胡蝶の夢に耽溺す【完結】

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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65 纏う自由も奪われて※

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「…決してはしたなくなどありませぬ。むしろもっと俺に触れてほしいなどと、そうお可愛らしいことをおっしゃられると、はは…俺はたまらなく、…いや、それほど濡らしてくださったなら、俺としては光栄の限りございます、ユンファ様……」――「たまらなくなって、思わずがっついてしまいそうです」…などとやや乱暴なこと言えば、無垢なユンファ様はもしか嫌な思いをするかもと、思い留まった俺である――。
 
「……、……」
 
 そう言いながらの俺に、はらり…容易く寝台へと押し倒されたユンファ様は、とろりと淫靡な瞳で俺をぽうっと見上げた。――川のように枕を伝い、彼の背に散る長い黒髪…浮かぶような白い体は細く、寝台の上でくったりと力が抜けている。
 そのとろりと蜜に潤んだ淡い紫の瞳が、そのゆるんだ表情が、紅潮した頬が――その全身が、俺に体を許していた。
 
 俺は顔を寄せ、額を合わせる。
 
「…本当にお綺麗だ、ユンファ様……」
 
「……ソンジュ様…、…ん……」
 
 そのまま、ゆっくりと口付ける。
 もう二度とこうはできまい。――明日に死ぬやもしれぬ。…たとえ運良く殺されずとも、今宵が明ければもう二度と、ユンファ様に接吻することは叶わぬ。
 それどころか…ユンファ様が、ジャスル様に暴かれる様を、明日も、その後も――何度も、何度も俺は、目にしなければならないかもしれぬ。
 
 “婚礼の儀”――俺の息が止まりそうに胸が痛むほど、それは残酷なものである。
 
 甘い口付けをしながら、俺は眉を顰める。
 
「……んん……♡」
 
 初心な小さい声を鼻からもらす、この誰よりも純真で、誰よりも美しい人が――明日、その“婚礼の儀”で…あまたの男どもに、
 ユンファ様は明日、ジャスル様に犯される様を、あまたの男どもにじっくりと卑劣な眼差しで見られ、その身に男どもの精をかけられ、汚され…――それどころかユンファ様は、その男どもに全身余すことなく触れられ、舐め回されることだろう。
 
 つまりユンファ様は明日、その“婚礼の儀”において――およそ今日純潔を失ったときよりも、もっと惨たらしい汚辱の目に合うのだ。
 
 忌々しいことだが――それが、お決まりなのである。
 ジャスル様は、“婚礼の儀”の際――新たに娶った側室があれば、そうして男どもに側室を見せ付け、自慢するよう、男どもの目の前で何度も何度もその人を犯す。
 また、女は精の匂いを嗅ぐと発情し、孕みやすくなるとの言い伝えがあるばかりに、なぶられる側室のその姿に発情した男どもの精を、側室の体にかけさせるのだ。
 
 それどころかあまつさえ、それこそ女のみほと女性器にこそ挿れさせやしないが…――あまたの男どもに、側室の体を余すことなく舐めさせ、触れさせ、気を遣らせ…そうした乱交めいた儀を行うことが、もはや通例となっている。
 
 許せぬ…――。
 これまでは薄情者であった俺だ。止めもせず、ただ眺め何もしなかった俺は、それらを行っていた男どもと同罪といえる。…そんな俺に、こんなことを思う権利などないのはそうだろう。今やそのおぞましい光景にも慣れ、ジャスル様の側室がどうなろうとただ冷めた眼で眺めていた俺だ、…しかし、いよいよこの純真たるユンファ様が、愛してしまったこの美しい胡蝶が、明日その目に合うと思えば――俺は、頭で理解するよりももっと本能的に、刀を抜きかねないかもしれぬ。
 
 どうにか…どうにかできぬものだろうか――。
 
 口付け、舌を絡めながらユンファ様の、白い袴の紐を解き…するりと手を差し込んで、脱がせる。――熱く、大きく膨れたモノの肉がぴとり、俺の手に触れた。
 いよいよユンファ様を男だと認識した――いや、声も低く、喉仏もあり…何よりその体躯に女らしいところは一つもなかった――が、…待て。
 
「……、…、…」
 
 下着は、…どうした。
 まさかとは思うが――ジャスル様に暴かれた際、まさかユンファ様は、穿いていた下着を取り上げられた、のか。
 俺は口をそっと離した。――するとユンファ様は、俺の疑問を察したのだろう――ゆっくりとその切れ長のまぶたを開き…虚ろな目をしながらも、かあっと頬を赤らめたのだ。
 
「……下着は…、穿くなと…もう、二度と……」
 
「……、…っ」
 
 俺は思わず顔が強ばり、…しかし、決してユンファ様に険しい顔を見せたいわけではないと、顔を隠すよう――その人の背を掻き抱いて、彼の肩の上に自らの顔を隠す。
 ユンファ様は俺の背にそろりと手を添え、する…と小さく俺の背を撫でた。
 
「…いつでも、ジャスル様を受け入れられるようにと…それが、側室の務めなのだそうです……」
 
「…なぜそのような卑しいことを命じたのやら、…恥ずかしかったでしょう…、お可哀想に、…」
 
 陵辱の限りを尽くされた無垢な体――その後、あまつさえ下着を身に着けることすら許されず、…そりゃああれほど虚ろな無表情ともなる。
 
「…正直、やはり恥ずかしい、ですが……大丈夫、僕は…。袴も穿いておりますから……」
 
「………、…」
 
 もし、俺がジャスル様の立場で――もし俺が、このユンファ様を娶れたなら…もしそれが、俺に許されたならば。
 俺は決してそのようなことはしない。ユンファ様が喜ぶことをたくさんして差し上げたい。――昼間はニコニコとたくさん笑っていてほしい。…そして夜は、恥ずかしがっても構わないから、そっと一枚一枚、もちろん下着も含めて脱がすから…俺にだけ、その体を見せてほしい。
 
 なぜ、そんな当たり前のことが、あのジャスルは、できないのか。――なぜそれで満足できない、それで十二分じゃないか。――なんてさもしい男なのだ。
 
 いや…今だけは――今宵だけは俺が、このユンファ様の旦那であると、驕り高ぶろう。
 
「…ユンファ様、触れてもよいですか…」
 
「……は、はい…、どうぞ、お好きなだけ……」
 
 俺はユンファ様のその返事に、片腕を立て――熱い彼自身、まずは全体を優しく撫で回す。
 
「…ぁ、♡ ん、♡ …ッ♡」
 
 すると眉を顰め、きゅっと目を瞑ったユンファ様は、ビクンッとひと際大きく反応した。やはり男の体の中で一番というほど敏感なソコ、ましてや勃起していれば尚更か。
 
 それに…濡れている、とはみほとのことばかりかと思いきや、この自身に至るまでもそうであったか。――ねっとりとした熱い粘液が先端から幹まで濡らし、全体の形を確かめるよう触っているだけで、ぬち、ねち、と音まで立つほどだ。

「…気持ち良いですか…?」
 
「…っはぁ、…そ、そこは…ぁ、♡ ぁ…♡ あま、り…あまりにも、体がびくびくして…ぁふ、♡ ソンジュ様…」
 
「…ふふ…、ならば、ココはいかがでしょう…?」
 
 俺は、その濡れた先端を、コスコスと擦る。
 
「…ぁぁぁ…ッ♡ …だめぇ…♡♡」
 
 するとかぶりを振るように横に向いた彼の顔は、悩ましげに歪んでいる。ビクビクと腰を跳ねさせているユンファ様は、何ともお可愛らしい。――先端はぬるぬるとすべる。ならば尚の事善いのかもしれぬ。何にしても、ココで感じぬ男はないものだ。

 
 
 
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