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交渉の行方~バーン視点~
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クリフトの交渉を見守る立場だ。
口出しをしてはならない。
『ココに人を連れてきて、結婚の話まで出して、禁書が必要なことは分かった。でも、連れてきた相手が平民?セリアン商会に何をもたらせる?まさか、こんな茶番でセリアン商会が禁書を貸し出すと思った?もう少し、まともな人材の選択はなかったの……クリフトらしくもない』
やはり、きた。
ココをどう突破するんだ?
「思ってません」
え?思ってないと??
クリフトは一歩小鳥の兄上に歩み寄る。
「ルカはセリアン商会にとって利点となるものがない。でも、俺にとって大切だ。俺が、セリアン商会の利点となる。俺はこの国の宰相になります」
『は?何をバカなことを……』
「バカなことなんて、言うな!」
いや、そこじゃない。
ルカらしいが。
クリフトがバカにされたと怒ったんだろう。
クリフト自身が交渉材料か。
「分かってる。バカなことを言っているってことは一番自分が。魔力がなく、生まれてすぐセリアン商会の後継も外れた。でも、あの毒の件があって、胸の内に国を変えたいと思うようになった。宰相になりたいって。もちろん、すぐ打ち消した。でも、消えなくて。寄宿学校まで来たのは、最後の足掻きだ。諦めるための。でも、ここにいるルカにぜーんぶ見透かされた。この、俺が」
『クリフト……』
クリフトの想いが伝わってくる。
その覚悟も。
「ルカに教えられた。足掻くなら、諦めるためじゃなく、叶えるために。俺は宰相になってセリアン商会の大きな利点となる。そのために、ルカという支えが必要だ。結婚を認めて欲しい」
ん?
いや、そこは結婚を押す必要あるか?
クリフト自身が交渉材料になるのであれば、所詮ルカとの結婚話は建前。
自らが宰相になった後の恩恵の対価として禁書を、で良いのでは?
『クリフト、お前の気持ちは分かったし、ルカへの想いも本物のようだ。まさか、本当の結婚相手を連れてくるとは思わなかったよ』
違う!
本当の結婚相手ではない!!
クリフト、全く否定しないではないか。
話が違う……。
クリフトをチラリと見れば、晴れやかな顔だ。
『……だが、お前が宰相になるという言葉にこの禁書をかける価値があると思っているのか?』
「思ってません」
また、思ってないと!?
「存在しないものに、価値はない。当然のこと。だから、俺は俺の全てを賭ける。退路を断つ。もし、俺が宰相になれずこのセリアン商会に恩恵をもたらすことができなかったら、セリアン商会における全ての権利を返上する。それなら、少なくとも兄さんには利点があるだろ?ある程度の地域は俺に渡されるはずだろうから」
!?
ここまで、とは。
切り札はクリフトが手にするはずだった未来。
クリフトは、禁書を得ることにここまで人生を賭けるのか。
いや、禁書は関係ないのかもしれない。
宰相になるという夢一択にしたということ。
兄に対価として自分の未来を差し出すことで、自らの退路を断つ。
……クリフトは私などより、一歩も二歩も先に進んでいる。
『……では、クリフトは宰相になれなかったらどうする?』
「あぁ、それなら決まってる!木材を売る!もちろん、セリアン商会には高値で取り引きしてもらいたいな」
『木材?』
「ルカは木こりになるからね」
『はははは、父や母に稀代の商才を認められながら、手にするのが木こりか……面白い。いいよ、結婚を認めよう』
「ありがとう。結婚して、幸せになります」
「いや、違う!!」
それまで黙って見守っていたが、さすがにこれは無理だ。
「え?」
『え?』
え、ではない!
クリフトの交渉に口を挟んではいけないとぐっと耐えていた。
ルカもその表情から、ん?と思ってはいるようだが、私はコレは何の交渉だ?と言いたくて仕方ない。
あくまで、禁書を借り受けるのが目的であって、クリフトとルカの婚姻を認めてもらうことではない。
「結婚して幸せになります」では絶対にない!
「……外野が申し訳ない。今、重要なのは禁書のはず。兄上がクリフトを認めたのであれば、禁書の許可を頂きたい。ルカと婚約という体で、だ」
『もちろん、婚約者殿に禁書を許可しよう。門外不出ゆえ、こちらの屋敷にて、でかまないかな?』
「大丈夫です」
ルカが頷く。
「古代魔法の解呪は複雑じゃない。人体に影響を及ぼす古代魔法の解呪のみ覚えて帰ればいい」
『……では、婚約者殿のみ、こちらの扉から入るといい』
小鳥が視線を送った先に扉が現れる。
ルカは頷くと、小鳥の兄上と共に扉の奥へ進んだ。
二人の姿が見えなくなると、すぐにクリフトに詰めよった。
「クリフト!お前、よく分かってないルカを丸め込んでこのまま結婚するつもりか!?」
「いやだなぁ。禁書のためですよ?まぁ、兄の許可は貰ったので、後はルカの父親に許可を貰えば、もうルカとは……」
「ダメだ!!」
「はぁ?そんな権利はないでしょう?バーンは別に婚約者がいるんですから」
「そ、それは……」
クリフトに痛い所をつかれる。
「はぁ。まぁ、もちろん俺もこれで騙し討ちみたいに結婚して初夜に持ち込もうとまでは思ってません」
「しょ、初夜!?」
こいつ、なんてことを……!
「ルカに、少し意識して貰えたらそれでいい」
「クリフト……」
「問題は……本当に兄がこのまま禁書をルカに見せてくれるか、です」
「えぇ!?」
もう、全て上手くいったのではないのか!?
口出しをしてはならない。
『ココに人を連れてきて、結婚の話まで出して、禁書が必要なことは分かった。でも、連れてきた相手が平民?セリアン商会に何をもたらせる?まさか、こんな茶番でセリアン商会が禁書を貸し出すと思った?もう少し、まともな人材の選択はなかったの……クリフトらしくもない』
やはり、きた。
ココをどう突破するんだ?
「思ってません」
え?思ってないと??
クリフトは一歩小鳥の兄上に歩み寄る。
「ルカはセリアン商会にとって利点となるものがない。でも、俺にとって大切だ。俺が、セリアン商会の利点となる。俺はこの国の宰相になります」
『は?何をバカなことを……』
「バカなことなんて、言うな!」
いや、そこじゃない。
ルカらしいが。
クリフトがバカにされたと怒ったんだろう。
クリフト自身が交渉材料か。
「分かってる。バカなことを言っているってことは一番自分が。魔力がなく、生まれてすぐセリアン商会の後継も外れた。でも、あの毒の件があって、胸の内に国を変えたいと思うようになった。宰相になりたいって。もちろん、すぐ打ち消した。でも、消えなくて。寄宿学校まで来たのは、最後の足掻きだ。諦めるための。でも、ここにいるルカにぜーんぶ見透かされた。この、俺が」
『クリフト……』
クリフトの想いが伝わってくる。
その覚悟も。
「ルカに教えられた。足掻くなら、諦めるためじゃなく、叶えるために。俺は宰相になってセリアン商会の大きな利点となる。そのために、ルカという支えが必要だ。結婚を認めて欲しい」
ん?
いや、そこは結婚を押す必要あるか?
クリフト自身が交渉材料になるのであれば、所詮ルカとの結婚話は建前。
自らが宰相になった後の恩恵の対価として禁書を、で良いのでは?
『クリフト、お前の気持ちは分かったし、ルカへの想いも本物のようだ。まさか、本当の結婚相手を連れてくるとは思わなかったよ』
違う!
本当の結婚相手ではない!!
クリフト、全く否定しないではないか。
話が違う……。
クリフトをチラリと見れば、晴れやかな顔だ。
『……だが、お前が宰相になるという言葉にこの禁書をかける価値があると思っているのか?』
「思ってません」
また、思ってないと!?
「存在しないものに、価値はない。当然のこと。だから、俺は俺の全てを賭ける。退路を断つ。もし、俺が宰相になれずこのセリアン商会に恩恵をもたらすことができなかったら、セリアン商会における全ての権利を返上する。それなら、少なくとも兄さんには利点があるだろ?ある程度の地域は俺に渡されるはずだろうから」
!?
ここまで、とは。
切り札はクリフトが手にするはずだった未来。
クリフトは、禁書を得ることにここまで人生を賭けるのか。
いや、禁書は関係ないのかもしれない。
宰相になるという夢一択にしたということ。
兄に対価として自分の未来を差し出すことで、自らの退路を断つ。
……クリフトは私などより、一歩も二歩も先に進んでいる。
『……では、クリフトは宰相になれなかったらどうする?』
「あぁ、それなら決まってる!木材を売る!もちろん、セリアン商会には高値で取り引きしてもらいたいな」
『木材?』
「ルカは木こりになるからね」
『はははは、父や母に稀代の商才を認められながら、手にするのが木こりか……面白い。いいよ、結婚を認めよう』
「ありがとう。結婚して、幸せになります」
「いや、違う!!」
それまで黙って見守っていたが、さすがにこれは無理だ。
「え?」
『え?』
え、ではない!
クリフトの交渉に口を挟んではいけないとぐっと耐えていた。
ルカもその表情から、ん?と思ってはいるようだが、私はコレは何の交渉だ?と言いたくて仕方ない。
あくまで、禁書を借り受けるのが目的であって、クリフトとルカの婚姻を認めてもらうことではない。
「結婚して幸せになります」では絶対にない!
「……外野が申し訳ない。今、重要なのは禁書のはず。兄上がクリフトを認めたのであれば、禁書の許可を頂きたい。ルカと婚約という体で、だ」
『もちろん、婚約者殿に禁書を許可しよう。門外不出ゆえ、こちらの屋敷にて、でかまないかな?』
「大丈夫です」
ルカが頷く。
「古代魔法の解呪は複雑じゃない。人体に影響を及ぼす古代魔法の解呪のみ覚えて帰ればいい」
『……では、婚約者殿のみ、こちらの扉から入るといい』
小鳥が視線を送った先に扉が現れる。
ルカは頷くと、小鳥の兄上と共に扉の奥へ進んだ。
二人の姿が見えなくなると、すぐにクリフトに詰めよった。
「クリフト!お前、よく分かってないルカを丸め込んでこのまま結婚するつもりか!?」
「いやだなぁ。禁書のためですよ?まぁ、兄の許可は貰ったので、後はルカの父親に許可を貰えば、もうルカとは……」
「ダメだ!!」
「はぁ?そんな権利はないでしょう?バーンは別に婚約者がいるんですから」
「そ、それは……」
クリフトに痛い所をつかれる。
「はぁ。まぁ、もちろん俺もこれで騙し討ちみたいに結婚して初夜に持ち込もうとまでは思ってません」
「しょ、初夜!?」
こいつ、なんてことを……!
「ルカに、少し意識して貰えたらそれでいい」
「クリフト……」
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「えぇ!?」
もう、全て上手くいったのではないのか!?
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