57 / 230
57. サクラ姫は、お姉さんする
しおりを挟むその日は、もう遅いので、リーナは『銀のカスタネット』のパーティーハウスに泊まる事となった。
部屋は、たくさん有り余ってるからね。
一応、パーティーハウスの間取りを説明しとくと、1階は完全に、『銀のカスタネット』以外も使える共用スペース。
1階エントランスの右端の区間は、ナナミさんが経営してる宿屋になってて、早速、俺達に、マールダンジョン最深到達記録を抜かされた『ドラゴンズアイ』の皆さんが、男女別で2部屋も利用してくれていた。
ナナミさんは、ウハウハ。しかも、『ドラゴンズアイ』の皆さんは、56階層に繋がる転移扉も頻繁に使ってくれてるようで、ナナミさんは笑いが止まらい。
何もしないで、研究費が湯水のように湧き出る無限機関を作り出した訳だから無理もない。
1回転移扉を使うだけで、10万マールってぼったくりだろ!
『ドラゴンズアイ』が、俺達の持つ最深到達記録を抜こうと思えば思うほど儲かる仕組みになってるのだ。
でもって、肖像画が飾ってる2階踊り場の左側の部屋は、ナナミさん個人の研究室。
俺達でさえ、入れてくれないし……
まあ、機密事項もたくさんありそうだから、しょうがないか。
ナナミさんって、基本、何考えてるか分かんないし、謎多き女性だからね。
まあ、見た目、子供に見えちゃうドワーフだけど。
そして、踊り場の右端の部屋は、俺達『銀カスタネット』の共有スペース。
キッチンや、リビングや、お風呂とかがある。
3階は、部屋がたくさん有り、俺と、サクラ姫と、アマンダさんの部屋も全て3階に有る感じだ。
ナナミさんは、ご飯とお風呂に入る以外は、研究室に籠ってるので、3階に自室は無い。
ん?みんな婚約者だから、一緒に寝ないのかって?
婚約者だから、一緒に寝ないんだよ。
結婚前に一緒に寝ようものなら、王様にぶち殺されるっちゅーの!
リーナは、俺のベッドの中に潜り込もうとしてきたが、サクラ姫に捕まって、サクラ姫の部屋で一緒に寝たらしい。
本当に、サクラ姫は、リーナのお姉さんしてるのだ。同じ歳なのに。
でもって、次の日。
折角、リーナが、王都近郊に来たのだから、リーナを王都に案内する事にした。
アマンダさんの特注の家紋が入ったビキニアーマーも出来てる頃だからね。
「凄~い! 凄~い! これが王都?!」
リーナは、ピョンピョン飛び跳ねて、初めて見る王都に大興奮。
まあ、俺も、ちょっと前まで大興奮してたけど。
「最初は、ナナミさんのお爺さんがやってる武器屋に行くぞ!
ナナミさんのお爺さんの武器屋は、限られた凄腕冒険者しか知らない、通好みの店なんだぞ!」
俺は、知ったかして、リーナに説明する。
「ナナミさんのお爺ちゃんって! お兄ちゃんの凄い刀を作った人でしょ!」
「そうだな」
リーナは、俺が実家に帰った時、父親と十一文字権蔵について、少し話してたの聞いてたようだ。
だけど、権蔵爺さんの店に近付くにつれて、言葉が少なくなってくる。
華やかな王都の裏側。権蔵爺さんの店は、お大通りから遠く離れた貧民街に有るのだ。
柄が悪そうな奴もいっぱい居るし。建物も掘っ立て小屋ばかりになってきて、貧民街独特の異臭もするし。
リーナは、余っ程、怖くなってきたのか、俺の腕に、ギュッと抱きついて怯えてる。
「俺が居るから、安心しろよ」
「お兄ちゃん……」
なんか、妹に頼られて嬉しくなってしまう。
俺は、いつでも妹に頼られるお兄ちゃんでありたいのだ。
俺の可愛いリーナに、ちょっかい出す奴は、誰であろうと、ぶん殴ってやる気構えである。
まあ、実際は、何も怖がる事などないのだけど。
マールダンジョンを出た時点で、いつの間にか、サクラ姫の護衛の者達が集まって来て、王都に入った頃には、サクラ姫の護衛が10人に増えてたし。
危ない人達は、俺達が来る前に排除されてる筈だしね。
それに、ナナミさんとアマンダさんって、王都でかなり有名なんだよね。
2人と二つ名持ちだし。しかも『棍棒ぶっ叩き魔法使いナナミ』と、『狂戦士アマンダ』だよ。
2人とも物騒過ぎる二つ名持ちだから、誰もナナミさんとアマンダさんに、喧嘩など売ってこないし。
ナナミさんに限っては、権蔵爺さんと、貧民街に住み始めた頃。その幼過ぎる見た目のせいで、相当、悪い大人に絡まれたらしいけど、その杖にしか見えない棍棒で、全員ぶっ飛ばしたみたいだし。特に、貧民街の者達は、ナナミさんには絶対に関わらないようにしているとか。
ナナミさんって、基本、容赦無いし。
自分の興味無い者達には、無表情でぶっ叩くから、本当に知らない者から見ると殺人マシーンに見えるらしい。
でもって、権蔵爺さんの店に到着すると、何故か豪華な馬車が止まっていた。
何事だと思って店の中を見てみると、丁度、権蔵さんが兵士に拉致される所に遭遇してしまった。
「おっ! ナナミと 婿殿か! 丁度、良い所に来た!こやつらをどうにかしてくれんか!」
どういう状況?兵士は、マール王国の兵士に見えるし? 権蔵爺さん、何かやらかしたのか?ドワーフだから、酒飲んで暴れたとか?
俺が思案してる合間にも、権蔵爺さん大好きなナナミさんは、その杖にように見える十一文字金剛権蔵棍棒を振り上げる。
「ナナミさん! ちょっと待って! 一応、兵士の皆さんに状況を聞いてみよう!
というか、サクラ姫の護衛の人なら、何か知ってるんじゃないのか!」
現在、サクラ姫は、髪を魔法で茶髪に変えてるので、権蔵爺さんの店に居る兵士達は、サクラ姫が王家の人間と気付いてない。
俺が店の外へ目をやると、すぐにサクラ姫の護衛がやって来て、今の状況を俺達に説明してくれる。
話を要約すると、こうだ。
マール王都の貧民街に、元武蔵野国三賢人が1人、坂田権蔵が店を構えてると知ったマール国王が、散々、城に来るようにと権蔵爺さんに命じてたのだが、それを権蔵爺さんは、ずっとブッチしてたようなのだ。
でもって、痺れを切らしたマール国王が、最終手段として、権蔵爺さんを拉致して、無理矢理、城に連れて行こうとしてた所だったらしい。
まあ、マール国王としては、元武蔵野国三賢人だった程の凄腕の鍛冶師を、野に下ったままにしておくが惜しいと思ったのだろう。
なので、権蔵爺さんに爵位を授けて、マール王国の為に、働いて貰おうと画策していたようである。
「行こう! お爺! 貰える物は貰っておこう。多分、爵位を貰えれば領地かお金を貰えると思う」
ナナミさんが、権蔵爺さんに説得に掛かる。
というか、ナナミさんは、マール王国から貰った領地とお金を自分の研究費にする気満々である。
「あの……多分。ナナミさんも個人的に爵位が授けられると思いますよ」
サクラ姫が、補足する。
確かに、魔法の収納袋や、転移扉を作れる人物を、王国がほっとく訳がない。
ハッキリ言うと、権蔵爺さんと、ナナミさんは棚から牡丹餅的逸材なのだ。
本当に、何故、武蔵野国が、こんな逸材を手放したか分からない。
まあ、それ以上に、このイカレ爺さんと孫は、想像を越える問題児という事なのかもしれない。
まあ、人斬りサイコに、自分の最高傑作の刀をあげちゃうくらいのイカレジジイだしね。
ーーー
面白かったら、お気に入にいれてね!
249
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
農民レベル99 天候と大地を操り世界最強
九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。
仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて――
「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」
「片手で抜けますけど? こんな感じで」
「200キロはありそうな大根を片手で……?」
「小麦の方も収穫しますね。えい」
「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」
「手刀で真空波を起こしただけですけど?」
その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。
日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。
「これは投擲用大根だ」
「「「投擲用大根???」」」
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる