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第一章 魔眼転生
9. ありがとう
しおりを挟む『兎に角、人間は絶対に殺さない! これはルールな!ルールを破ったら、め!だぞ!』
俺は、強く、クロメに言い聞かす。
まあ、奴隷契約を結んでいるんで、俺の命令を、クロメが破る事は出来ないんだけど。
それにしても本当に、奴隷契約しといて良かった。クロメがこんなにも選民思想的な性格とは気付かなかったし。
徐々に、その凝り固まった考えを、俺が正していけばいいだけだしね。
俺は、心の優しい女の子になるよう、クロメに育って欲しいのである。
なんか、クロメがプルプルしてるが、今は、そうっとしておこう。自分の頭で考える事も重要だ。
それよりも、今日の泊まる所なんだけど……
クロメが、村人にちゃんと話せるとは思えないし。俺は、ただの目玉だし。何で、俺、人と会話できないんだよ!
本当に困った。人と直接話せない事が、これほどまで大変な事だとは、本当に分からなかったぜ。
とか、考え込んでると、先程の第1村人の少女が、父親らしき人を連れてきた。
そして、クロメに話し掛ける。
「君は一人で、この辺境の村に来たのかい?」
少女の父親は、クロメに優しく話し掛ける。
「ウゥゥゥゥ……ゴメンなさい!卍様ぁぁーー!私を見捨てないで下さい。何でもしますから~お願いします~!」
なんか、よく分からんが、変なタイミングで、クロメは感極まって号泣してしまった。
怒られた事で、俺に見捨てられると思ったのだろうか?
「そうか。1人っきりで心細かったんだね。理由は聞かない。もう、暗くなってきたので、今日は、ウチに泊まりなさい」
「ウエェェ~ン。卍様~」
よく分からんが、会話が成立したようで、第1村人の少女の家に、俺達は泊めてもらえる事となったのだ。
第1村人の少女の父親に、クロメは抱っこされて、そのまま家に招待される。
少女の家は、父親と母親と少女と3人暮らし。
暖かいスープとパンをご馳走様になって、客間に案内された。
その間も、クロメはずっと号泣。鼻水垂らしながら、スープを啜っていた。悲しくても、お腹は空いてたみたい。
俺達、ジジイの家から、何も食べてなかったんだよね。
「卍様。どうか、クロメを許して下さいませ。何でも致します。だから、クロメを捨てないで下さい」
客間で2人っきりになっても、こんな感じ。
『だから、人間を無闇矢鱈に殺さなければ、クロメを捨てないって!』
「本当ですか? しかし、私達に攻撃してきた者が居たら、殺していいですよね?」
『まあ、そりゃあ、攻撃してきたらね……』
「卍様を、ディスってきたら?」
『それは、少し考えよ』
クロメと、これからの旅のルールを擦り合わせをしていく。
まあ、確かに暗殺者に襲われて、殺されそうになってるのに、無抵抗とか有り得ないし。
だけれども、俺に対するディスり程度なら耐えられる。
ディスりと言っても、目に卍の落書きしてんじゃねーよ!とか、言われるだけだと思うし。
「私が、ディスられるのは良いんです……ですが、卍様をディスられたら、私は怒りを抑える自信がございません!」
なんか、勝手に、俺がディスられてるのを想像してか、クロメは憤っている。
『まあまあ、もっと軽く考えよ。ムカついた時は、一度深呼吸して考えよ。ディスられたって、死ぬ訳じゃないんだからね!
そんな事より、良くしてくれた人に対して、ありがとうを言おうよ。第1村人の少女の家族、ご飯食べさせてくれたり、寝床も貸してくれた訳だし。クロメは、まだ、お礼の1つでさえ言えてないだろ?』
「ですが、彼らは、力を持たぬ矮小な人間ですので。力を持つ我々が、頭を下げる必要など無いと思うのですが?」
『だから、そういう考えが良くない! 良くしてくれた人には、ありがとう!これが言えなかったら、もう、クロメの事なんか知らないからね』
「そ……そんな……」
クロメの瞳に、またまた涙が溢れる。
『ありがとう。出来るよな?』
「本望じゃありませんが、善処します……」
クロメは、納得できてなさそうだが、善処はしてくれるようだ。
まあ、クロメが今まで生きてきた10年間の常識。『強い人間は、弱い人間に何をしても良い』という常識を、今すぐに180度変えろというのは、流石に難しい。
最初は、ありがとう。から、徐々に進めていくのだ。
ありがとうは、魔法の言葉。ありがとうと言われて、悪い顔する人なんか居ないからね!
まあ、中には、悪い顔をする人も居るかもしれないけど。
兎に角、俺は、クロメに、そんな子には育って欲しくない。
ーーー
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