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待ってました!
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まだクリフトは俺にしがみついているが、とりあえず泣き止んでいるのでヨシとする。
なんだ、お金がなかった訳じゃなくて、夢に自信がなかっただけか。
そんなことで良かった……クリフトもそんなことで悩むなんて、まだまだ子供だなっ。
今晩は親元から初めて離れて、夜一人で寝られないんじゃないか?
一緒に寝てやった方がいいのか?
でも、狭いしなー。
テオに頼んだ方がいいかもしれない。
「クリフト、落ち着いたらこちらに座ったら?ルカもそのままだと何も出来ないし」
「すまない……」
クリフトはテオに促されて椅子に座った。
少し、メガネの奥の瞳が赤い。
クリフトは泣いた姿を見られて恥ずかしいのか、顔が赤い。
「とんだ醜態をさらしてしまいました。テオドール様、いえ、テオにもご迷惑をおかけしました」
「気にしないで。気持ちは分かるから」
二人が目を合わせ、見つめあっている。
仲良しだな!
「クリフトは国政コース希望か?」
「そうですね。剣術も少しは嗜んでいますが、学びたいのは国政です」
「そうかー。俺はまだはっきりしないからなー。とりあえず、少しの間は全員一緒だろ?明日から、楽しみだなっ」
三人で目を合わせ、笑い合う。
仲間っていいな!
きゅるきゅるるるっ
腹が鳴った。もう、半日以上何も食べてない。
「ルカ、食堂へ行きますか?夕食から準備されていると聞きましたから、もう食べられると思いますよ」
「やったー!」
これを待ってたんだよ!
肉とか出るのか?
楽しみすぎる!
「テオ、クリフト、行こう!飯!!」
あまりに俺が勢いよく誘ったもんだから、二人は呆れたように笑った。
三人で食堂へ向かう。
寄宿舎の一階にある食堂からは、すでに良い匂いがしていた。
ごきゅるるるるるっ
もう、腹がうるさい。
もう少し待ってくれ!
食堂は一度に30人ほどは座れそうなほど広かった。
長いテーブルがいくつかと、丸テーブルもあった。
入り口近くに、お盆や皿が置かれ、表示されているメニューの中から好きなものを厨房に注文する流れらしい。
ど、どうしよう。
迷うー!
テオは生野菜とスープのような物を注文している。
クリフトはパンに野菜が挟んでいるような軽食だ。
え、二人とも少食だな……無料なのに。
俺は悩んだ結果、肉の煮込み料理にした!
パンも頼んだ。
早々にお盆に出来立てが乗せられる。
こんな贅沢、生まれて初めてかもしれない!
食堂のおばちゃんに礼をいい、どこか席につこうと見渡すと、先に座っていたテオとクラフトが手招いてくれた。
二人が座っている隅の丸テーブルに向かおうとすると、その手前に座っていた男の足がスッと伸びる。
危うく、すんでで止まったが、足を引っ掛けそうだった。
「危ないぞ!」
大切な料理をこぼしてしまう所だったじゃないか!
チッと舌打ちが聞こえる。
「平民の分際でっ」
何か言葉を吐き捨てて、その男は去っていった。
何だったんだろう?
まぁ、いい。
とにかく、飯だ!
二人がいる丸テーブルに座ると、テオが心配そうに話しかけてきた。
「さっきは大丈夫だった?何かもめてたようだっけど、何か嫌なこと言われた?」
「いや、何を言っていたかよく分からん。それより、食べよう」
目の前には、ご馳走!
俺は命に手を合わせ、そっと感謝の祈りを捧げる。
まずは、肉を一口……フォークで刺すとほろっと肉が崩れる。
それを掬い、口に入れると……溶けるっ。
パンも手に持つと、焼きたてのホカホカで、半分に千切ると湯気が上がった。
回りは少し固く、中はモチモチしている。
それだけ食べても美味しいが、煮込み料理のソースを浸して食べると味が染み込み、絶品だった。
あぁ、なんて幸せなんだ……っ。
これが無料なんて……父さんにも食べさせてあげたい……。
父さん、今頃何を食べてるんだろう……一人で寂しくないかな……。
少し、俺自身が寂しくなってきてしまった。
精神が肉体に引きずられているのか……良い大人なのに……。
しっかりしないと!
「この後は、もう風呂はいって寝るだけか?明日は早いんだよな?」
二人は軽食だったからもう食べ終わって、俺が食べ終わるのをニコニコ見ながら食後の茶を飲んでいる。
「そうだね。お風呂は交代制だから呼ばれたら行くんだよ」
「俺とクリフトは同室だから、一緒に入るのか?」
クリフトが、ぶはっと飲んでいた茶を吹く。
「大丈夫か?」
「ごほっ、ごほっ、だ、大丈夫です。一緒に入りませんよ。大浴場ではなく、個室の風呂ですから。それぞれの階に一つずつお風呂はありますから、それを交代で使います。ルカの後に僕が入ったり、僕の後にルカが入ったりはしますね……えぇ、同室ですから……」
クリフトは思惑げにふふふと笑っている。
何か面白いことあったか?
ん?
テオ、舌打ちした?気のせい??
なんだ、お金がなかった訳じゃなくて、夢に自信がなかっただけか。
そんなことで良かった……クリフトもそんなことで悩むなんて、まだまだ子供だなっ。
今晩は親元から初めて離れて、夜一人で寝られないんじゃないか?
一緒に寝てやった方がいいのか?
でも、狭いしなー。
テオに頼んだ方がいいかもしれない。
「クリフト、落ち着いたらこちらに座ったら?ルカもそのままだと何も出来ないし」
「すまない……」
クリフトはテオに促されて椅子に座った。
少し、メガネの奥の瞳が赤い。
クリフトは泣いた姿を見られて恥ずかしいのか、顔が赤い。
「とんだ醜態をさらしてしまいました。テオドール様、いえ、テオにもご迷惑をおかけしました」
「気にしないで。気持ちは分かるから」
二人が目を合わせ、見つめあっている。
仲良しだな!
「クリフトは国政コース希望か?」
「そうですね。剣術も少しは嗜んでいますが、学びたいのは国政です」
「そうかー。俺はまだはっきりしないからなー。とりあえず、少しの間は全員一緒だろ?明日から、楽しみだなっ」
三人で目を合わせ、笑い合う。
仲間っていいな!
きゅるきゅるるるっ
腹が鳴った。もう、半日以上何も食べてない。
「ルカ、食堂へ行きますか?夕食から準備されていると聞きましたから、もう食べられると思いますよ」
「やったー!」
これを待ってたんだよ!
肉とか出るのか?
楽しみすぎる!
「テオ、クリフト、行こう!飯!!」
あまりに俺が勢いよく誘ったもんだから、二人は呆れたように笑った。
三人で食堂へ向かう。
寄宿舎の一階にある食堂からは、すでに良い匂いがしていた。
ごきゅるるるるるっ
もう、腹がうるさい。
もう少し待ってくれ!
食堂は一度に30人ほどは座れそうなほど広かった。
長いテーブルがいくつかと、丸テーブルもあった。
入り口近くに、お盆や皿が置かれ、表示されているメニューの中から好きなものを厨房に注文する流れらしい。
ど、どうしよう。
迷うー!
テオは生野菜とスープのような物を注文している。
クリフトはパンに野菜が挟んでいるような軽食だ。
え、二人とも少食だな……無料なのに。
俺は悩んだ結果、肉の煮込み料理にした!
パンも頼んだ。
早々にお盆に出来立てが乗せられる。
こんな贅沢、生まれて初めてかもしれない!
食堂のおばちゃんに礼をいい、どこか席につこうと見渡すと、先に座っていたテオとクラフトが手招いてくれた。
二人が座っている隅の丸テーブルに向かおうとすると、その手前に座っていた男の足がスッと伸びる。
危うく、すんでで止まったが、足を引っ掛けそうだった。
「危ないぞ!」
大切な料理をこぼしてしまう所だったじゃないか!
チッと舌打ちが聞こえる。
「平民の分際でっ」
何か言葉を吐き捨てて、その男は去っていった。
何だったんだろう?
まぁ、いい。
とにかく、飯だ!
二人がいる丸テーブルに座ると、テオが心配そうに話しかけてきた。
「さっきは大丈夫だった?何かもめてたようだっけど、何か嫌なこと言われた?」
「いや、何を言っていたかよく分からん。それより、食べよう」
目の前には、ご馳走!
俺は命に手を合わせ、そっと感謝の祈りを捧げる。
まずは、肉を一口……フォークで刺すとほろっと肉が崩れる。
それを掬い、口に入れると……溶けるっ。
パンも手に持つと、焼きたてのホカホカで、半分に千切ると湯気が上がった。
回りは少し固く、中はモチモチしている。
それだけ食べても美味しいが、煮込み料理のソースを浸して食べると味が染み込み、絶品だった。
あぁ、なんて幸せなんだ……っ。
これが無料なんて……父さんにも食べさせてあげたい……。
父さん、今頃何を食べてるんだろう……一人で寂しくないかな……。
少し、俺自身が寂しくなってきてしまった。
精神が肉体に引きずられているのか……良い大人なのに……。
しっかりしないと!
「この後は、もう風呂はいって寝るだけか?明日は早いんだよな?」
二人は軽食だったからもう食べ終わって、俺が食べ終わるのをニコニコ見ながら食後の茶を飲んでいる。
「そうだね。お風呂は交代制だから呼ばれたら行くんだよ」
「俺とクリフトは同室だから、一緒に入るのか?」
クリフトが、ぶはっと飲んでいた茶を吹く。
「大丈夫か?」
「ごほっ、ごほっ、だ、大丈夫です。一緒に入りませんよ。大浴場ではなく、個室の風呂ですから。それぞれの階に一つずつお風呂はありますから、それを交代で使います。ルカの後に僕が入ったり、僕の後にルカが入ったりはしますね……えぇ、同室ですから……」
クリフトは思惑げにふふふと笑っている。
何か面白いことあったか?
ん?
テオ、舌打ちした?気のせい??
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