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愛する瞳
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しおりを挟む僕の耳元で「いい子だね…」と優しく褒めてきたソンジュさんは、ちゅ…と僕の耳にキスをすると、嗚咽する僕の背中を、撫で擦りながら。
「…マインドコントロールとは、そういうものなのです。肉体のみならず、感情、思考もすべて…操り、思い込ませるというものですからね……――しかし、ユンファさんが性奴隷として扱われるべき根拠など、何一つありません。…まるで根拠のように、ケグリたちにさまざまなことを嘯かれたのでしょうけれど、それは全て…嘘です。何も真実じゃありません。アイツらが言っていた言葉は全て、貴方の真実じゃない。」
「……っ、…っ、……」
嗚咽をこらえる僕の頭を撫で、頼もしくきっぱりと言い切ったソンジュさんは、ぎゅうっと抱き寄せていた。――あたたかい。…たくましいその人の体が、こんなにも安心する。ソンジュさんに守られていると、錯覚してしまう。
「…痛みも慣れれば、麻痺するものだ。…しかし、確実にユンファさんは、傷付けられるたび、痛かったはずだ…」
「……っ、…ぅ…っ」
ソンジュさんの言葉こそが、真実なのだ。
こんなに僕のことを言い当て、見透かして――まるで神様。本当に、僕を救ってくださったんだ。
「…ユンファさんは辛かったのです…、悲しかった、悔しかった、不条理な扱いに耐え切れないほど傷付いてきたのです…、貴方が何度死にたいと思ったか…――しかし、気高い人であるからこそ、逃げはしなかった…、貴方が気高い人であるからこそ、耐えてきてしまった……」
僕の髪を撫でるソンジュさんの手。――潤んでいる、僕の目。…顔を上げれば…滲んでいる、ソンジュさんの悲しげな表情。
「…その痛みを無視するように、その痛みを甘美なものだと錯覚するように、その痛みは自分が悪いことをしたからだと、迷妄するように…自分の意思で、その痛みを甘受しているのだ、と思い込むように…――貴方は、ケグリたちにそう調教された…銀の狼だ」
「……、…狼…っ?」
聞き返す僕の目から涙がハラリとこぼれ落ちる――僕の問いかけに、ソンジュさんの真剣でまっすぐな眼差しが、ゆっくりとまばたきで頷いた。…涙が下へ落ちると、彼の悲しげに翳った凛々しい眉が、口角の少し下がった、血色の良い唇が、少しよく見えるようになった。
「…ユンファさん――貴方は本来、人間に飼い慣らされるような犬じゃない。首輪をつけられるべき、ペットなんかじゃないのです。…本来のユンファさんは、気高き銀狼…、…狼は、狼と群れを成すべきです」
「……、……」
それからソンジュさんは、僕の頬をちらりと愛おしげにその水色で見遣ると、指で優しく撫でるように、頬に残った僕の涙を拭ってから――また僕の目を、真剣な眼差しで切なげに見つめてくる。
「…ユンファさんは…お綺麗です。――穢れてなどいません。貴方は汚くなんかないのです。…貴方は本当に、この世の誰よりも綺麗な人だ。…」
僕を撫でるような優しい声でそう言ったソンジュさんは、切ない目をして、微笑んだ。
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