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20. リーナ露天風呂で背徳感を味わう

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 リーナの我儘は、アーモンド侯爵家の生態系頂点に立ち、ドンドンエスカレートしてくる。

 お庭に、バスタブに水を張り、本を読んでみたら気持ちいいんじゃないのかと。

 外で裸になるのって、滅茶苦茶、背徳的で興奮しちゃうんじゃないかと。

 リーナは、考えちゃったのである。

 もう、思いついたら、やめられない、止まらない。

 リーナは早速、アーモンド侯爵と、エドモンド様にお願いして、バスタブを庭に運ばせる。

 何故、アーモンド侯爵とエドモンド様に?
 それは、屋敷の男手は、この2人しか居ないから。リーナは使えるものは、使う主義なのである。

 早速、素っ裸のまま、庭に向かうと、ミミが慌てて巨大な日傘を持って追い掛けてくる。

「リーナお嬢様! 裸のまま外を歩いたら、リーナお嬢様の真っ白な肌が日に焼けてしまいます!」

 リーナ的には、ズボラなので全く気にしてなかったのだが、ミミ的には気になるのだろう。

 ここは、ミミの主として、ミミに従う事にする。
 ミミが、白い肌が好きなのなら、白いままで居てあげようと思うしね。

 そんでもって、リーナは念願のお外で水風呂に入って、優雅に本を読むという、貴族令嬢にあるまじき背徳的な行為を、実際にやってしまったのだった。

「露天風呂、極楽~」

「リーナ様、冷たいジュースです」

「アッ、ミミ、甘味もお願いね!」

「承知しました」

 夏の間は、ずっとこんな感じ。
 そして、王家から、初級ポーションが届かなくなった頃、再び、アーモンド領に戻る事となった。
 しっかりと、王都で発行される新刊を、アーモンド領に全て届ける手続きをして。

 ーーー

 その頃、リーナの実家のドレスナー領。

 殆ど水である魔聖水(下)が全く売れなくなり、収入は激減。
 それでも、ドレスナー伯爵とアイナの散財は止まらず、困窮の一途をたどっていた。

「いつになったら、アーモンド侯爵家から、支度金が届くんだ!」

 ドレスナー伯爵は、荒れに荒れてるいる。
 そう、アーモンド侯爵は、ドレスナー伯爵家に支度金を払ってないのである。

 まあ、それも仕方がない。
 エドモンドは、アイナに臭いと言われてる事を、根に持ってるし、エドモンドの女神様であるリーナを、日常的に虐めてた事が発覚したから。

 アーモンド侯爵も、リーナに、家族をエリクサーで助けて貰った恩もあるし、そもそもエリクサーが作れて、王様と対等の立場であるリーナを貶めてたドレスナー伯爵家などに、支度金など支払うつもりさらさら無いのであった。

「お父義様。私、王都で人気の新作のドレスが欲しいの~」

 相変わらず、家にお金が無いのにも関わらず、アイナがドレスナー伯爵に、おねだりする。

「そんな金、家にはもうない」

 ドレスナー伯爵は、イライラしながら、アイナに答える。

「だって、リーナを、アーモンド侯爵家に嫁がした支度金が有るでしょ?」

「そんなもの、貰ってない!」

 ドレスナー伯爵は、切れ気味にアイナに言う。

「えっ? 何で、アーモンド侯爵家に、臭いリーナをあげたのに何で?」

「しるか!」

 アーモンド伯爵も、何で、いつまで経っても支度金が届かないのか分からないのだ。
 全部、アーモンド侯爵とアイナが、リーナを苛めてたのが現在なんだけど。

「だったら、私が直接、アーモンド侯爵家に行って貰ってきてあげるわよ!
 なんてったって、エドモンド様は、まだ、私に惚れてると思うし、アーモンド侯爵様と、侯爵夫人は、私にメロメロだから。
 唯一、妹には嫌われてたけど、それでも、私が行ったら、すぐに支度金を手に入れれる筈よ!」

 アイナは、自信満々に、ドレスナー伯爵に言う。

「そうだな。流石に、可愛いアイナが直接、アーモンド侯爵家に訪れたら、すぐに支度金貰えるだろ!
 たまたま、あの家はゾンビ騒動が大変で、支度金を払うのを忘れてるだけだと思うからな!」

 そう、ドレスナー伯爵は、既に、エドモンドがゾンビから復活してる事を知らないのである。

 相当、魔聖水で、貴族達の足元を見て暴利を貪った事により、ドレスナー伯爵は、この時、貴族社会でハブられてる事に気付いてなかったのだ。

 しかも、最近、魔聖水の問い合わせがないのは、ゾンビになった貴族達が、全員死んだからだと、都合良く思い込んでいたのであった。

 そして、自分が貴族社会からハブられてるなんて、微塵にも思ってないのである。

「そうよね! 本当に、アーモンド侯爵家の人達は、大変よね!
 臭いエドモンド様だけじゃなく、臭さじゃ負けないリーナまで居るんだから!
 多分、臭すぎて頭が回らなくなってるのね!」

 アイナは知らなかった。ゾンビになって臭くなってたのは、エドモンドだけじゃなく、アーモンド侯爵夫人と、エドモンドの妹のシャーロットちゃんも、という事を。

 それから、リーナは現在、毎日、お風呂に入ってるので、ほぼ、無臭だという事を、3日に1回しかお風呂に入らないアイナは、全く、知らなかったのである。
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