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23話 五十路、褒める。
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朝日お嬢様をお見送りした後、店内に入り、各テーブルを回り終えると、千金楽さん達が戻ってらっしゃいました。
「すみません、遅くなりました。詳細は後で話しますが、今日ここからは蒼樹抜きです」
「かしこまりました」
「あとのテーブルは任せて、白銀は四人組のお嬢様のところへ」
「はい」
千金楽さんと緑川さんが各テーブルにお詫びの品を持って行きながらお見送りを始めてらっしゃいます。
「さて、私も皆さんのところに……オーナー?」
気付けば、南さんが私の袖をちょこんと摘まんでいました。
「どうされました?」
私が尋ねると南さんはハッと袖を離し、目を上下させています。
「あー、うー……あの、今日みんな綺麗ですよね」
南さんの言うみんなはあの方たちでしょう。
「ええ、皆さん、今日は此処に来られるということでおめかしされてきたのですね。お美しいです」
「ですよね……」
「ん?」
「いや、あの、あんまり今日の私は見ないでください」
「あ、すみません。『せくはら』ですね……」
「あ、いや、違うんです。そうじゃなくて、見て欲しいんですけど、今日はちょっと見てもアレかなーと思っちゃったりして……」
「アレ?」
「……」
「南さん?」
「だって、だってえ、今日みんな凄いんですよ。プロの衣装メイクさんでバシッと決めてるんです……! 私なんか……私なんか……!」
「そうですか? 今日の南さんもお美しいですよ」
そう告げると、南さんが消えました。
光の速さで。
機敏ですねえ。ジジイには真似できそうにもありません。
「えーと」
「構いません。放っておきなさい。拗ねて照れて忙しいだけです。全く何をしているのかと思ったら」
千金楽さんは緑川さんにお任せしたのか再び私の所に戻ってきていました。
「なるほど……?」
「それより、白銀。あちらのお嬢様達がお待ちかねなので、よろしくお願いしますね」
千金楽さんの視線の先には、こちらを盗み見る四人のお姿が。
「かしこまりました」
「いいですね、白銀がお嬢様に精いっぱい誠心誠意お仕えしたいという気持ちはもう十分に呆れるほど分かりましたので、くれぐれもくれぐれもやりすぎないようにお願いしますよ」
今日何度目でしょうか、千金楽さんの圧ある微笑み。
不出来な弟子で申し訳ないです。
「はい、精いっぱい頑張ります」
「……分かりました。私はフォローの準備だけしておきます」
「? はい、かしこまりました」
千金楽さんが小さく肩を落としています。
黒鶴さんがぽんと肩を叩いて笑っていました。はて?
しかし、申し訳ありませんが、千金楽さんの件はあとでお伺いしましょう。
私はお嬢様達のテーブルへと向かいます。
南さんは最終試験といっていたので、今日は基本的に一組ずつのお相手なんでしょうか。
「お待たせしました、お嬢様方」
息を吞む音が聞こえます。
やはりこういう空間のせいか、皆さんでも緊張されるのですね。
それが分かり、私もほっとしてしまいました。
「ロロロロッロマグレさん、本日はお日柄もよく……!」
「結ちゃん、ここでは白銀さんよ」
はて? ロマグレさんとは?
葛西さんおのフォローから察するに、私の知らない間にそう呼ばれていたのでしょうか。
「は! そ、そうでした! 白銀様、素敵ですね」
「ありがとうございます、結お嬢様。結お嬢様、私の事は白銀で結構ですよ」
「呼び捨て!? い、いや、それはハードルが高いというかなんというか……照れるというか、え!? ていうか、結って呼ばれました? 今、ワタシ!」
ポニーテールを振り乱しながら、結さんが右に左に忙しく周囲を見ていらっしゃいます。
「お、落ち着きなさい。こんなところで騒がしくしないでよ」
「明美お嬢様、お気遣いありがとうございます」
「ぁぅ……ぁの、はぃ……」
カルムでも穏やかな表情が印象的だったあけみさんですが、今日はお淑やかで非常にかわいらしいです。
「明美ちゃん、今日かわいいでしょう?」
「ええ、とても。でも、寛子お嬢様もとってもかわいいですよ」
「かわっ……! あ、ぁりがとう、ございますぅ……」
いつも大人で周りを気遣っている葛西さんですが、私から見れば、頑張り屋さんの妹という印象です。年も近いせいかついつい揶揄ってしまいますね。勿論、かわいいのは本心ですが。
そして、横を見ればじーっとりんさんがこちらを見つめてらっしゃいます。
私がそちらを向くと、顔を真っ赤にして、また小さくなってしまいました。
「りんお嬢様、それとも、りんねお嬢様とお呼びしましょうか?」
「つま……間違えました。じゃあ、あの、りんかで」
「りんか?」
「あの、凛音が芸名で、凛花が本名なんです」
成程、小山内凛音は芸名でしたか。流石芸能人でいらっしゃいますね。
「かしこまりました。りんかお嬢様」
「…………!」
そう呼ぶとりんかお嬢様はさらに小さくなってしまいました。
ですが、口元は笑っていらっしゃったので、照れていらっしゃるだけなのでしょう。
「白銀」
後ろにいた千金楽さんが、私に声を掛けます。そして、自分の服を指でとんと叩きます。
なるほど、服を褒めろということですね。
いけませんね、先ほど南さんもプロの衣装メイクさんを雇ってまでおめかししてこられたと仰っていたのに。ですが、私もまだ女性の服装は勉強中の身。
印象でしかお伝え出来ないのが心苦しいですが、
「結お嬢様の今日の装いは夏らしく素敵ですね。短めの白のパンツ、ですかね。非常に活発な結お嬢様にお似合いかと。上に羽織られた花柄とベージュの合わせも爽やかさと上品さを兼ね備えていて、利休の一輪の朝顔を思わせるような美しさです」
ジジイがいっぱい喋りましたが合っているのでしょうか、こういったことを言うのは初めてなので、焦りが出てきてしまいます。
「寛子お嬢様は、確か、ジレというものですね。淡い緑のジレと人魚を思わせるスカートが可愛らしく美しく、ペパーミントくらい目が覚めるような美女をより輝かせていて素晴らしいです。エメラルドグリーンの海とそこに佇む美しい人魚姫を思わせますね」
ジジイがいっぱい喋っているせいでしょうか、酸素が足りない気がしてきました。
合ってますかね、千金楽さん。慣れないことはやはり難しいですね。
「りんかお嬢様は、白のふわりとしたワンピースと差し色の淡いピンクがよくお似合いです。少し薄手ですが、爽やかでりんかお嬢様の美しい黒髪と相まって涼しげで心安らぎます。夏に桜とは贅沢の極み。ずっと見ていたいくらいです」
千金楽さん、フォロー入れてくださいよ。ねえ、千金楽さん。
「あけみお嬢様は、いつもと違った装いですね。いつもの自然な雰囲気のあけみお嬢様も素敵ですが、今日の優しい黄色のふわりとした広がりあるドレスのようなワンピースも月の国のお姫様のようで可愛らしいですね。思わず笑みが零れてしまいます」
私は、何とか笑顔を向け、大きく息を吸うと、肩にぽんと手が。
千金楽さんです。
「あ、あの……」
「白銀……自覚はありますか、ないでしょう」
千金楽さんが手で向こうを指しています。
そこには無言で固まる四人の姿が。皆さん、真っ赤です。
「……貴方はもう、なんなんですか? あと、照れとかないんですか?」
ジジイですので。ジジイが照れても気持ち悪いでしょ。
いや、照れるときはありますけれど。
「はあ……皆さま、ご満足されているようなのでもう何も言いません。白銀らしい褒め方でした。よく頑張ったと思います。……貴方も照れてどうするんですか」
いや、照れますよ。褒められてしまいました。
ジジイでも褒められたらうれしいんですよ。ほんと。
「すみません、遅くなりました。詳細は後で話しますが、今日ここからは蒼樹抜きです」
「かしこまりました」
「あとのテーブルは任せて、白銀は四人組のお嬢様のところへ」
「はい」
千金楽さんと緑川さんが各テーブルにお詫びの品を持って行きながらお見送りを始めてらっしゃいます。
「さて、私も皆さんのところに……オーナー?」
気付けば、南さんが私の袖をちょこんと摘まんでいました。
「どうされました?」
私が尋ねると南さんはハッと袖を離し、目を上下させています。
「あー、うー……あの、今日みんな綺麗ですよね」
南さんの言うみんなはあの方たちでしょう。
「ええ、皆さん、今日は此処に来られるということでおめかしされてきたのですね。お美しいです」
「ですよね……」
「ん?」
「いや、あの、あんまり今日の私は見ないでください」
「あ、すみません。『せくはら』ですね……」
「あ、いや、違うんです。そうじゃなくて、見て欲しいんですけど、今日はちょっと見てもアレかなーと思っちゃったりして……」
「アレ?」
「……」
「南さん?」
「だって、だってえ、今日みんな凄いんですよ。プロの衣装メイクさんでバシッと決めてるんです……! 私なんか……私なんか……!」
「そうですか? 今日の南さんもお美しいですよ」
そう告げると、南さんが消えました。
光の速さで。
機敏ですねえ。ジジイには真似できそうにもありません。
「えーと」
「構いません。放っておきなさい。拗ねて照れて忙しいだけです。全く何をしているのかと思ったら」
千金楽さんは緑川さんにお任せしたのか再び私の所に戻ってきていました。
「なるほど……?」
「それより、白銀。あちらのお嬢様達がお待ちかねなので、よろしくお願いしますね」
千金楽さんの視線の先には、こちらを盗み見る四人のお姿が。
「かしこまりました」
「いいですね、白銀がお嬢様に精いっぱい誠心誠意お仕えしたいという気持ちはもう十分に呆れるほど分かりましたので、くれぐれもくれぐれもやりすぎないようにお願いしますよ」
今日何度目でしょうか、千金楽さんの圧ある微笑み。
不出来な弟子で申し訳ないです。
「はい、精いっぱい頑張ります」
「……分かりました。私はフォローの準備だけしておきます」
「? はい、かしこまりました」
千金楽さんが小さく肩を落としています。
黒鶴さんがぽんと肩を叩いて笑っていました。はて?
しかし、申し訳ありませんが、千金楽さんの件はあとでお伺いしましょう。
私はお嬢様達のテーブルへと向かいます。
南さんは最終試験といっていたので、今日は基本的に一組ずつのお相手なんでしょうか。
「お待たせしました、お嬢様方」
息を吞む音が聞こえます。
やはりこういう空間のせいか、皆さんでも緊張されるのですね。
それが分かり、私もほっとしてしまいました。
「ロロロロッロマグレさん、本日はお日柄もよく……!」
「結ちゃん、ここでは白銀さんよ」
はて? ロマグレさんとは?
葛西さんおのフォローから察するに、私の知らない間にそう呼ばれていたのでしょうか。
「は! そ、そうでした! 白銀様、素敵ですね」
「ありがとうございます、結お嬢様。結お嬢様、私の事は白銀で結構ですよ」
「呼び捨て!? い、いや、それはハードルが高いというかなんというか……照れるというか、え!? ていうか、結って呼ばれました? 今、ワタシ!」
ポニーテールを振り乱しながら、結さんが右に左に忙しく周囲を見ていらっしゃいます。
「お、落ち着きなさい。こんなところで騒がしくしないでよ」
「明美お嬢様、お気遣いありがとうございます」
「ぁぅ……ぁの、はぃ……」
カルムでも穏やかな表情が印象的だったあけみさんですが、今日はお淑やかで非常にかわいらしいです。
「明美ちゃん、今日かわいいでしょう?」
「ええ、とても。でも、寛子お嬢様もとってもかわいいですよ」
「かわっ……! あ、ぁりがとう、ございますぅ……」
いつも大人で周りを気遣っている葛西さんですが、私から見れば、頑張り屋さんの妹という印象です。年も近いせいかついつい揶揄ってしまいますね。勿論、かわいいのは本心ですが。
そして、横を見ればじーっとりんさんがこちらを見つめてらっしゃいます。
私がそちらを向くと、顔を真っ赤にして、また小さくなってしまいました。
「りんお嬢様、それとも、りんねお嬢様とお呼びしましょうか?」
「つま……間違えました。じゃあ、あの、りんかで」
「りんか?」
「あの、凛音が芸名で、凛花が本名なんです」
成程、小山内凛音は芸名でしたか。流石芸能人でいらっしゃいますね。
「かしこまりました。りんかお嬢様」
「…………!」
そう呼ぶとりんかお嬢様はさらに小さくなってしまいました。
ですが、口元は笑っていらっしゃったので、照れていらっしゃるだけなのでしょう。
「白銀」
後ろにいた千金楽さんが、私に声を掛けます。そして、自分の服を指でとんと叩きます。
なるほど、服を褒めろということですね。
いけませんね、先ほど南さんもプロの衣装メイクさんを雇ってまでおめかししてこられたと仰っていたのに。ですが、私もまだ女性の服装は勉強中の身。
印象でしかお伝え出来ないのが心苦しいですが、
「結お嬢様の今日の装いは夏らしく素敵ですね。短めの白のパンツ、ですかね。非常に活発な結お嬢様にお似合いかと。上に羽織られた花柄とベージュの合わせも爽やかさと上品さを兼ね備えていて、利休の一輪の朝顔を思わせるような美しさです」
ジジイがいっぱい喋りましたが合っているのでしょうか、こういったことを言うのは初めてなので、焦りが出てきてしまいます。
「寛子お嬢様は、確か、ジレというものですね。淡い緑のジレと人魚を思わせるスカートが可愛らしく美しく、ペパーミントくらい目が覚めるような美女をより輝かせていて素晴らしいです。エメラルドグリーンの海とそこに佇む美しい人魚姫を思わせますね」
ジジイがいっぱい喋っているせいでしょうか、酸素が足りない気がしてきました。
合ってますかね、千金楽さん。慣れないことはやはり難しいですね。
「りんかお嬢様は、白のふわりとしたワンピースと差し色の淡いピンクがよくお似合いです。少し薄手ですが、爽やかでりんかお嬢様の美しい黒髪と相まって涼しげで心安らぎます。夏に桜とは贅沢の極み。ずっと見ていたいくらいです」
千金楽さん、フォロー入れてくださいよ。ねえ、千金楽さん。
「あけみお嬢様は、いつもと違った装いですね。いつもの自然な雰囲気のあけみお嬢様も素敵ですが、今日の優しい黄色のふわりとした広がりあるドレスのようなワンピースも月の国のお姫様のようで可愛らしいですね。思わず笑みが零れてしまいます」
私は、何とか笑顔を向け、大きく息を吸うと、肩にぽんと手が。
千金楽さんです。
「あ、あの……」
「白銀……自覚はありますか、ないでしょう」
千金楽さんが手で向こうを指しています。
そこには無言で固まる四人の姿が。皆さん、真っ赤です。
「……貴方はもう、なんなんですか? あと、照れとかないんですか?」
ジジイですので。ジジイが照れても気持ち悪いでしょ。
いや、照れるときはありますけれど。
「はあ……皆さま、ご満足されているようなのでもう何も言いません。白銀らしい褒め方でした。よく頑張ったと思います。……貴方も照れてどうするんですか」
いや、照れますよ。褒められてしまいました。
ジジイでも褒められたらうれしいんですよ。ほんと。
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