運命なんていらない

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22~蒼視点~

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小学校も中学校も、二人の関係は変わらなかった。

とても仲が良い幼馴染み。

もちろん、俺はとっくに自分自身がカナに対して恋愛感情を持っていると気づいていた。

今すぐ気持ちを言おうとは思っていなかったけど、誰かに隣を渡すつもりはなかった。

そんな、二人の関係に変化があったのは、バース性検査の結果が分かったあの時だ。

その日は朝からみんなソワソワしていた。
正直、何も思わない。
まぁ、たぶんαだろう。

だから?

αだからといって、特殊能力が備わる訳じゃない。
むしろ、Ωのフェロモンに誘発されるし、ラットはあるし、抑制剤を飲む毎日なだけ。

みんな、嬉しそうにαだろうな~羨ましい~というが、ただαなだけなヤツなんていくらでもいる。

もちろん、素材はいいんだろう。
勉強もスポーツも努力をせずに上手く出来る。
いわゆる、スタートダッシュが早い。
その辺は有利ではあるかもしれないが、そこまでだ。

その先は、αだろうがβだろうがΩだろうが同じ。

本人の適性と努力。

凡人αほど、つまらないものはない。

俺はもちろん、努力してきた。
でも、その隣でもっと努力している存在を知ってる。

カナはきっとβだろう。
だからαの俺より劣ってる?

そんな訳はない。

俺が一時間でできることを、カナは一日かかるかもしれない。
でも、そこから得ている物は、きっと俺より大きい。

いつも、当たり前のように努力をしている姿を見て、俺は幼かった自分の恋心を再燃させ続けている。

俺はカナがいい。
βのカナがいい。

でも、心の片隅で思ってしまう。

もし、Ωだったら……?

番に、できる。

αは何人でも番を作ることが出来るが、Ωは己の項を咬んだ、唯一人が番。

想像しただけで、ゾクゾクした。
自分に縛り付けることができる。

俺だけの奏。

……まぁ、βでも同じことだ。
誰にも触らせるつもりもない。


「奏」

「おー」

小学校高学年くらいからか、なぜかカナと呼ばれることを嫌がり出したので、奏と呼ぶようにしている。

どちらも好きだが、ついつい昔のクセでカナと呼んでしまう時があり、怒られる。

「検査結果、気にしてる?」

「別に。どーせ、βだろうし。お前もどーせαだろ?」

「たぶんね」

「どーせα」に苦笑しつつ、いつもと変わらない朝の登校。

一日の授業が終わり、最後のホームルームになる。
教室はざわついていた。
みんな、ドキドキしているのだろう。
今日一日その話題のみだった。

特に興味のない俺は、女子たちの絶対αだよーの声に適当に返事をしていた。

担任が教室に現れ、一人一人に用紙を渡す。

「個人情報だからなー!」

諸注意をし、ホームルーム後、担任が教室を出ていくとすぐ、大騒ぎになる。

「やっぱ、βかー!」
「βだったー」

そんな声が響く中、自分の用紙を見る。

『判定  :  α』

……。
特に何も感じない。
別にβであっても同じだろうが。

そんな俺の用紙を覗き込み、すげー!と大声を出す男子生徒。
やっぱりなー!と歓声があがる。

顔を赤らめながら、女子も男子も羨望の眼差しで見る。

俺は周囲の視線など気にせず、笑顔で奏の側まで来た。

「別にαだからって関係ないのにね。奏はどうだった?」

奏は何も言わない。

渡された紙を新しい鞄に突っ込みながら、曖昧に笑う。

そんな奏の態度を不信がった一人が声をあげる。

「まさか、Ωじゃねーの」

奏の顔がひきつっている。なんとか笑おうとしているが、笑えていない。

「……え?」

まさか、、、本当に?
真顔になる。

「カナ……Ω?」

思わず、聞いてしまった。
変な期待をさせないで。
違うって笑って言って欲しい。

奏が頷く。

えっ、奏がΩ!?

一気に空気が変わる。

隣の女子が憐憫を含んだ目で奏を見ている。

さっきまで、はしゃいでいた男子たちも聞いてはいけないことだったと気づき、重い空気が流れる。

そんな中、俺は一人高揚していた。

番になれる!
奏を番に!!

嬉しさのあまり、奏を抱き締める。

「カナがΩで嬉しい」

嬉しい気持ちが滲み出た声音だったと思う。

奏は震えていた。

どうしたんだろう?と思った瞬間、思いっきり突き飛ばされる。

俺は二、三歩よろけた。

奏は泣いていた。
あの日のような、キラキラした顔ではなく、まるで敵を見るような目で。
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