長いタイトルの悪役令嬢転生モノに転生した悪役令嬢である私のクドい話。

砂山一座

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 小説版のサファイアが前世どんな人物だったのかは作中では語られていない。
 原作のゲームファンとの兼ね合いがあって、明確に描かれることはなかったのだろうとファンの間では推測されていた。

 読者の想像の余地を残しておくのも大事よね。 

 クロームの話もしましょうか。
 クロームの妹ルチルは幼いころから大病を患っている。
 妹の為にクロームはそれまでも色々と手を尽くして治療法を探してきた。
 幼いころから医学を志し、それ以上の知識が必要だと、多くの蔵書のある王立の学園に入ったのだって妹の為だった。
 国に貢献することを望まれ、華々しい未来が約束されながらも、クロームの中にあるのは妹への願いばかりだった。
 この辺りが健気と称される由縁かしら。

 ゲームのクロームはガーネットの手先としてヒロインのサファイアを害しようとする。
 ガーネットに与したのは、公爵家の持つ研究機関が薬の開発をしているからだった。
 結局ガーネットの妨害に合い、薬は間に合わず、妹が亡くなって自暴自棄になっているクロームをサファイアが救うというシナリオだ。
 乙女ゲームにしては重い内容よね。

 一方、前世の記憶によるものか、小説のサファイアはクロームを手に入れたがっている。
 前世の記憶により、サファイアはルチルを治せる薬を提供できるかもしれないとクロームにもちかける。
 まあ、それはサファイアがついた短絡的な嘘なのだけれど。
 サファイアはサファイアで、不思議な力があると評判が立っていたから、クロームには完全に薬の真偽をはかる術がなかったのかもしれない。
 クロームにとって薬が本物だろうが偽物だろうが、容体が悪くなる妹を前にして選択肢はどんどん狭くなり、ついにはその薬欲しさに、サファイアに愛と忠誠を誓うの。
 サファイアは自分の虜となった(ように見える)クロームに無理難題を突き付けていく。
 
 なんだか、可哀そうよね。
 ゲームではガーネットに妹の命を奪われ、小説ではサファイアに自らの命を奪われる不幸なクロームはファンの熱心な同情を集めた。
 製作者に不憫に萌える方がいたのかもね。

 滑稽なことに、サファイアは無邪気にクロームの愛を信じている。
 餌をちらつかせてクロームをあんな使い方しているのに、よ!
 少し状況が変われば、刺されて殺されるのはきっとサファイアのほうよね。

 サファイアはうちの研究機関で出来上がる薬を利用しようとして、そんな悠長なことをしていたのだけど、この私がそうやすやすと薬を渡すと思う?
 小説だとクロームを失って悲嘆にくれるサファイアに同情したガーネットが出来たばかりの薬を渡して、ルチルは救われるのだけれどね。

 私は絶対に嫌よ。

 こんなことまでされているのに、小説のガーネットはサファイアを許し、最終的にはお友達になろうとする。
 この私は、さすがにこのサファイアとお友達になれる気がしないわ。
 
 不愉快なので、私はこのお話を壊そうと思っているの。
 まずはクロームをサファイアから取り上げた。
 これでおままごとみたいなエンディングも破棄よ。
 ガーネットに絆されて、害せなかった事でサファイアにクロームが疑いの目を向けられるのならば、ここは強姦を遂行してサファイアを油断させるべきよね。

 さぁ、サファイア、どうする?
 クロームは自分の結末を知ったのよ。
 ゲームと物語に保証された予定調和はもう無い。
 これからは不確定な事ばかりが起こるはず。

 私は、この体で生まれて初めて、話の流れとは違う行動をとった。
 クロームには、破瓜の血が混じった恥ずかしい液体を拭き取ったハンカチを持たせましょう。
 丁寧に私の名前が刺繍してあるものだから、きっとサファイアも気に入ってくれるはずね。


 **********


『ええ?! 泣いているガーネットを置き去りにしたの?
 クローム、貴方なんてひどい事をするの?
 私、そんなことをして欲しいなんて一言も頼んだ覚えがないわ!』

 綺麗な高い声が聞こえる。
 私は、私を探しにきた騎士と兵士に細々と指示を下し、男爵令嬢宅へ向かった。
 偶然兵士たちが来るなんて、なんだか段取りがいいわね。
 どうやらガーネットがあらかじめ手配していたようだ。
 私が必要とするものを公爵家のメイドに持たせたのも周到だわ。
 まぁ、私の体に刻まれた酷い愛され方はメイドにばれてしまったけれど、後はお金で解決するつもりだし、良しとしましょう。
 やはりガーネットは「私」が目覚めるのを知っていたようね。
 こうなることがわかっていて体を差し出したのなら、少し気の毒ね。
 私の預かり知らぬ展開だけれど、それはそれ。乗っかって暴れればいいということよね。


『そうだ、サファイアは悪くない。全て俺が君のためにやったことだ』
 壁の向こうで、クロームが私の教えた通りにサファイアに告げるのを聞く。
『私そんな大それたことをしてだなんて一言も言ってないわ。ガーネット様が少し困ればいいなと思っただけで……。
 困った人ね、私の為にそんなことまでしてしまうなんて……』

 私たちは、クロームの入っていった部屋の隣で、音を拾う機械を使って中の様子を探っている。
 機械を通して二人のやり取りがよく聞こえる。
 録音もできるのですってよ。
 都合の良い文化の発達具合で、たいへん結構。

 私は公爵令嬢ではあるが、朱音がベースとなったガーネットは、人の上に立って命令を下すようなことは苦手としてた。
 私は違う。
 息をするように、人を顎で使うのを日常にしていた私は、次々と兵に指示を出す。
 公爵令嬢という身分はこの国ではなかなか使い勝手が良い。
 
 まずは、サファイアの隣人宅に危険な賊が潜んでいると説き伏せて、避難と捕獲戦略として家人に家を明け渡すように命じた。必要なものを兵に取りに行かせて、騎士リチアとサファイア宅に向かう。
 サファイアとクローム、それと怪しまれないようにサファイア付きのメイドだけは残してある。
 サファイアに作戦に協力してもらうからと出まかせをいって、家人は全て追い出したから、私たちはやりたい放題というわけ。

『クロームが私に誠意を見せてくれたから、妹さんは必ず助かるわ。
 でも、そうね、私……ガーネットの代わりに王子の妃にならなければならないのよ。
 王妃にはなるけれど、クロームは私の愛しい人として近くにいてね』

 「いやだ、あの子、おかしな事を言っているわね」
 傍に控えている騎士のリチアに耳打ちすると、かすかにうなずく。
 リチアは緑から桃色にグラデーションのかかった髪を束ねた小柄な男だ。
 騎士の家に生まれて、強すぎる力故に危険視されてきた。
 ゲームではサファイアによってリチアの強すぎる力の元である呪いを跳ね返し普通の騎士に戻る。
 小説ではガーネットと共に呪いを飼い慣らしさらに強い騎士となる。
 サファイアとは愛を育むが、ガーネットとは共闘すると言う点で差別化を図っているようだ。
「ガーネット、あんたなんかおかしくないか?」
 そうね、あなたのガーネットはもっと気さくで学生らしく話すわよね。
 リチアは私の様子が今までと違うのに気がついたのか、警戒しているようだ。
 一瞬、もとのガーネットの振りをしてやろうかとも思ったけれど、今更無意味なので止めたわ。
「いいえ、なにも。さっきまで危険な目にあわされていたのよ、腹をたてているだけよ」
 リチアには私が昨日までのガーネットではないことは告げていない。
 どの程度の危険な目にあったのかもね!
 今も少々痛むけど、身支度を整える用意があってよかったわ。
 サファイアに操られていたクロームを助け出したことと、クロームに協力を仰いでサファイアの恐ろしいたくらみを暴くとだけ伝えてある。

『君は何を望むんだい? ガーネットの命かい?』

 クロームの芝居がかった声が聞こえる。
 ずるいわ、サファイアにはいつもあんな甘い声で話しかけていたのね。
 私に話しかける時と真逆じゃない?!
 ツンのキャラクターが崩壊してしまうわよ?

『ガーネットは間違いなく婚約者候補では選外になるからもういいの』

 サファイアが私の純潔をを狙ったのは、私が王子の婚約者として名が挙がっていたからだった。
 小説の結末ではガーネットが誰と結ばれるのか明らかにされていなかったが、王に命じられれば回避するのは難しかっただろう。
 処女ではなくなった私は、サファイアが言うように婚約者候補からは外れるだろう。
 その点は、面倒なことに巻き込まれることがなくなってほっとしているの。
 権力や政治の駒として生活するのはうんざりしている。
 これからのガーネットには自由が欲しい。


『でも、もう一人必要ない人間がいるのよね……』
 
 あらあら、不穏なことを言い始めたわね。
リチアがピクリと反応してこちらに目配せをする。
 録音に失敗しないように機械の収音部分を慎重に壁に寄せた。

『誰の事なんだ?』
『ふふふ、私、王妃になるの。
 それなのに王子はどうして二人いるのかしら。
 王になれるのは一人なのに』
 
 話がどんどん不穏な方に向かっていくのを、私はわくわくと待ち構えている。
 リチアはあまりの内容に、口を押えて顔を青くしている。
 さぁ、サファイア、もう一声鳴いてごらんなさい。

『つまり?』

 クロームは結論を引き出そうとするが、サファイアはぬるぬると決定的な言葉を口にしない。

『ねえ、クローム、近々、王子のどちらかと馬術の鍛錬で組むのでしょう?
 ええ、組めるはずだわ。
 クロームは頭がいいもの、その方法がきっと見つかるわ。
 ここに、たまたま馬が興奮して、いうことを聞かなくなる薬があるの。
 これで王子のどちらかが、王になれないほどの怪我をするような事ってあるかしら?
 結婚も無理よね、そんな大怪我になったら……』

 ああ、愚かなサファイア。
 そんなことまで全部クロームに丸投げするつもりだったのね。

『私はあなたほどではないけれど、成績も優秀だし、邪魔なガーネットも消えたわ。
 きっと王子の婚約者に選ばれる。
 でも、どちらが王太子になるかわからないなんて、不確実なのは嫌なの。
 わかるかしら?』
 
 わからないでもないわね。
 方法は乱暴だけど、うまく行ったら望みが叶うのではなくって?

 王妃にそれほどの魅力があるのなら、の話よ。
 この国の王妃に、他人を殺すリスクを冒してまで手に入れる魅力はない。
 そんなに使える権力があるわけでもないし。
 学ぶことも多く、社交に取られる時間も多い。
 自由時間も少ないのでは、やれやれだわ。
 そんなに王妃になりたいなんて、まるで誰かさんみたい。

『私は、単なる王子の妃になりたいのはなくて、王太子の妃になりたいのよ。
 お願いを聞いてくれたら、私、一生貴方だけを愛するわ』

 随分でたらめな事をいっているようだが、サファイアはいたって真面目に言っている。
 いずれクロームは高名な貴族の家に養子に入るか、婿入りかするだろう。
 それで、どうやって子飼いにするつもりなのかしら。

『それは、恐れ多い事です。
 どのような者にも許される事ではありません』
 
 いいわねぇ、敬語のクローム。
 わたし、十対一の割合でいいから、ツンツンではなくてツンデレのクロームに出会いたかったわ。

『そんなこと言うの? たった一人の大事な妹と、スペアのいる兄弟の片割れ、どちらが大切なのかしら』

 ついに妹が取引の材料として話題に上がる。
 クロームは、こうやって何度も妹の命を天秤にのせられてきたのね。

『しかし、それはもう、大逆罪にあたる』
『この国を救う為よ』

 うそおっしゃい。

『俺にどうしろと?』

 そこで少し長い沈黙が続く。
 私にはわかるわ、あの子のやりそうなことよ。
 愛らしい体ですり寄って、耳に息でも吹きかけていることでしょう。
 おあいにく様!
 クロームはそんな事より、もっと大人の悪い遊びを覚えたのよ!

『あのね、クローム、私の為に王子を一人、殺めて欲しいの。
 そうしたら、私の体を自由にしてもいいわ。
 きっとガーネットより楽しめるはずよ』

 その言葉を待っていたのよ!

『ガーネット、芝居は終わりだ。
 言質がとれた』

 ドンという音がする。

 あら、あの子、クロームに突き飛ばされたかしら?
 クロームの言葉は壁の方に向かって忌々しく吐き捨てられたのだろう、機械を通して冷たく冷たく響いた。
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