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旅立ちとギルド
第15話、変異種
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正直私の剣技は、見よう見真似の紛い物。
だから剣聖のように剣の耐久性まで考慮して、延々と剣を振り続けるなんて芸当は出来るはずもない。
しかし剣が折れたくらいでいちいちショックを受けていては、命がいくつあっても足りはしない。だから切り替えなければ、と言う意志が働き一気に冷静さを取り戻す。と同時に、待っていると言ったら本当にいつまでも待っていそうなリーヴェの姿を思い浮かび苦笑してしまう。
リーヴェ、あのような言葉が考えなしにポンポンと出てくるのだから、大したものだ。
……否が応でも戻らなければと、勇気づけられる!
ゴブリンどもは狭い廊下を縦列に並ぶようにして、何匹もこちらへ向け迫って来ている。
焦るな!
私の剣は折られてしまったが、剣なら眼前にもう一本あるではないか!
私から剣を弾かれ硬直してしまっている、無防備姿のゴブリンの手に!
思ったがすぐに、手が動いていた。私はまだ手にしていた折れた山賊の剣を、ゴブリンの心臓に向け伸ばし、突き立てる! 突き立った剣を汚しながら、ぶしゅぶしゅと噴出する真っ赤な鮮血。
その血飛沫をその身で受けながらもゴブリンの手から剣を奪い取ると、そいつの横を姿勢を低くしながら走り抜けて来ていたゴブリンを斬り捨てる。
次に折れた剣を胸に受けたまま直立して絶命しているゴブリンを、前蹴りで押し出すようにして吹き飛ばす。そうして肉の障害物として後続のゴブリンに衝突させる。そして体勢が崩れている隙に近づき一閃。
そこで一匹に接近を許してしまう。しかしその横から斬りかかってきていた新手の手首を切り落とすと、そいつの首根っこを掴み入り口から湧き出てきていたゴブリンども目掛けてそいつを投げ飛ばす。
そいつをモロに受けとめた奴らは折り重なる形で足が止まる。そこへ間合いを詰めていた私は、投げ捨てた奴と重なっているゴブリン二体を纏めて剣で串刺し。
そこで剣にガタを感じたため、重なっていた奴からさらに剣を奪い取ると、足止めを食らっている三番目四番目のゴブリンも各々串刺しにした。
とまた新手が、入り口から雪崩れ込んでくる。
そこで思ってしまう。
精霊をポコポコ具現化出来るレベルで精霊魔法を行使するあいつならば、こんな風にチマチマ敵を倒すなんてせずに、建物ごと一気に片をつけるんだろうなと。
あいつを間近で見てしまったから、精霊魔法を極め使いこなすあの少年を——いや、あいつは少年なんかじゃない。何かの記憶違いか?
兎に角あいつを見てしまったから、私は回復以外の魔法の興味が失せてしまった。
どう考えても、精霊魔法であいつを越えるイメージが湧かない。
ただ幸いにも、私には誰にも真似出来ない回復魔法があった。
そうだ、私は私にしか出来ない事を、戦い方をやれば良いのだ!
どんなに力を持っていたとしても、最後まで立っていた者が勝者なのである!
それからどれくらいの時が流れたのだろうか?
私の身体は返り血を浴びすぎ、随分前から全身真っ赤に染まってしまっている。
また廊下には動くゴブリンは居らず、代わりに床を埋め尽くすようにして多くの奴らが横たわっている。
今回幸いな事にゴブリンから傷を負う事はなかったので、魔力は必要最低限しか使用していない。そのためまだまだ戦えない事はないが、全方位回復索敵版で確認をしてこのまま新手が来なければ、隠し通路を封鎖した上でリーヴェたちと合流を——
そこで入り口から、鼻をクンカクンカ鳴らせながら醜い顔をのっそり覗かせる者が現れた。
こいつは……大柄なゴブリンなのか?
そう、そいつの顔は他のゴブリンと大差ないのだが、なんと身長が私よりもあった。他のゴブリンと比較すると大きすぎる身体。しかも筋骨隆々な身体に、その手には大きな棍棒まで。
ゴブリンと言うよりオーガである。
そいつは私をジッと睨んでいたかと思っていたら、地面に伏す仲間であろうゴブリンどもを踏み締め蹴散らしながら猛然と私に向かって突撃してくる。
不可解な状況での未知なる敵。
無駄な魔力の消費は抑えたいが、背に腹は変えられない。念のため、第二段階で行くとするか。
「聖魔法防御」
◆ ◆ ◆
俺は、この世は力が全てだと考える。
力が無ければ強者に搾取され、逆に力さえあれば好き勝手生きていける。またこの世でいくら正義の心を持とうが、負けてしまえば悪となる。弱者がいくら正しい主張をしようが、強者が反対意見を言えば簡単に捻じ曲がってしまうのは、歴史が幾らでも証明している事実。弱者の意見はクソの役にもならない、ただ煩わしいだけ。
つまり力が全て。力なき者にある権限は、強者から与えられた仮初めの権利のみ。
だから俺は自分が正義であるために、刃向かう者を殺す。弱者も殺す。仮に相手が強者であろうと、正義であるために寝首をかいて、倒して、そしてトドメを刺す。
人を殺して殺して、殺しまくる。
これらの行いは、全て正義だ。
——しかし暗いな。
これは発生させた、黒霧だけの所為ではないだろう。至る所で上がる悲鳴が、無残に散る命が、闇に埋没する村をさらに暗くしている気がする。
そして目の前の馬鹿が獲物の刀を振り回すたび、小鬼どもの頭が胴体からスパンスパンと離れていく。
「ヒャハハハァー」
声を上げる馬鹿の表情を見るからに悦に浸り殺戮を愉しんでやがるのだろうが、相手はたかがしれている小鬼ども。
雑魚を倒すなんて疲れるだけなのに、なにがそんなに楽しいのだろうか?
巷では何故か『狂った銀狼』とか呼ばれてやがるが、俺に言わせればただの駄犬だ。前々から字名持ちって事で気に食わなかったが——
今度隙を見せたら、即行縛り付けてネチネチと苦痛を与え続けてやろうと思う。
「グギャー、グギャー」
間近で上がる下等種族ならではの下卑た声。その耳障りな音にイラつきを覚え、黙らせるために腹へ蹴りを入れる。
しかし殆どの者が殺戮に興じてやがるので、作業が一向に進まない。
ふぅ、手にしている松明で任務である建物への火付けを行いながら、息抜きで捕まえているゴブリンを引き摺りながら指を一本一本折っていく。
あー、ほんと達成感がない。仮にも鬼と呼ばれる種族なんだよな?
もっと粘ってくれよな。
それから手首、肘、肩と破壊していき結局面倒臭くなったので、首を捻って終わりにした。
あぁ、俺が火属性の魔法を使えたならな。こんなしけた村なんかぶっ放してそれでお終いにしてやるんだが。
とそこで複数の小鬼から追いかけられている村人、同じような光景はこれで七度目なので呼び方は村人G、が目に入る。こんな状態になっても酒瓶を離さないとは、こいつは滑稽で笑えてきてしまう。しかし次の瞬間そこへ馬鹿が介入、全ての小鬼をバラバラに切り刻んでしまった。
と、おいおい!
馬鹿は村人を置いて他の小鬼を追いかけ始めたため、村人Gは一人取り残された感じになってしまっている。
はぁー面倒臭え。マジであの馬鹿は、今度拷問してやる!
しかしつくづく真面目な性格は損するぜ。
俺はこの場から逃げ出そうとしてた村人Gの元に降り立つと、両脚の腱を切り裂く。
そしてGがちょうど手にしていた酒瓶を奪うと、トポトポと起き上がれないそいつの身体中にぶっかけた。そして恐れおののくGに火を付けると、民家の一つに投げ込みその民家の外壁にも火を灯す。
最近油が高騰しているからな、こいつも燃料になれて本望だろう。しかし強風でも吹きゃもっと楽なんだけどな。
あぁーほんと魔法をぶっ放してみたい。
そこで天が俺に味方したか、一陣の強風が村を駆け巡った。
おぉー、燃えてる燃えてる。
燃え盛る炎が、まるでこの村にいるやつらの鮮血のように感じられて興奮してきてしまう。
さてと、ここらはもう良いよな?
そうして仄暗い村の中でまだ火の勢いが弱い方へ向かって歩いていると、ひとつの民家が目に入った。その民家は他と同じように絶賛火に包まれている最中なんだが、入り口付近に多くのゴブリンが死んでいるのが見える。
なんだ? あの馬鹿以外にも、ゴブリン相手に無双して喜んでいる馬鹿二号でもいるとでも言うのだろうか?
それともこの村に立ち寄っていた、冒険者の一団でもいたか?
メラメラと燃える民家を外から覗き込む。するとひときわ大柄なゴブリンのような顔のモンスターが、壁にもたれかかる形で絶命しているのも見えた。
あれって変異種だよな?
しかしどうやったらあんなガタイがいいモンスターを、あんな感じで破壊出来るんだ?
壁に背を預ける大柄なゴブリンは、右腕がバキバキに折られ左腕はねじ切られている。そして頭部に至っては、顎が欠損しているため舌がデロンと丸見えだ。
くはは——
これではまるで、大柄なゴブリンが化け物に襲われたみたいじゃねぇか?
誰だ? こんな事をやってのけたのは?
くははっ——
「ははひゃっ、どこだよ!? これやった奴はどこいっだぁ"——ぶふっ」
突然の後頭部の衝撃で吹いてしまう。
続いて振り向いたところで、顔面に鉄拳が突き刺さり吹き飛ばされる。そして殴られたところを抑えながら見上げると、面倒くさがり屋で超有名な部隊長が青筋立ててこちらを見下ろしていた。
その隣にはどっからどう見ても男にしか見えない丸坊主に剃り上げてるクリスが、いつものように部隊長にべったり引っ付いて立っていた。
「うるせえぞ、おい! なにトチ狂ってんだ!? 」
「すっ、すみません」
「まぁいい。向こうで村の避難場所を見つけたらしいんだが、そこで複数変異種が生まれ落ちているらしい。俺らもそいつらを狩るから、お前も来い」
「はい! 」
部隊長たちが村の東へ歩みを始める中、後ろ髪を引かれる想いで多くのゴブリンたちが死んでいる民家に視線を送り続けていると——
俺の脳天にクッソ重いゲンコツが振り落とされた。
だから剣聖のように剣の耐久性まで考慮して、延々と剣を振り続けるなんて芸当は出来るはずもない。
しかし剣が折れたくらいでいちいちショックを受けていては、命がいくつあっても足りはしない。だから切り替えなければ、と言う意志が働き一気に冷静さを取り戻す。と同時に、待っていると言ったら本当にいつまでも待っていそうなリーヴェの姿を思い浮かび苦笑してしまう。
リーヴェ、あのような言葉が考えなしにポンポンと出てくるのだから、大したものだ。
……否が応でも戻らなければと、勇気づけられる!
ゴブリンどもは狭い廊下を縦列に並ぶようにして、何匹もこちらへ向け迫って来ている。
焦るな!
私の剣は折られてしまったが、剣なら眼前にもう一本あるではないか!
私から剣を弾かれ硬直してしまっている、無防備姿のゴブリンの手に!
思ったがすぐに、手が動いていた。私はまだ手にしていた折れた山賊の剣を、ゴブリンの心臓に向け伸ばし、突き立てる! 突き立った剣を汚しながら、ぶしゅぶしゅと噴出する真っ赤な鮮血。
その血飛沫をその身で受けながらもゴブリンの手から剣を奪い取ると、そいつの横を姿勢を低くしながら走り抜けて来ていたゴブリンを斬り捨てる。
次に折れた剣を胸に受けたまま直立して絶命しているゴブリンを、前蹴りで押し出すようにして吹き飛ばす。そうして肉の障害物として後続のゴブリンに衝突させる。そして体勢が崩れている隙に近づき一閃。
そこで一匹に接近を許してしまう。しかしその横から斬りかかってきていた新手の手首を切り落とすと、そいつの首根っこを掴み入り口から湧き出てきていたゴブリンども目掛けてそいつを投げ飛ばす。
そいつをモロに受けとめた奴らは折り重なる形で足が止まる。そこへ間合いを詰めていた私は、投げ捨てた奴と重なっているゴブリン二体を纏めて剣で串刺し。
そこで剣にガタを感じたため、重なっていた奴からさらに剣を奪い取ると、足止めを食らっている三番目四番目のゴブリンも各々串刺しにした。
とまた新手が、入り口から雪崩れ込んでくる。
そこで思ってしまう。
精霊をポコポコ具現化出来るレベルで精霊魔法を行使するあいつならば、こんな風にチマチマ敵を倒すなんてせずに、建物ごと一気に片をつけるんだろうなと。
あいつを間近で見てしまったから、精霊魔法を極め使いこなすあの少年を——いや、あいつは少年なんかじゃない。何かの記憶違いか?
兎に角あいつを見てしまったから、私は回復以外の魔法の興味が失せてしまった。
どう考えても、精霊魔法であいつを越えるイメージが湧かない。
ただ幸いにも、私には誰にも真似出来ない回復魔法があった。
そうだ、私は私にしか出来ない事を、戦い方をやれば良いのだ!
どんなに力を持っていたとしても、最後まで立っていた者が勝者なのである!
それからどれくらいの時が流れたのだろうか?
私の身体は返り血を浴びすぎ、随分前から全身真っ赤に染まってしまっている。
また廊下には動くゴブリンは居らず、代わりに床を埋め尽くすようにして多くの奴らが横たわっている。
今回幸いな事にゴブリンから傷を負う事はなかったので、魔力は必要最低限しか使用していない。そのためまだまだ戦えない事はないが、全方位回復索敵版で確認をしてこのまま新手が来なければ、隠し通路を封鎖した上でリーヴェたちと合流を——
そこで入り口から、鼻をクンカクンカ鳴らせながら醜い顔をのっそり覗かせる者が現れた。
こいつは……大柄なゴブリンなのか?
そう、そいつの顔は他のゴブリンと大差ないのだが、なんと身長が私よりもあった。他のゴブリンと比較すると大きすぎる身体。しかも筋骨隆々な身体に、その手には大きな棍棒まで。
ゴブリンと言うよりオーガである。
そいつは私をジッと睨んでいたかと思っていたら、地面に伏す仲間であろうゴブリンどもを踏み締め蹴散らしながら猛然と私に向かって突撃してくる。
不可解な状況での未知なる敵。
無駄な魔力の消費は抑えたいが、背に腹は変えられない。念のため、第二段階で行くとするか。
「聖魔法防御」
◆ ◆ ◆
俺は、この世は力が全てだと考える。
力が無ければ強者に搾取され、逆に力さえあれば好き勝手生きていける。またこの世でいくら正義の心を持とうが、負けてしまえば悪となる。弱者がいくら正しい主張をしようが、強者が反対意見を言えば簡単に捻じ曲がってしまうのは、歴史が幾らでも証明している事実。弱者の意見はクソの役にもならない、ただ煩わしいだけ。
つまり力が全て。力なき者にある権限は、強者から与えられた仮初めの権利のみ。
だから俺は自分が正義であるために、刃向かう者を殺す。弱者も殺す。仮に相手が強者であろうと、正義であるために寝首をかいて、倒して、そしてトドメを刺す。
人を殺して殺して、殺しまくる。
これらの行いは、全て正義だ。
——しかし暗いな。
これは発生させた、黒霧だけの所為ではないだろう。至る所で上がる悲鳴が、無残に散る命が、闇に埋没する村をさらに暗くしている気がする。
そして目の前の馬鹿が獲物の刀を振り回すたび、小鬼どもの頭が胴体からスパンスパンと離れていく。
「ヒャハハハァー」
声を上げる馬鹿の表情を見るからに悦に浸り殺戮を愉しんでやがるのだろうが、相手はたかがしれている小鬼ども。
雑魚を倒すなんて疲れるだけなのに、なにがそんなに楽しいのだろうか?
巷では何故か『狂った銀狼』とか呼ばれてやがるが、俺に言わせればただの駄犬だ。前々から字名持ちって事で気に食わなかったが——
今度隙を見せたら、即行縛り付けてネチネチと苦痛を与え続けてやろうと思う。
「グギャー、グギャー」
間近で上がる下等種族ならではの下卑た声。その耳障りな音にイラつきを覚え、黙らせるために腹へ蹴りを入れる。
しかし殆どの者が殺戮に興じてやがるので、作業が一向に進まない。
ふぅ、手にしている松明で任務である建物への火付けを行いながら、息抜きで捕まえているゴブリンを引き摺りながら指を一本一本折っていく。
あー、ほんと達成感がない。仮にも鬼と呼ばれる種族なんだよな?
もっと粘ってくれよな。
それから手首、肘、肩と破壊していき結局面倒臭くなったので、首を捻って終わりにした。
あぁ、俺が火属性の魔法を使えたならな。こんなしけた村なんかぶっ放してそれでお終いにしてやるんだが。
とそこで複数の小鬼から追いかけられている村人、同じような光景はこれで七度目なので呼び方は村人G、が目に入る。こんな状態になっても酒瓶を離さないとは、こいつは滑稽で笑えてきてしまう。しかし次の瞬間そこへ馬鹿が介入、全ての小鬼をバラバラに切り刻んでしまった。
と、おいおい!
馬鹿は村人を置いて他の小鬼を追いかけ始めたため、村人Gは一人取り残された感じになってしまっている。
はぁー面倒臭え。マジであの馬鹿は、今度拷問してやる!
しかしつくづく真面目な性格は損するぜ。
俺はこの場から逃げ出そうとしてた村人Gの元に降り立つと、両脚の腱を切り裂く。
そしてGがちょうど手にしていた酒瓶を奪うと、トポトポと起き上がれないそいつの身体中にぶっかけた。そして恐れおののくGに火を付けると、民家の一つに投げ込みその民家の外壁にも火を灯す。
最近油が高騰しているからな、こいつも燃料になれて本望だろう。しかし強風でも吹きゃもっと楽なんだけどな。
あぁーほんと魔法をぶっ放してみたい。
そこで天が俺に味方したか、一陣の強風が村を駆け巡った。
おぉー、燃えてる燃えてる。
燃え盛る炎が、まるでこの村にいるやつらの鮮血のように感じられて興奮してきてしまう。
さてと、ここらはもう良いよな?
そうして仄暗い村の中でまだ火の勢いが弱い方へ向かって歩いていると、ひとつの民家が目に入った。その民家は他と同じように絶賛火に包まれている最中なんだが、入り口付近に多くのゴブリンが死んでいるのが見える。
なんだ? あの馬鹿以外にも、ゴブリン相手に無双して喜んでいる馬鹿二号でもいるとでも言うのだろうか?
それともこの村に立ち寄っていた、冒険者の一団でもいたか?
メラメラと燃える民家を外から覗き込む。するとひときわ大柄なゴブリンのような顔のモンスターが、壁にもたれかかる形で絶命しているのも見えた。
あれって変異種だよな?
しかしどうやったらあんなガタイがいいモンスターを、あんな感じで破壊出来るんだ?
壁に背を預ける大柄なゴブリンは、右腕がバキバキに折られ左腕はねじ切られている。そして頭部に至っては、顎が欠損しているため舌がデロンと丸見えだ。
くはは——
これではまるで、大柄なゴブリンが化け物に襲われたみたいじゃねぇか?
誰だ? こんな事をやってのけたのは?
くははっ——
「ははひゃっ、どこだよ!? これやった奴はどこいっだぁ"——ぶふっ」
突然の後頭部の衝撃で吹いてしまう。
続いて振り向いたところで、顔面に鉄拳が突き刺さり吹き飛ばされる。そして殴られたところを抑えながら見上げると、面倒くさがり屋で超有名な部隊長が青筋立ててこちらを見下ろしていた。
その隣にはどっからどう見ても男にしか見えない丸坊主に剃り上げてるクリスが、いつものように部隊長にべったり引っ付いて立っていた。
「うるせえぞ、おい! なにトチ狂ってんだ!? 」
「すっ、すみません」
「まぁいい。向こうで村の避難場所を見つけたらしいんだが、そこで複数変異種が生まれ落ちているらしい。俺らもそいつらを狩るから、お前も来い」
「はい! 」
部隊長たちが村の東へ歩みを始める中、後ろ髪を引かれる想いで多くのゴブリンたちが死んでいる民家に視線を送り続けていると——
俺の脳天にクッソ重いゲンコツが振り落とされた。
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