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第1話
'020. 登場人物が増え始めます6
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いつの間にかボクたち4人の前に賊たちがいた。
身なりでこの前、ハクとご飯を奪う形になった相手達だと分かった。
ざっと数えただけでも6人いる。
それぞれ武器を手にして、眼が血走っている。
「ワタシたちが騒いでいる間に追いつかれたみたいね」
のほほんと状況を確認するハク。
アニーは既に弓を構えていた。
「タイヘン、お茶の用意をしなくっちゃ♪」
マグが楽しそうに提案した。
「お客さんじゃないから!」
敵は襲い掛かってきた。
怒気をはらんだ声を上げ、武器を高々と持ち上げて。
「せっかちさんね」
これを見たハクは言うが早いか、一目散に飛び込んでいった。
手にした杖は体の後ろで風になびくように、前傾姿勢をとったハクは自身の身体を槍の穂先のようにして一個の集団に突き込んだ。
うぉ!?
これには賊の方が驚いた。
数で勝る自分たちに、まさか一人で。
予想をしていなかった獲物であるハクの挙動に少しだけ動きが鈍った。
この機を逃す武芸者ハクではない。
恐らくそれすらも予想の範疇の内だったのだろう。
淀んだ集団の足元を、地面を這うようにしてすり抜けた。
決して無様な姿ではなかった。
華麗に、スルリと、まるでそこに在ったものがきれいに収納場所に吸い込まれるようにハクの身体は目の前から消えた。
ギャッ!
集団の後方で鈍い悲鳴が上がった。
これはハクから後で聞いた話なのだが、まず狙ったのは一名。
この集団で最も弱っていた相手だったそうだ。
前回、木の上から奇襲をかけた際に、打ちのめした1名。
賊Aが今、襲い掛かってきた中にいたのを見つけていたのだそうだ。
そして、集団戦のセオリーとして、弱い者や手負いの者から戦闘不能にし相手の戦力を削ぐという戦法だったそうだ。
ダメージの残っていた賊Aは後方にいた。
その1人を叩くために、あえて陣に突っ込み、虚を突いて後ろへ回り込んだ。
そして、無事に敵の戦力を6人分から5人分へと初撃で減らすことに成功したという。
そんなことが行われているというのはボクには賊の肉壁でわからなかったが、動揺しているのは離れた場所からでも見て取れた。
「さがっているのだ!」
正面から突っ込んでいったハクとは別に、アニーは横に距離を取りながら矢をつがえていた。
「シッ――!」
背後に気を取られていた賊に向けて、瞬時に狙いを定めると瞬く間に矢を命中させていた。
当たったのは一番ボクとマグに向かって近かった男。
その右肩だった。
「ぎゃああ~~」
痛みから無様な声を上げながら、腕をだらりと垂らす。
その下には握られていたであろう短槍が落ちていた。
アニーもまた、集団戦の基本として自分たちのうち、弱いボクらへと向かう攻撃を減らそうと、近寄った者を狙ったのだった。
こうして、塊として襲いかかってきた賊たちは既にボクたちと同じ数でしかなくなった。
ハクとアニーはそれぞれ他の敵を相手取り、戦闘に入っている。
しかし――
「心配しないで」
自分より年下の女の子に言葉をかけてもらいながらも、ボクは懸命に避難活動をしようとするだけだった。
具体的にはマグの髪と同じ色のスカートの端を引っ張って、そばにあった木の陰に隠れようとしていたが、肝心の彼女自身が動かそうとしても動かないし、そんな風に逃げようというそ素振りすらみせなかったのだ。
見るからに幼く、ボクと同じ非戦闘要員のハズなのに。
「逃げないの?」
「大丈夫だよ。
あの二人はつよいんだよー。
それに――」
そこまで言って、マグは宙に浮いた。
「げっへっへ。
こんなところで何してるんだい、おじょうちゃん」
「そうだな。
危ないから、避難しようか」
目の前に現れた敵の巨漢に小包でも掴まれたかのように持ち上げられてしまったのだ。
なんならその頭上の枝に逃げてくれてもいい。
身なりでこの前、ハクとご飯を奪う形になった相手達だと分かった。
ざっと数えただけでも6人いる。
それぞれ武器を手にして、眼が血走っている。
「ワタシたちが騒いでいる間に追いつかれたみたいね」
のほほんと状況を確認するハク。
アニーは既に弓を構えていた。
「タイヘン、お茶の用意をしなくっちゃ♪」
マグが楽しそうに提案した。
「お客さんじゃないから!」
敵は襲い掛かってきた。
怒気をはらんだ声を上げ、武器を高々と持ち上げて。
「せっかちさんね」
これを見たハクは言うが早いか、一目散に飛び込んでいった。
手にした杖は体の後ろで風になびくように、前傾姿勢をとったハクは自身の身体を槍の穂先のようにして一個の集団に突き込んだ。
うぉ!?
これには賊の方が驚いた。
数で勝る自分たちに、まさか一人で。
予想をしていなかった獲物であるハクの挙動に少しだけ動きが鈍った。
この機を逃す武芸者ハクではない。
恐らくそれすらも予想の範疇の内だったのだろう。
淀んだ集団の足元を、地面を這うようにしてすり抜けた。
決して無様な姿ではなかった。
華麗に、スルリと、まるでそこに在ったものがきれいに収納場所に吸い込まれるようにハクの身体は目の前から消えた。
ギャッ!
集団の後方で鈍い悲鳴が上がった。
これはハクから後で聞いた話なのだが、まず狙ったのは一名。
この集団で最も弱っていた相手だったそうだ。
前回、木の上から奇襲をかけた際に、打ちのめした1名。
賊Aが今、襲い掛かってきた中にいたのを見つけていたのだそうだ。
そして、集団戦のセオリーとして、弱い者や手負いの者から戦闘不能にし相手の戦力を削ぐという戦法だったそうだ。
ダメージの残っていた賊Aは後方にいた。
その1人を叩くために、あえて陣に突っ込み、虚を突いて後ろへ回り込んだ。
そして、無事に敵の戦力を6人分から5人分へと初撃で減らすことに成功したという。
そんなことが行われているというのはボクには賊の肉壁でわからなかったが、動揺しているのは離れた場所からでも見て取れた。
「さがっているのだ!」
正面から突っ込んでいったハクとは別に、アニーは横に距離を取りながら矢をつがえていた。
「シッ――!」
背後に気を取られていた賊に向けて、瞬時に狙いを定めると瞬く間に矢を命中させていた。
当たったのは一番ボクとマグに向かって近かった男。
その右肩だった。
「ぎゃああ~~」
痛みから無様な声を上げながら、腕をだらりと垂らす。
その下には握られていたであろう短槍が落ちていた。
アニーもまた、集団戦の基本として自分たちのうち、弱いボクらへと向かう攻撃を減らそうと、近寄った者を狙ったのだった。
こうして、塊として襲いかかってきた賊たちは既にボクたちと同じ数でしかなくなった。
ハクとアニーはそれぞれ他の敵を相手取り、戦闘に入っている。
しかし――
「心配しないで」
自分より年下の女の子に言葉をかけてもらいながらも、ボクは懸命に避難活動をしようとするだけだった。
具体的にはマグの髪と同じ色のスカートの端を引っ張って、そばにあった木の陰に隠れようとしていたが、肝心の彼女自身が動かそうとしても動かないし、そんな風に逃げようというそ素振りすらみせなかったのだ。
見るからに幼く、ボクと同じ非戦闘要員のハズなのに。
「逃げないの?」
「大丈夫だよ。
あの二人はつよいんだよー。
それに――」
そこまで言って、マグは宙に浮いた。
「げっへっへ。
こんなところで何してるんだい、おじょうちゃん」
「そうだな。
危ないから、避難しようか」
目の前に現れた敵の巨漢に小包でも掴まれたかのように持ち上げられてしまったのだ。
なんならその頭上の枝に逃げてくれてもいい。
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