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青い瞳は花を見つめる※モブユン
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しおりを挟む「……、…は…?」
そう…僕はあのとき、ソンジュさんに手を捕まえられたままそう注文されたのだ。
正直僕は完全に意表を突かれて、パチパチ目をしばたたかせながら、言葉を失った――普通の注文をされるかと待ち構えていた僕にとって、そんな変な注文は当然、予想外も予想外だったのだ。…予想斜め上なんて可愛いものじゃない、それこそ真逆くらいのことだ。
×××
そうして――僕は何だかんだあり、ソンジュさんに手を見せて、そして…今は謎の取材とやらを受けている、というわけだ。
いや、僕は正直そのつもりがなかったのだが――僕のいや、でも、あの…の逡巡の原因があたかもわかっているかのようなソンジュさんがマスターであるケグリ氏に、「マスター、構いませんね」と聞くと、カウンターの中からケグリ氏は「あぁもう、煮るなり焼くなり、このユンファなら貴方のお好きにしてください」なんて…なぜか、というか、ケグリ氏はソンジュさんの機嫌を損ねることがどうやら恐ろしいらしく、いやにすんなりと僕のことを彼にゆだねたのだ。
ご主人様であり、何よりもこの『KAWA's』のマスター(つまり上司)であるケグリ氏にそう言われてしまったら僕はもう、はあ、わかりました、と、ソンジュさんにこの手を見せるしかなかった。
しかもその後ケグリ氏に「ユンファ、ちょっと」と呼ばれたので、僕が「少々お待ちください」とソンジュさんへ声をかけてから一旦カウンターの中へ――ケグリ氏のほうへ――行くと。
――今となってはその会話も、おそらくソンジュさんにすっかり全部聞かれていたのだろうとは思うが――ケグリ氏が僕にコソコソと「あの人に決して無礼な真似はするなよ。とにかくあの人の言うことには全部従え。それと、お前が私の性奴隷であることは絶対に言うな」と。
そう、ケグリ氏は小声のわり僕に強い調子で耳打ちしてきたので、それで僕は、ケグリ氏が僕のご主人様であることを、ソンジュさんへ隠すように努めていたのだ。――そしてそのあと、失礼がないようにとのことだったので、僕はカウンター内のシンクで入念に手を洗い、そのまま、ソンジュさんが待つこのカフェの角席へと向かったのだった。
“「ユンファさんは目の見えない私を気遣って、優しく手を取ってくださいましたよね。――あのとき私は…この人の手は、なんて美しい手なのだろうと思ったのですよ」”
「………、…」
まさかあのときの…――席へのご案内をするときに触れた、あの瞬間にソンジュさんは、ある意味では僕の手に惚れた、ということか?
それは思いもよらないことだ、正直なんとも言えない。
嬉しいとも特には思わないのだが、…まあ確かに、親切心のつもりでソンジュさんの手を僕が取ったのは事実である。
「……ぅ、うぅん…、…」
それにしたって…――やっぱり、ちょっと、失礼ながら、変な人であることには間違いないだろう。
そういった親切心は、何も僕だけが特別持っているものではないはずだ。――あれだけのことで僕の手を「誰よりも特別美しい手」なんて評するソンジュさんは、…ほんと、本当に、正直変わっている人だ。…あるいは、僕を特別口説いているとしか思えない。
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