強く頷いてから製作を開始した。驚くべきことに聖なるかぎ針を使うとスピードアップなんてもんじゃなく、それ庫度あっという間に一匹のネコが出来上がった。毛糸の色の関係上、石造のような色と模様が入っているがそれは問題ないだろう。
「よし行け! あのネズミたちをやっつけるんだ!」
僕の指示が伝わったのか、石造色のネコは海岸へ向けて走り出した。僕たちのその跡へ続き走って追いかけていく。入れ替わるように実体がない方のネコたちが戻ってきた。どうやら満身創痍と見える。
城の壁と同じ石造りにしか見えないネコはブロックのネズミへ向かって飛びかかり次々に倒していく。ネズミがどんなに逃げてもすぐに追いついて段々と数を減らしていった。
最後の一匹が僕の作ったネコに噛み砕かれていなくなったところで大きな歓声があがる。王女やぬいぐるみたちが喜んでいる姿を見るのはとても嬉しかった。
しかし――
「見てください!
黒い影! あれが海底から現れた例の影です!」
そのとき僕が持っているかぎ針が光を放ち始めた。僕があっけにとられているとその光は徐々に形を変えていく。元のかぎ針よりも大分大きくなって短剣のようになったので僕が両手で握りしめると、光は強さを増して伸びていく。
『光の剣(つるぎ)をかざしてあの影へと向けるのだ!
そして心のままに叫べ!』
頭の中で誰の物かわからない声が響き、僕はなぜか言う通りに両手を上げて黒い影めがけて光の剣を振り下ろしながらから叫んだ。
「スパークルシャイン! バインディングヤーン!!」
自分でもおかしなことを言っているという自覚はあったものの、光の糸が伸びていき黒い影へと巻きついていくさまは圧巻だった。これを僕がやっているのかと言われると実感は無かったけど、それでもなぜか解決へと導かれているような実感はある。
やがてすっかりぐるぐる巻きにされた黒い影は、破裂するように粉々に浄化され消えて行った。その後に残された光の糸がゆっくりと消えて最後には光の球が残された。その光の球はいくつかのぬいぐるみへ飛んでいき吸収されたのだ。
「あああ、私の身体が戻ってきた!
ありがとう! 王女様、勇者様、ありがとうございます!」
「ああ、なんという喜び、あの影を倒すと奪われた半身が戻ってくるのですね。
ナオ君、いいえ、勇者ナオよ! ああ他の働きに感謝します」
「いや、僕はただ無我夢中にやってみただけで……
でも役に立てたのなら良かった。
とは言ってもこれで終わりではなさそうだね」
「そうですね、これはほんの始まりにしか過ぎないのでしょう。
これからもよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしく。
ところで僕は家に帰れるのかな?
なんだかすごく疲れてしまってベッドへ寝ころ…… がり…… た……」
気を失った僕が次に目覚めたのは、自分の部屋のベッドの上だった
かぎ針を手に入れたあと、急いで城まで戻り外壁の一部に手を触れた。すると城の壁はするするとほどけながら毛糸へと変わっていき、僕の手の中で毛糸玉になったではないか。
「これを使えってことなのかな。
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「はい、今のところ他に有効な動物がわかりません。
今はまだ実体がないネコたちが頑張ってくれていますが、いつまで持つかわかりません。
急かせて申し訳ありませんが、できるだけ急ぎでお願いできますか?」
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城の壁と同じ石造りにしか見えないネコはブロックのネズミへ向かって飛びかかり次々に倒していく。ネズミがどんなに逃げてもすぐに追いついて段々と数を減らしていった。
最後の一匹が僕の作ったネコに噛み砕かれていなくなったところで大きな歓声があがる。王女やぬいぐるみたちが喜んでいる姿を見るのはとても嬉しかった。
しかし――
「見てください!
黒い影! あれが海底から現れた例の影です!」
そのとき僕が持っているかぎ針が光を放ち始めた。僕があっけにとられているとその光は徐々に形を変えていく。元のかぎ針よりも大分大きくなって短剣のようになったので僕が両手で握りしめると、光は強さを増して伸びていく。
『光の剣(つるぎ)をかざしてあの影へと向けるのだ!
そして心のままに叫べ!』
頭の中で誰の物かわからない声が響き、僕はなぜか言う通りに両手を上げて黒い影めがけて光の剣を振り下ろしながらから叫んだ。
「スパークルシャイン! バインディングヤーン!!」
自分でもおかしなことを言っているという自覚はあったものの、光の糸が伸びていき黒い影へと巻きついていくさまは圧巻だった。これを僕がやっているのかと言われると実感は無かったけど、それでもなぜか解決へと導かれているような実感はある。
やがてすっかりぐるぐる巻きにされた黒い影は、破裂するように粉々に浄化され消えて行った。その後に残された光の糸がゆっくりと消えて最後には光の球が残された。その光の球はいくつかのぬいぐるみへ飛んでいき吸収されたのだ。
「あああ、私の身体が戻ってきた!
ありがとう! 王女様、勇者様、ありがとうございます!」
「ああ、なんという喜び、あの影を倒すと奪われた半身が戻ってくるのですね。
ナオ君、いいえ、勇者ナオよ! ああ他の働きに感謝します」
「いや、僕はただ無我夢中にやってみただけで……
でも役に立てたのなら良かった。
とは言ってもこれで終わりではなさそうだね」
「そうですね、これはほんの始まりにしか過ぎないのでしょう。
これからもよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしく。
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気を失った僕が次に目覚めたのは、自分の部屋のベッドの上だった
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